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セカンドパートナーは不倫にあたるのか?離婚や不倫の慰謝料請求は認められるのか?

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ポイント説明

最近,SNSなどで「セカンドパートナー」という言葉をよく耳にします。

また,新しい恋愛を装うワードがでてきたなという感じですね。

横文字にすると,「やましい」印象が薄れるから不思議です。

さて,セカンドパートナーの関係とは,「既婚者である男女による純愛」で,キスや肉体関係を持たない,友達以上恋人未満の存在と言われています。

たとえば,キスや肉体関係がないから大丈夫だろう,と思っていたら,奥さんや旦那さんから「不倫」と言われ責められた…。

このような場合,奥さんや旦那さんから離婚や慰謝料請求は認められるのか,法的観点から解説いたします。

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今回の記事の流れ

1 離婚や不倫の慰謝料請求の根拠って?

離婚や不倫の慰謝料請求の根拠って?

(1)離婚請求の法的根拠と考え方

民法が用意する離婚の方法には,協議離婚と裁判離婚という二つの道が用意されています。協議離婚(民法第763条以下)とは,文字通り夫婦が話し合って合意してする離婚であり,原因を問わずいつでもできます。

対して,夫婦の合意によらず,一方の請求に基づいて裁判によってするのが裁判離婚(民法第770条以下)です。

この裁判離婚は原因が限定されており,
①配偶者に不貞な行為があったとき(民法第770条1項1号)
②配偶者から悪意で遺棄されたとき(同条項2号)
③配偶者の生死が三年以上明らかでないとき(同条項3号)
④配偶者が強度の精神病にかかり,回復の見込みがないとき(同条項4号)
⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき(同条項5号)
の5項目のどれかに該当する場合にのみ離婚請求が認められることになります。

そして,これは裁判をする,離婚を請求するために訴訟を提起する場合だけでなく,これらの5項目のいずれかに該当することが明らかな場合には,裁判しても請求が認められることがわかっていることから,離婚の申し出に応じて協議離婚する,という判断をする一つの指標にもなっています。

裁判離婚の離婚原因は,基本的に「破綻主義」という考え方によって規定されています。「破綻主義」とは,夫婦のいずれかに責任を問えるかどうかにかかわらず,夫婦としての婚姻関係が破綻していると客観的に認められる場合には,離婚請求を認めよう,という考え方です。

そのため,たとえ夫が浮気をして浮気相手との間に肉体関係がなかったとしても,夫婦の婚姻関係が破綻していると評価されれば離婚請求が認められることになりますので注意しましょう。

(2)不倫の慰謝料請求の法的根拠と考え方

不倫による慰謝料請求は,法的には不法行為に基づく損害賠償請求(民法第709条,710条)として請求されます。

その請求が認められる要件は,
①他人の権利利益を侵害したこと
②故意又は過失
③損害の発生
④因果関係
の4つが全て認められる必要があります。

このうち,①権利侵害については,以前は不倫をした夫と不倫相手が,肉体関係を持って不貞行為に及ぶことで,妻の夫に対する貞操請求権(貞操を維持するよう求める権利)を侵害したのだと考えられてきました(最判昭和54年3月30日民集33巻2号303頁)。
しかし,昨今は不貞行為が「婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する行為」であるとも捉えられ(最判平成8年3月26日民集50巻4号993頁)、この考え方を踏まえた裁判例も多く出てきています。

これを踏まえると,たとえ肉体関係がなかったとしても,その交際によって夫婦の婚姻関係が破綻した場合には,慰謝料請求も認められることになります。

2 セカンドパートナーでも法的責任を負う可能性がある

セカンドパートナーでも法的責任を負う可能性がある

(1)「肉体関係はない」からといって安心できない

上記の説明で,離婚にせよ,慰謝料請求にせよ,「肉体関係があった」ことが必須の条件ではないことがお分かりいただけたかと思います。セカンドパートナーを推奨するインターネットサイトでは,「体の関係がないからOK」「食事やメールだけなら不倫にならない」という,違法性を真っ向から否定する記載を見ますが,これは軽率であると言わざるを得ません。後に紹介しますが,「逢いたい」「大好きだよ」といった愛情表現を含むメールのやり取り自体に不法行為の成立を認めて慰謝料の支払いを命じた裁判例もあるのです。

不倫・浮気と法制度(婚姻制度・不法行為制度)には長い歴史があり,多くの裁判例・研究の蓄積・発展がなされてきたところであり,専門外の方ではなかなか判断の難しい部分があります。セカンドパートナーが男女関係の時代によって変化してきた形であるなら,法制度もそれに合わせて変化していきます。

