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結婚詐欺にあったら慰謝料はいくら請求できる?高額になりやすい7つのパターン

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結婚詐欺にあったら慰謝料はいくら請求できる?高額になりやすい7つのパターン

婚約者に100万円貸したら逃げられた?

それ、結婚詐欺かもしれません。

結婚詐欺は、人の心を利用した悪質な犯罪です。

被害品とともに慰謝料を請求し、確実に回収するようにしましょう。

今回は、結婚詐欺で慰謝料を請求する方法について解説します。

目次

1 結婚詐欺とは?

結婚詐欺とは?

結婚詐欺とは、実際には結婚する気がないのに結婚するかのように振る舞って、お金などの財産をだまし取る行為をいいます。

人の信頼や恋愛感情を利用して財産をだまし取る悪質な行為です。

交際に要した時間が戻ってくることはありません。

また、相手に裏切られたという事実によって、あなたは人間不信に陥るかもしれません。

そんな悪質な結婚詐欺の被害にあなたが遭ってしまったら、慰謝料を請求することができるのか。

以下で、詳しく解説します。

 

2 結婚詐欺で慰謝料を請求できる条件

結婚詐欺で慰謝料を請求できる条件

結婚詐欺の慰謝料とは、結婚詐欺によって受けた精神的苦痛を賠償するためのお金のことです。

結婚詐欺で請求できる慰謝料には、以下の2つがあります。

(1)詐欺にもとづく慰謝料

(2)婚約破棄にもとづく慰謝料

 

(1)詐欺にもとづく慰謝料

詐欺にもとづく慰謝料

まず、結婚詐欺という文言からも明らかなように、詐欺に基づく慰謝料の請求が認められる場合があります。

詐欺に基づく慰謝料の請求が認められるには、

 

相手からだまされて財産を渡したこと

相手があなたをだまして財産を取得する意思があったこ

 

の2つの条件が必要となります。

 

①相手からだまされて財産を渡したこと

細かく分けると、相手があなたに対してだます行為をし、相手のだます行為によってあなたが勘違いをし、だまされたことによって相手に財産を渡したこととなります。

たとえば、相手が結婚する気も、お金を返す気もないのに「あなたと結婚するために、身辺整理として借金を返すために100万円を貸してほしい」と言ったとします。

あなたがこの発言によって、「結婚するためなら100万円ぐらい貸そう。あげるわけじゃないし大丈夫。」と思い、100万円を相手に渡した場合、詐欺が成立することになります。

一方で、相手の発言とは関係なく、あなたが自ら相手に借金を返して欲しいと思い、100万円を渡した場合には、詐欺は成立しないことになります。

相手からだまされたことによって財産を渡したと言えなければ、単にあげたこと(贈与)となってしまうのです。

 

②最初から相手があなたをだまして財産を取得する意思があったこと

最初からというのは、相手の「だます行為の時点で」という意味です。

上記①の例で言うと「あなたと結婚するから・・・100万円を貸してほしい」と発言した時点のことをいいます。

たとえば、発言の時点で、本当に結婚する気があり、お金も返す気でいた場合には詐欺といえません。

つまり、裁判で詐欺と認めてもらうには、最初から相手が結婚する気もお金を返す気もなかったことを証拠によって明らかにしなければならないのです。

実は、最初から相手があなたをだまして財産を取得する意思があったことを証拠によって客観的に明らかにすることは難しい場合が多いです。

相手からのメールやLINE、相手の発言を録音した記録などはっきりした証拠があれば不可能ではありません。

しかし、実際、結婚詐欺をするような人がメールやLINEで証拠を残すようなことはしません。

結婚話をするような恋愛の段階で、詐欺を疑いつつ発言を録音している人も少ないでしょう。

結果として、裁判で詐欺を認めてもらうことは難しいのです。

ただし,お金を貸したということであれば,借用書などの証拠があれば,貸金返還請求は認められる可能性は高いです。

あくまでも、結婚詐欺として慰謝料が認められることは難しいだけです。

以下の判例は、結婚詐欺であるとして、慰謝料を認めた判例になります。

【東京地判平成28年11月30日】

男性が既婚者であることを隠して婚活パーティに参加し、独身女性に対し結婚したいと告げ、度々性的関係をもち、「将来の妻として父の株を持ってもらいたい」、「役員にする」などと話を持ちかけ、男性の父が所有する株式を買い取らせたり、新事業を立ち上げるための資金を工面させたりするなどして、250万5,000円をだまし取ったため、女性が男性に対し、不法行為に基づく損害賠償請求をした事案です。

