浮気の証拠をスマホで集める方法とバレてしまった時の対処法
「今まではなかったのに、あの人お風呂にまでスマホを持ち込んでいる!」
「手に持っていないときでも、スマホを裏面にして置いている!」「パートナーのスマホ画面を一緒に見ることを極端に嫌がる!」
などなど、挙げればキリがありませんが、このようなスマホの使い方から、パートナーの浮気を疑い、または疑われた人も少なくないのではないでしょうか。
スマホをお風呂まで持って行くことや、画面を常に裏面にして置いているからといって、それ自体が浮気の証拠になるものではありません。
では、どのようなものが「浮気」の証拠として重要なものになるのでしょうか。
今回は、浮気の証拠の王道ともいえる「スマホ」についてお話させて頂きます。
目次
1 浮気の証拠はスマホに隠されていることが多い
そもそも、どこからが「浮気」といえるのでしょう。
これは男女問わず、酒席の場でたびたび白熱した議論となる永遠のテーマですが、慰謝料の対象となる浮気=いわゆる「不貞行為」とは、配偶者以外の第三者と肉体関係(性的関係)を持つことです。
不貞行為を理由に慰謝料を請求する際に、パートナーやその不貞相手が不貞行為自体を否定した場合、慰謝料を請求する側が、その不貞行為の事実を証明する必要があります。
ではどのような証拠であれば、肉体関係や性的関係を証明することができるのでしょうか。
肉体関係の場面を撮った写真などはそうそうありませんので、そうでなければ慰謝料を請求できないのでしょうか。
裁判実務でよく証拠として提出されるものは、パートナーと不貞相手がラブホテルに入っていく場面を撮った写真や動画(多くは探偵の報告書)です。男女二人がラブホテルに入っていく場面の証拠があれば、その後その二人が肉体関係に及ぶことは容易に推認されるからです。
これ以外でよく提出されるものといえば、「スマホ」に残された証拠です。
具体的には、不貞相手とのメール、LINE等のメッセージのやりとりや、不貞行為中に撮った写真や動画などです。
その最中を撮った写真や動画は、それだけで不貞行為を証明できると言えますが、LINE等のメッセージのやりとりは、やりとりをしていることだけでは足りず、その「内容」が重要となります。
例えば、「おはよう」、「おやすみ」「元気?」といった内容のみでは、その二人が不貞行為に及んでいることを推認することすら困難です。
このような内容でも不貞行為の証拠となるとすれば、男性上司が、一方的に気に入っているだけで何ら肉体関係にない女性社員に対して、「○○ちゃんおはよう(^_-)-☆ 昨日のランチおいしかったから写真送るね♡」や「星が綺麗だよ☆彡 今度○○ちゃんと一緒に見たいな~(笑)」と写真付きで送るおじ構文さながらのメッセージでさえも、不貞行為を推認させる証拠となりえることになってしまいますが、そのようなことはありません(セクハラの問題にはなり得ますが、今回は割愛します)。
そのようなものではなく、例えば、「昨日泊ったホテルよかったね」や「また一緒のベッドで寝たいな」などといった肉体関係、性的関係があったことを匂わせる内容であれば(しかもこのようなやりとりが複数回あればより有効)、不貞行為の存在が強く推認されることとなります。
その他では、スマホ内のカレンダーアプリに「〇〇と旅行」「○○とお泊り」「○○との記念日」などと記載されたものがあれば、これも不貞行為を推認させる証拠となりえます。
このように、スマホに隠されているメッセージ、写真、動画などは、裁判実務において、不貞行為の事実を推認させる重要なものとなります。
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2 スマホで浮気の証拠を集める方法と注意点
それでは、パートナーのスマホ内に隠された証拠をどうやって手に入れれば良いのでしょうか。
そもそも、パートナーといえど、他人のスマホを勝手に見ても良いものなのでしょうか。
確かに、他人のスマホの中身を勝手にみることは、プライバシー権の侵害や不正アクセス禁止法への抵触が問題となる場合もあります。
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しかし、夫婦間で浮気の疑いが生じている状態の場合、夫婦の安定的な共同生活を図る目的で、パートナーのスマホを調査する分には、プライバシー保護の要請が一定の制約を受けると考えられます。
ですので、このような行為が実務的に民事上の損害賠償請求の対象となったり、不正アクセス禁止法に抵触するということはまず考えられません。
具体的な証拠の収集方法としては、パートナーのスマホのLINE画面をスクリーンショットする、又はテキストファイルとして保存する方法が有効です。
3 スマホで浮気の証拠を集めているのがバレてしまったら
では、スマホから浮気の証拠を集めていることがパートナーにバレてしまったら、どうなるでしょうか?
