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ダブル不倫(W不倫)の解決方法―問題になるパターンや慰謝料の減額方法まで解説―

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ポイント説明

ダブル不倫といえば昼ドラでよく見る都合のいい関係,禁断の関係ですが,法律上はそこまで簡単なものではありません。

というのも,ダブル不倫は発覚してしまった場合,お互いの当事者が通常の不倫よりも軽い責任で済むか,それよりも非常に重い責任を負うかの両極端な結果になりがちだからです。ここでは,ダブル不倫で想定される状況,予想される結果,慰謝料を少しでも減額する方法について解説いたします。

今回の記事の流れ

1 ダブル不倫とは

ダブル不倫(W不倫)とは、不倫関係にある男女が共に既婚者の場合のことをいいます。例えば,A男とA子が夫婦,B男とB子も夫婦で、A男とB子が不貞行為に及んだ場合を指します。
通常の不倫の場合,不倫された配偶者は不倫関係にある二人に対して慰謝料を請求できますが,ダブル不倫の場合はこの状況が重なっており,上の例でいえば,A子はA男とB子に慰謝料請求でき,B男もA男とB子に慰謝料請求できる状況です。

ダブル不倫とは

ここでは通常の不倫の場合にはない問題点や注意すべき点がありますので以下で解説させていただきます。

2 ダブル不倫の結果の3パターン

(1)双方の家庭が再構築する

双方の家庭が再構築する

家庭では夫婦の家計は事実上同一である場合が殆どです。そのため、ダブル不倫において双方の家庭が再構築を選択した場合,ほとんど慰謝料などのお金が動かずに終わることがあります。

というのも,ダブル不倫の加害者A男の家計は被害者A子と同一,加害者B子の家計は被害者B男と同一なので,そもそもそれぞれの家庭内での慰謝料請求は気持ち以上の意味はありませんので,A夫婦とB夫婦がお金を交換するだけになるからです。そのため,熟年資産家夫婦と新婚一般夫婦のような非常に大きな違いがない限り,双方の家庭の間のお金の移動は通常の不倫慰謝料の場合と比べて少額になります。
このパターンについては,別のコラムで詳しく解説しているため,そちらの記事もご覧ください。

関連記事:ダブル不倫(W不倫)の慰謝料相殺とは

 

(2)一方の家庭が離婚するが他方の家庭は再構築する

双方の家庭が再構築する

この場合,通常の不倫の場合とあまり変わりがありません。
例えばA夫婦が再構築を選択し,B夫婦が離婚することになったとしましょう。この場合,被害者B男はA男とB子にそれぞれ慰謝料請求しますが,A夫婦は再構築を選択しているのでA子からA男の慰謝料請求はあまり考えられず,A子からB子への慰謝料請求だけにとどまります。さらに,A子からB子への慰謝料請求もA夫婦が離婚していない以上,慰謝料額が少額に留まると考えられるうえ,B子がA男に求償すると実質的に得られる金銭はさらに少額になります。
そのため,お金の動きだけ見ればB男からA男及びB子に対する請求が殆どを占めるため,通常の不倫の場合とあまり変わらない状態になります。

(3)双方の家庭が離婚する

双方の家庭が離婚する

対して,最も当事者の責任が重くなるのがこの場合です。
不倫当事者はそれぞれ不倫した配偶者であり不倫相手でもあるため,双方の配偶者から請求されることになり,通常の不倫の場合より支払うべき慰謝料額は大きくなります。

3 ダブル不倫の当事者の立たされる状況

ダブル不倫の当事者の立たされる状況

ダブル不倫の当事者は,法的にはお互いの配偶者からそれぞれ慰謝料請求される立場に立ちます。しかし,それはお互いの配偶者が不倫を把握している場合であって,当初は一方の配偶者だけ把握しているということが殆どでしょう。上の例でいえば,A子がA男の動きを怪しんで調べた結果不倫が発覚しているが、B男はまだ気づいていないという状況です。
この場合,B子が最も避けたいのはA家とB家の双方離婚するパターンです。先ほど説明した通り,B子が支払うべきお金が最も多くなるからです。そこで、B子としてはA子がB男に接触・連絡しないように動く必要があります。

