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裁判と交渉の違い(慰謝料請求において)

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ポイント説明

慰謝料請求をしたい。訴訟を起こして請求することも考えているけど,交渉だけで払ってもらえるのならその方が良い。そう考えている方も多いのではないでしょうか。
「裁判をする」「交渉で解決する」とは言うものの,裁判をするとなると具体的にどのような流れで進むのか,そもそも交渉で解決するメリット,裁判をするデメリットはどのようなところにあるのか,詳しく知らない方も少なくないはずです。
ここでは,交渉・裁判の具体的な中身や,メリット・デメリットについてお話ししていきます。

今回の記事の流れ

1 慰謝料請求の進み方

(1)まずは交渉

まずは交渉

一般的に,慰謝料請求は交渉からスタートします。
交渉の方法は,大きく分けて2つです。
相手に電話で請求するか,内容証明郵便等の書面で請求するかです。
電話で請求すれば,言い訳する隙を与えず,その場で肉体関係の存在を認めさせることもできるかもしれません。また,直接相手と話すわけですから,タイムロスがなく,迅速な解決が図りやすいでしょう。
一方,書面で交渉する場合,請求側の手を離れれば,書面を見た相手がどのような行動に出るか,分かりません。書面を受け取った相手に,うまい言い訳を考える隙を与えてしまうかもしれないのです。ただし,弁護士の名前で内容証明郵便が届いたとすれば,相手は驚くでしょう。「弁護士が入っているのであれば裁判をされるのでは…?」と相当のダメージを受けるはずです。電話交渉よりも,本気度は相手に伝わりやすいかもしれません。
交渉で解決という場合には,合意書や和解書といった書面を取り交わすことになります。具体的な慰謝料額や,接触禁止等を定め,「私たちの間に債権債務は存在しません」という「清算条項」を加えることで,問題の蒸し返しを防ぎます。

(2)交渉でうまくいかなければ…

交渉でうまくいかなければ…

慰謝料額の交渉をしていたけれど,相手がそもそも不貞関係を認めない,慰謝料額が折り合わないという結果になれば,裁判をすることになります。訴訟は,訴状を裁判所に提出して行うことになります。およそ1か月に1回ずつ期日が設けられ,原告と被告が交互に言い分を裁判所に提出します。

訴訟になったとしても,全ての事件が判決まで進むというわけではありません。期日中に,裁判所から和解が勧められることが一般的です。
裁判上で和解が成立すると,「和解調書」というものが作成されます。「和解調書」は,交渉段階で作成する合意書等とは異なり,執行力を持つ書面です。和解で決まった内容の慰謝料を相手が支払わなければ,和解調書に基づいて強制執行をすることが可能になります。

裁判所からの和解勧告もむなしく合意が成立しなかった場合には,裁判所から判決を出してもらうことになるでしょう。その前に,原告・被告(場合によってはその他の証人も)の話を裁判所が聞くための「尋問期日」が設けられます。尋問は,公開の法廷・裁判官の面前で,代理人弁護士や裁判所からの質問に答える形で進められます。
尋問後にも一度和解が勧められるのが一般的ですが,その和解も成立しなければ,最終的な判決を待つしかありません。

2 交渉・裁判の違いは?

交渉・裁判の違いは?

(1)解決までの期間

交渉の場合,すんなり話がまとまれば1か月もかからず解決するという場合もあります。お互いの譲歩次第で,迅速な解決も可能になるのです。
一方裁判の場合,判決まで進むとなると,解決までに1年以上かかってしまうケースも少なくありません。相当の長期戦を覚悟しなければならないでしょう。

(2)慰謝料「額」の柔軟性

裁判上の慰謝料額の相場は,およそ幅が決まっています。判決となれば,その幅の中で判断されるでしょう。言わば,裁判所に適切な額を判断してもらえるということになります。
一方交渉の場合,必ずしも相場にとらわれる必要はありません。弁護士が間に入れば,およそ裁判上の相場額で落ち着くかもしれませんが,「裁判になって時間もお金も余計にかかるなら,相場より少し払ってでも早く解決させよう」という思考パターンもあり得ます。
現に,「裁判をすれば自宅に訴状が届くが,家族に知られては困る」という理由で,相場より高い慰謝料を支払って交渉段階で解決をする,という方も中にはいらっしゃいます。交渉段階の慰謝料額は,良くも悪くも柔軟に決めることが可能なのです。

(3)「証拠」の必要性

裁判所は,証拠が全てです。「不貞があった」と主張しても,それを裏付ける証拠がなければ,裁判所は請求を認容してくれません。つまり,証拠がなければ,慰謝料額がゼロになる可能性が高くなります。
一方,交渉の場合,極端な話,相手が任意に支払ってくれるのであれば,証拠がなくても慰謝料の請求は可能です。たとえば,明確な証拠のないまま慰謝料請求を行ったが,相手が任意に「払う」というのであれば,慰謝料を受け取っても何ら問題ありません。
そのため,「裁判をすれば請求を認めてもらえるかは分からない」という場合には,相手の提示する慰謝料額が裁判上の相場よりも低くても,合意を締結してしまうという判断も,戦略としてはあり得るかもしれません。

3 おわりに

以上お話ししてきたように,交渉・裁判にはそれぞれのメリット・デメリットが存在します。ただし,交渉で話がまとまらなければ裁判に,というのが一般的な流れです。「証拠はないけど可能性にかけて請求してみる」という判断はお勧めしません。
相手が不貞を否認すれば,訴訟をすることになるでしょう。しかし,一度請求をすれば,相手は証拠となるようなホテルの領収書やLINE・SNSの履歴を全て削除するはずです。結局,何も証拠がないまま訴訟に挑まなければなりません。先ほどもお話ししたように,証拠がなければ裁判所は請求を認めてはくれません。

ご自身で交渉を行ったものの,交渉がまとまらず弁護士に相談する,という方も少なくありません。しかし,一度拗れてしまえば,弁護士であっても修復は困難です。結局は裁判に進むしか方法は残されていないかもしれません。仮に交渉はご自身で行えたとしても,裁判の対応まではほぼ不可能です。

交渉と裁判は一続きのものですから,早い段階で弁護士にご相談なさることをお勧めします。

このコラムの監修者

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