女性が不信を抱くようになって弁護士に依頼したことにより、男性が既婚者であることが判明しました。

裁判所は、上記事情に加え、女性が勤務先を退職して東京に転居したことも考慮し、だまし取られた250万5,000円に加え、慰謝料80万円の支払を命じました。

 

【東京地判平成25年7月19日】

男性がデートクラブで知り合った女性とクラブ脱会後も交際し、通常の交際を開始し、結婚を前提とした交際を開始しながら女性は結婚する気なく結婚に必要な金員を男性から出させ、双方の両親との面会日程が本格化すると姿をくらませたため、男性が金員の貸与ないし贈与の取消しを求めたという事案です。

裁判所は、「典型的な結婚詐欺である。」として、男性からの金員の貸与ないし贈与の取消しを認めました。

 

(2)婚約破棄にもとづく慰謝料

婚約破棄にもとづく慰謝料

詐欺にもとづく慰謝料が認められなくても、婚約が認められれば,婚約破棄にもとづく慰謝料請求は認められるかもしれません。

 

結婚することを約束していたにもかかわらず、正当な理由もなく一方的にその婚約を破棄されると、精神的な苦痛を受けるでしょう。

このような場合には、婚約破棄にもとづく慰謝料請求が認められます。

婚約破棄に基づく慰謝料の請求が認められるには、

 

婚約が成立していたこと

相手が正当な理由なく破棄したこと

 

の2つの条件が必要となります。

 

①婚約が成立していたこと

婚約の成立は、口約束でも成立します。

そのため、「結婚しよう」という合意があれば、婚約は成立しているといえるでしょう。

しかし、裁判においては、相手が認めている場合を除いては、客観的に婚約が成立しているといえる証拠が必要となります。

たとえば、結納を取り交わしていたり、お互いの両親が挨拶していたりすることが分かるものです。

証拠や証拠の集め方については、後述する「4 結婚詐欺で慰謝料請求するための証拠と集め方」で詳しく解説します。

 

②相手が正当な理由なく破棄したこと

婚約の成立が認められても、「正当な理由」に基づいて破棄されたのであれば、慰謝料は請求できません。

何が「正当な理由」であるかは社会常識に基づいて判断され、明確な基準はありません。

個別の事案によって判断は異なってきます。

たとえば、あなたが婚約者である相手以外の人と性的関係を持った場合には、相手が婚約破棄することに正当な理由があると認められやすいでしょう。

あなたが職業や勤務先について嘘をついていた場合にも、相手に婚約破棄する「正当な理由」があると認められやすいです。

一方で、親が反対していることや、性格が合わないといった理由で婚約破棄することは、「正当な理由」がないとされる可能性があります。

【徳島地判昭和57年6月21日】

婚約が成立し、結納も交わしていましたが、相手男性が容姿が気に入らないという理由で、一方的に電話一本で婚約破棄を通告してきました。原告である女性は挙式や披露宴の準備を進め、披露宴の招待状の発送も行なわれており、嫁入り道具も揃え、結婚に備えて会社も退職していたという事案です。

裁判所は、両者に性的交渉がなく、婚約成立までの期間が短かった事を考慮しても、慰謝料は400万円が相当であるとしました。

 

【東京地判平成29年12月4日】

同居期間が約3年と長期間で、2回わたり妊娠・中絶行っていたが、結果として正当な理由なく婚約破棄されたため慰謝料を請求した事案です。

裁判所は、妊娠・中絶があったという事情から原告が有していた被告との婚姻に対する期待は強く、かつ保護に値する程度に合理的なものであったとし、200万円の慰謝料を認めました。

関連記事:婚約破棄で慰謝料は請求できる?判例・相場・手続きを解説

 

3 結婚詐欺の慰謝料相場は?高額になりやすいパターン7つ

結婚詐欺の慰謝料相場は?高額になりやすいパターン7つ

結婚詐欺における慰謝料の相場は、30万円~300万円が相場です。

上記はあくまで目安であって、個別の事案によって異なります。

ここまで大きな差がある理由は、以下のような事情を総合的に考えて慰謝料が決まるからです。

・交際期間、婚約期間の長さ

・結婚に向けた準備の進捗

・詐欺の悪質性

・被害者の退職

・被害者の年齢

・性交渉、妊娠、出産の有無

・結婚詐欺後の事情

 