例えば,A子がB子に訴訟を提起すれば,訴状などが特別送達でB家に届きますから,B男に不倫の事実を隠しながら事態の収拾を図るのは極めて難しくなります。また,A子との交渉が滞ると,急かすためにB男に知らされるリスクも高まりますし,B男に知られずに交渉をまとめても合意した慰謝料を支払えなければ,訴訟を提起されたり強制執行の申し立てをされたりすることが予想されるため,結局B男に知られてしまうことになります。

A子とB男は被害者側で加害者であるA男とB子ら加害者に責任を追及するという点においては利害が一致するため,証拠の共有等がされ,B男も離婚を決意してA男B子に慰謝料請求する可能性も非常に高くなります。
このような場合,B子としては交渉を滞りなくまとめ,かつ速やかに支払いをするということが求められます。非常に繊細な交渉が求められることになりますので,早い段階で是非弁護士にご相談ください。

4 ダブル不倫の慰謝料

(1)ダブル不倫の慰謝料相場

ダブル不倫の場合であっても,慰謝料の相場は通常の不倫の場合と同様です。

関連記事:不倫慰謝料の額は異なる?不貞行為した場合の相場や判例を紹介

 

まず,被害者,A子がA男とB子に慰謝料請求する場合にはA子とA男,が離婚するか否かによって相場が変わってきます。

離婚しない場合50万円~100万円
離婚する場合200万円~300万円

慰謝料加算の要素も通常の不倫の場合と同様ですが,W不倫の場合,請求されている人が不倫関係を主導していたといえる場合には慰謝料額が加算されます。

離婚する場合・請求者の別居費や養育費が上積みされる場合
精神的ダメージが高い場合・請求者の婚姻期間が長い場合

・請求者の夫婦関係が良好であった場合

・不倫相手と配偶者の間で子供が生まれた場合

悪質性が高い場合・被請求者が配偶者を既婚者と知っていた場合

・被請求者が不倫関係を主導していた場合

・不倫の頻度が高い、期間が長い場合

・不倫に対する謝罪がない場合

(2)ダブル不倫の減額方法

ダブル不倫の減額方法

大きな減額要素としては,不倫関係が始まる前から請求者側の夫婦(A子が請求する場合,A子とA男)関係が破綻していた場合には,大きな減額を見込めます。
これは,請求者から見て不倫相手(B子)に慰謝料請求できる根拠は,不倫相手(B子)が夫婦(A子とA男)関係の破綻を招き家庭の平穏を乱した点にあるからです。不倫前からA子とA男の関係が破綻していたといえる場合には,B子がA子とA男の関係を悪くしたわけではありませんから,そもそも慰謝料請求が認めらえないということもあります。

また,被害者側(A男)が不倫を主導していた場合や,B家よりもA家の方が婚姻期間が長い場合,B家からA男に対する慰謝料請求と比較して,A家からB子に対する慰謝料請求を減額することができます。

さらに,例えばB子が不倫関係の発覚を理由として職場を退職したなど社会的制裁を受けている場合には,A子からB子に対する慰謝料請求が減額される余地があります。

減額できる事情や主張の方法はケース・バイ・ケースですので,慰謝料請求・被請求を多く取り扱っている弊所の弁護士にぜひご相談ください

5 ダブル不倫(W不倫)で慰謝料請求したい・請求されて困っている方は,慰謝料請求・被請求を多く取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

ここまでの説明でお分かりいただける通り,ダブル不倫の事案は非常に複雑で一歩対応を間違えれば慰謝料を請求しても意味がない,又は高額な慰謝料を請求されてしまうということがお分かりいただけたと思います。
弊所では慰謝料を請求する事案,慰謝料を請求される事案,ともに数多くの事件を担当し,解決に導いてまいりました。事態がこじれる前に,可能な限り早くご相談ください。

このコラムの監修者

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