「スマホを勝手に見られる」ことは、ここ20年間の夫婦喧嘩の理由ベスト5には入ってきそうです。
例えば、スマホを勝手に見ていることがバレてしまったにすぎない場合、つまりプライバシー侵害や不正アクセス禁止法違反が問題にならない場合は、こちら側が慰謝料請求をされることや刑事罰に処される心配をする必要はありません。
しかし、まだ重要な証拠が掴めていない段階でバレてしまった場合は、パートナーが今後より慎重に行動すると思われますので、証拠収集は一旦諦め、ひとまず時間を置くことが得策です。
その間に、夫婦間でこれまで以上にコミュニケーションを取っていけば、パートナーは改心して浮気をやめ、夫婦仲がより一層良くなるかもしれません。
それはそれで素晴らしいことです。
そうではなく、夫婦仲が良くなることはない、絶対に慰謝料を請求したいとお考えの方は、時間を置き、一定期間パートナーを泳がせ、証拠を集めるチャンスを待ちましょう。
4 浮気調査アプリを使って監視する場合の注意点
他方で、いわゆる「浮気調査アプリ」を利用する場合は、より注意が必要です。
お子様の見守りのためのGPSアプリや、スマホ盗難・紛失の際に遠隔で写真操作ができるアプリ等がいわゆる「浮気調査アプリ」と呼ばれています。
パートナーのスマホに、これらアプリを勝手にインストールすることは、不正アクセス禁止法違反等の刑事罰に問われる可能性があります。
ですので、このようなアプリを入れる際には、事前にパートナーの同意を得ておくことが必要です。
このアプリを入れることをパートナーが何の躊躇もなく同意すれば、浮気の懸念が少し晴れるかもしれませんし、それはそれで夫婦にとっては幸せなことです。
もしこれをパートナーが嫌がれば、パートナーが浮気している可能性はより高くなったと言えますので、この場合は別の証拠を見つけるようにしましょう。
5 浮気の証拠を集めてから慰謝料を請求するまでの流れ
パートナーに秘密裡に浮気の証拠を集めてこれに成功した場合、これをその場でパートナーに突き詰めたいという気持ちもわかります。
しかし、まずは弁護士に相談をし、この証拠が慰謝料請求に本当に有効なものであるかを、法律家の視点から判断してもらうことが重要です。
証拠を得たことから、ご自身でパートナーや不貞相手に慰謝料を請求するという方もいますが、間違ったやり方で請求してしまうと、恐喝罪や強迫罪に該当してしまう可能性があります。
ですので、まずは弁護士に相談をし、その証拠が慰謝料請求に有効なものと判断されれば、弁護士を通して相手に慰謝料の支払を求めるという正攻法の手段を取りましょう。
6 まとめ
いかがでしたか。
今回は、スマホに関する証拠集めについてお話をさせて頂きました。
パートナーの浮気を疑う、実際に浮気をしていないのに浮気を疑われることは、どちらにとっても辛いことです。
浮気を疑う方としては、パートナーの言動全てが疑わしく感じてしまうので、裁判上は証拠とはなりえないものでも、浮気を証明する重要な証拠であると間違った判断してしまうこともあります。
このような自身の判断のみで、実際には浮気をしていないパートナーに浮気を突き詰めた結果、夫婦関係が壊れてしまうことになってしまえば、これほど悲しいことはありません。
また、重要な証拠を得たにも関わらず、弁護士に相談することなく、間違った方法で慰謝料請求をしてしまった結果、充分な慰謝料を得られないばかりか、逆に自身が慰謝料を請求されてしまう、最悪の場合は刑事罰の対象となってしまうことになってしまえば、これほど不幸なことはありません。
スマホに関する浮気の証拠収集や、手に入れた証拠によって慰謝料請求が可能かどうかについて疑問をお持ちの方は、是非一度、お気軽にご相談にお越しください。
このコラムの監修者
田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録
弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、また100人以上の方の浮気、不貞、男女問題に関する事件を解決。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、 豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。