慰謝料が高額になりやすいパターンは、受けた精神的苦痛が大きいとされる場合です。

以下で、高額になりやすい例をあげますが、慰謝料は総合的に判断される点に注意してください。

 

(1)交際期間、婚約期間が長い

まず、交際期間や婚約期間が長い場合です。

交際期間や婚約期間が長くなれば長くなるほど、結婚への期待は高くなるといえるでしょう。

そのため、慰謝料は高額となる傾向があります。

 

(2)結婚に向けた準備が進んでいる

たとえば、結婚式場を決めて招待状を送ったりしている場合です。

結婚の準備を進めれば進めるほど、結婚への期待は高くなります。

そのため、慰謝料は高くなる傾向があります。

 

(3)詐欺が悪質である

詐欺の内容が悪質であったり、被害金額が大きかったりする場合です。

このような場合には、慰謝料が高くなります。

 

(4)被害者が退職していた

結婚を前提に退職し、キャリアを失っていた場合です。

この場合、結婚に対する期待が大きいだけでなく、取り返しのつかない場合もあります。

受ける精神的苦痛は大きくなるといえるでしょう。

そのため、慰謝料は高額となる傾向があります。

 

(5)被害者の年齢が高い

被害者の年齢が高いと、一般的に次の結婚相手を探すことが困難となります。

特に女性の場合は、出産年齢も関係してくるでしょう。

被害者の年齢が高いと、慰謝料が高額となる傾向があります。

 

(6)性交渉の頻度が高い、妊娠、出産している

一般的に、性交渉がない場合よりも、性交渉がある場合の方が慰謝料は高くなる傾向にあります。

妊娠、出産している場合には、中絶やひとり親になるという事情もでてきます。

その場合、結婚詐欺によって受ける精神的苦痛は大きいといえるでしょう。

結果として、慰謝料は高額となる傾向にあります。

 

(7)結婚詐欺にあった後に精神病になった

詐欺によって受けたショックで精神的な病気となった場合です。

結婚詐欺は、財産をだまし取るだけでなく、人への信頼を裏切る悪質な行為です。

結婚詐欺によって、精神的な疾患にかかる場合もあるでしょう。

そのような場合には、慰謝料も高額となる傾向があります。

関連記事:精神的苦痛(不倫・DV・モラハラなど)による慰謝料請求をするには?

 

4 結婚詐欺で慰謝料を請求するための証拠と集め方

結婚詐欺で慰謝料を請求するための証拠と集め方

(1)詐欺にもとづく慰謝料請求の場合の証拠

①相手からだまされて財産を渡したこと、②相手があなたとだまして財産を取得する意思があったことを証拠によって明らかにしなければなりません。

証拠の例としては、以下のようなものになります。

・結婚する意思があると相手が嘘をついたことを示すメールやLINE、音声記録

・相手がお金に困っていることを示すメールやLINE、音声記録

・相手が既婚者であったなどの嘘をついていたことが分かる資料

・領収証や出金、振込みがわかる通帳記録など

・お金の受け渡しが分かるメールやLINE、音声記録

・高額な物を買った場合の契約書 など

 

(2)婚約破棄にもとづく慰謝料請求の場合の証拠

①婚約が成立していたこと、②相手が正当な理由なく破棄したことを証拠によって明らかにしなければなりません。

 

証拠の例としては、以下のようなものになります。

・結納を交わしたことが分かる資料

・お互いの両親が挨拶したことが分かるもの

・結婚式場を下見・予約したことが分かるもの

・相手が結婚の意思を伝えていることが分かるメールやLINE、音声記録

・相手が分かれを告げてきたことが分かるメールやLINE、音声記録

・一方的に連絡を絶ってきたことが分かる記録 など

 

【東京地判平成19年3月28日】

婚約関係にある者が、共同でマンションを購入した場合につき、男性が別の女性と深い付き合いをしたため、婚約関係が破棄され慰謝料を請求したというものです。

本件マンション購入時の住宅ローンの関係書類に婚約者である旨を記載しており、この住宅ローン関係書類によって婚約の成立が認められ、慰謝料80万円に支払いが認められました。