セカンドパートナーを推奨するサイトは最終的に有料の出会い系サイトや既婚者用マッチングサイトへ誘導するものもあり,完全に信用してセカンドパートナーを作ろうとするのは,法律の専門家としておすすめできるものではありません。

(2)違法な場合とそうでない場合の線引きがあいまい過ぎる

セカンドパートナーと不倫相手は,親密な関係である点では共通しているものの,「肉体関係を持たない」点で異なるとされています。しかし,既に説明いたしました通り,肉体関係がなくとも不法行為として違法性を有する場合があります。

少し前に「ソフレ(添い寝フレンド)」という言葉も流行りましたが,これも肉体関係を持たない関係です。しかし,「添い寝をするような状況」を何度も抑えられた場合,例えば宿泊施設に1,2時間滞在した際の出入りの写真等,証拠の押さえられ方によっては実際には肉体関係がなくとも「肉体関係があった」と認められてもおかしくありません。

また,セカンドパートナーはお互いに既婚者と知っているうえに,恋愛感情を持っているとされています。恋愛感情があるのですから,親交を深めるうちに肉体関係に及ぶ可能性(リスク)は非常に高いと言えます。

あるいは,あなたは肉体関係に及ぶまいと固く誓っていたとしても,相手が我慢できずに肉体関係を迫ってくる可能性も高いと思われます。恋愛感情があるにもかかわらず,あなたはこれを拒めるでしょうか。仮に肉体関係に及んでしまった場合,あなたは相手が既婚者だと知っており,また自分も既婚者である以上,強姦に近いような状況でなければ,不貞行為として慰謝料請求を請求される可能性が非常に高くなってきます。

3 「婚姻関係の破綻」を理由に離婚・慰謝料請求を認めた裁判例

愛情表現を含むメールを送信したことが不法行為を構成するとした事例

愛情表現を含むメールを送信したことが不法行為を構成するとした事例
【事案】XとYは婚姻し,平成24年に調停離婚するまでに二児を設けていた。その婚姻期間中,YはZと頻繁にメールを交わし,「逢いたい」「チュ」「大好きだよ」という表現のメールをパソコンのフリーメールで送り合っていた。

【判決の要旨】(東京地判平成24年11月28日)YとZとの間に不貞行為があったという証拠はない。
しかし,愛情表現を含むメールを送ることは,性交渉の存在自体を直接推認するものではないものの,ZがYに好意を抱いており,Xが知らないままZとYが会っていることを示唆するばかりか,YとZが身体的な接触を持っているような印象を与えるようなものであり,これをXが読んだ場合XとYの婚姻生活の平穏を害することになる。
そして,これらのメールはYのIDとパスワードを知っていればブラウザで閲覧できるものであり,Yの妻であるXが上記IDを知っていることは予想でき,現にXはこれを閲覧しているのだから,Yは,Xにこれらを読まれる可能性があるなかでメールを送付している。
そうすると,Zがこれらのメールを送付したことは,Xらの婚姻生活の平穏を害するものとして社会的相当性を欠いた違法な行為である。

(1)バレなければいいという話ではありません

上記の裁判例とは別に,私的なメールのやり取りは,たとえ配偶者であっても,初受診者以外の者の目に触れることを通常想定せず,配偶者との間で性的な内容を含む親密なメールのやり取りをしていたことそれ自体を理由とする損害賠償請求は,配偶者や相手方のプライバシーを暴くものであり,また,送信したメールの内容に照らしても婚姻生活を破綻に導くことを殊更意図していないとして,不法行為の成立を認めなかった裁判例(東京地判平成25年3月15日)があります。
しかし,いずれも地裁の裁判例であり,少なくとも婚姻共同生活を破綻に導く可能性のある行為に不法行為が成立することがあるといえる以上,慰謝料請求をされることはないと思い込んでセカンドパートナーと交際することはお勧めできません。

4 セカンドパートナーと交際してしまって悩んでいる

セカンドパートナーと交際してしまって悩んでいる
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昨今はインターネットの発達によって男女の出会いが非常に気軽になりました。そのためか,セカンドパートナー,婚外恋愛と名前を変えて既婚者の男女交際が正当化されているように思えます。後腐れがないから理想の関係だと記載するサイトも見かけます。インターネットでいくらセカンドパートナーや婚外恋愛が正当化されようと,客観的には不倫,浮気です。いくら寂しい,刺激を求めたいといっても,旦那さんや奥さんからすれば裏切り行為にすぎません。
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このコラムの監修者

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