 

(3)証拠の集め方

相手があなたを最初からだますつもりであった場合、本名や本当の住居などを隠していることがあるでしょう。

相手から連絡が途絶えると、こちらから連絡することは困難となり、泣き寝入りするかたもいるかもしれません。

そんな時は、以下のような方法で証拠を集めましょう。

 

警察に被害届を出す

詐欺は、刑法246条に定められた犯罪です。

警察に被害届をだした場合、警察が捜査を進め、相手が逮捕される可能性があります。

被害者はあなただけではないかもしれません。

あなたが被害届を出し、捜査に協力することによって、逮捕につながる可能性もあります。

相手が逮捕されれば、相手の素性が分かるだけでなく、詐欺を明らかにするための証拠も集めることができるかもしれません。

そうすると、慰謝料の請求が認められる可能性があります。

 

②弁護士に相談・依頼する

相手の本名や本当の住所が分からない。

もしかしたら相手は既婚者で騙されていたのかもしれない。

そんな場合でも、相手とやり取りしていた際の電話番号さえ分かれば、弁護士に依頼することによって証拠を集められる可能性があります。

弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会を通じて、依頼人のために必要な事項を調査・照会することができます。

また、弁護士は、証拠を集めるだけでなく、示談交渉や訴訟手続きなどの具体的な請求方法ついても相談・依頼が可能です。

(報告の請求)

第二十三条の二 弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。申出があつた場合において、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。

 

2 弁護士会は、前項の規定による申出に基き、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

引用:弁護士法|e-Gov 法令検索

関連記事:電話番号しかわからない場合も個人情報特定できますか?

 

③探偵に依頼する

相手の名前や住所などの情報が分からない場合、探偵に依頼することによって証拠が集められるかもしれません。

探偵事務所はさまざまな調査手法によって、相手の情報を収集することに長けています。

相手の素性が分からない場合には、証拠を収集するために探偵に依頼してみましょう。

 

5 結婚詐欺の慰謝料を請求する方法とは?

相手の素性が分かり、連絡をとることができるようになれば、ようやく慰謝料を請求することができるようになります。

慰謝料を請求する方法としては、2つあります。

 

(1)示談交渉する

示談交渉する

相手と慰謝料について話し合って決めることです。

相手が結婚詐欺を認めている場合や、証拠によって認めざるをえなくなっている場合には、示談の交渉が可能でしょう。

ただし、示談交渉するにあたっては、慰謝料の額や示談書の作成など、専門的な知識を必要とすることもあります。

相手は詐欺師ですから、交渉においてはより一層慎重になるべきでしょう。

示談交渉する場合には、弁護士に相談・依頼することをお勧めします。

 

(2)裁判を起こす

裁判を起こす

相手が詐欺や婚約破棄について認めていない場合、証拠がそろっていれば、裁判によって慰謝料を請求することも可能です。

裁判は、あなた自身で起こすこともできます。

しかし、専門的な知識がなければ、書類の作成が困難であったり、必要な証拠が分からなかったりします。

そのため、どうしても時間や労力がかかってしまうでしょう。

裁判によって慰謝料を請求する場合には、一度弁護士に相談することをお勧めします。

 

6 結婚詐欺で認められる慰謝料以外の損害賠償

結婚詐欺で認められる慰謝料以外の損害賠償

結婚詐欺によってあなたが請求したいものは、慰謝料だけではないでしょう。

詐欺によって渡してしまった財産や、婚約破棄によって生じた財産的損害の賠償も請求することができます。

たとえば、結婚式のキャンセル費用や妊娠・出産にかかった費用、退職や転職による減収などです。

 

7 まとめ

結婚詐欺は、悪質であり許される行為ではありません。

そんな結婚詐欺にあなたが遭ってしまったら、慰謝料の請求が認められる場合があります。

事情によっては、高額な慰謝料となるでしょう。

もっとも、そのような事情を明らかにする証拠が必要です。

証拠が集まったら相手と話し合い、話し合いがまとまらなければ裁判によって慰謝料を請求します。

相手の情報が少ないからと泣き寝入りせず、本コラムで述べた収集方法を参考に、証拠を集めましょう。

もし、不安なようでしたら、一度弁護士に相談することをお勧めします。

このコラムの監修者

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