LINE(ライン)は不倫・浮気の証拠になる?やってはいけないNG行動4つ
「夫の携帯電話に見知らぬ女性から頻繁にLINE通知があったため見てみたら、不倫相手からの連絡でした。夫が不倫をしたことはトーク履歴を見れば明らかなのですが、今のところ他に証拠は見当たりません。LINEのトーク履歴を証拠に慰謝料請求ができるのでしょうか。」
インターネットが普及した近年、LINE等のコミュニケーションアプリを利用して浮気相手と簡単に連絡を取ることができる反面、LINEをきっかけ浮気が発覚することも増えています。
それでは、LINEのトーク履歴を証拠として、配偶者や不倫相手に対して慰謝料請求をすることができるのでしょうか。また、証拠とすることが認められる場合、どのような点に注意すればいいでしょうか。以下に説明していきます。
目次
1 LINE(ライン)のトーク履歴のスクリーンショットは不倫の証拠となるか
(1)ラインのトーク履歴のスクリーンショットに、証拠能力は認められるのか
民事訴訟では、原則として、証拠能力に制限はないと考えられています。
そのため、ラインのスクショやトーク履歴であっても、裁判における証拠となります。
(2)ラインが不倫の証拠になる場合
配偶者や不倫相手に対して慰謝料請求をする場合、配偶者が不倫相手と「不貞行為」をしたこと、すなわち、肉体関係をあったことを立証しなければなりません。
具体的には、ホテル内で撮影したと思われる写真や、二人でホテルに出入りしているところを撮影した写真は、肉体関係の存在を強く推認されます。
そのほかにも、同棲していることがわかるやりとりや、不倫や肉体関係の存在を認めるやり取りが存在する場合には、肉体関係の存在を示す有力な証拠となります。
(3)ラインが不倫の証拠にならない場合
不貞行為を理由に慰謝料請求が認められるためには、「不貞行為」の存在、すなわち肉体関係を立証しなければなりません。
そのため、どんなに親密な様子で長文のやり取りを長期間繰り返していても、肉体関係を窺わせる内容のやり取りでない限り、不貞行為の証拠とはなりません。
二人で宿泊する旅行に行き、その際に肉体関係を窺わせるやり取りがないかを調べる必要があります。
(4)ラインだけで慰謝料請求ができるのか
トーク履歴が「極めて親しげ」で「男女関係を匂わせる」ものであれば,肉体関係があったことを立証できる可能性があります。
しかしながら,内容次第で,「単なる冗談」「仲のいい友人」という言い逃れにより、肉体関係がないと反論が可能なので、それのみでは不貞行為の証拠としては足りないこともないわけではありません。
そこで、他の証拠をトーク履歴と組み合わせることにより、証拠としての証明力を高めることが必要となります。
そこで、トーク履歴と同一日時に不貞相手と旅行に行っている写真がSNSにアップされていないか、ラブホテルのレシートやクレジットカードの利用明細が残っていないか等を調べてみたり、興信所や探偵事務所の調査報告書を利用することで、不貞行為の存在を立証し、慰謝料請求が認められることも可能となります。
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2 LINE(ライン)の証拠の残し方
ラインのトーク履歴の保存方法としては、①トーク履歴をスクリーンショットする、②テキストファイルとして保存する、③携帯電話の表示画面を写真撮影する、等の方法が考えられます。
(1)トーク履歴のスクリーンショット
携帯電話のスクリーンショット機能を利用すれば、携帯電話に表示されたトーク履歴を画像データとして保存することができます。
不倫相手とのトーク履歴は、長期に渡って意味のないやり取りが交わされている場合が多く、全てをスクリーンショットするのは困難な場合があります。その様な場合は、不倫相手との肉体関係を持ったことが分かる部分を撮影しましょう。
そして、日付や時間、送信相手がしっかりと写る形で撮影する必要があります。
また、メッセージが長くて一度のスクリーンショットに納まらない場合には、前後のメッセージのつながりが分かる形で、何回かに分けて撮影しましょう。
(2)テキストファイルとして保存する方法
ラインでは、トーク履歴をテキストファイルとして送信して保存する機能があります。
①まず、トーク画面の右上部のメニューを開き、歯車マークを押して設定を開きます。
②次に、トーク設定画面にある、「トーク履歴を送信」を選択します。
このようにして、トーク履歴をテキストファイルとして保存することができます。
この方法は、配偶者の端末を長時間いじる必要がありませんので、不貞行為が長期間に渡り、トーク履歴の全てを写真撮影する時間がないときに有効です。
もっとも、テキストファイルは改竄が可能ですので、証拠としての信用性が低いと判断される危険があります。
そのため、トーク履歴を保存する場合は、できる限り、スクリーンショットや写真撮影などにより、画像データとして保存することをお勧めします。
(3)携帯電話の表示画面を写真撮影する
あるいは,携帯電話に表示したトーク履歴を写真撮影をする方法があります。
スクリーンショットする場合と同様に、不倫相手との肉体関係を持ったことが分かる部分を、日時が写る形で撮影しましょう。
また、画面に納まらない長文の場合は、文章の前後のつながりが分かる形で撮影しましょう。
撮影の時間がないときは,スクロールしているシーンを動画撮影しておくのも一つの方法です。
3 夫(妻)や浮気相手がLINE(ライン)を消す場合もある
不倫に気づいたとしたも、証拠集めに手間取っている間に、配偶者や浮気相手がトーク履歴を削除してしまうケースも少なくありません。
それでは、トーク履歴を削除されてしまった場合、どうすればいいのでしょうか。また、トーク履歴の削除されることに備えて、どうすればいいのでしょうか。
(1)運営会社にトーク履歴の開示を求めても対応してもらうことはできない
まず、トーク履歴を削除されてしまった場合、ラインの運営会社であるLINE株式会社に、トーク履歴の開示を請求することが考えられます。
しかし、トーク履歴は個人情報ですので、LINE株式会社がトーク履歴の開示請求に応じるのは、本人の同意がある場合の他、捜査機関から要請があった場合など、関係法令に基づく場合に限られています。
そのため、弁護士を通じてトーク履歴の開示を請求しても、本人の同意がない限りはトーク履歴は開示を期待することはできません。
しかしながら,トーク履歴を復元するような方法も,専門業者に頼めば可能であることもあるようですので,専門業者に復元を依頼することも検討してみてください。
(2)証拠を隠滅されることに備えてどうすればよいのか
以上から、配偶者や浮気相手による証拠隠滅に備えるためには、証拠集めをしていることに気づかれない様に証拠集めをする他ありません。
例えば、ラインではトークを開くと既読マークがついてしまうため、注意が必要です。
他に配偶者に秘密で証拠集めをする方法としては、SNSで不倫を窺わせる書き込みがないか、クレジットカードの利用明細に不審な出費がないかを調べたり、ETCやGPSの履歴を調べる方法が考えられます。
また、金銭的な余裕があるのであれば、探偵を雇って浮気現場を写真撮影することができれば、決定的な証拠とすることが可能です。
4 LINE(ライン)で不倫・浮気を疑ったときにやってはいけないNG行動4つ
信じていた配偶者の不貞行為を知ってしまった場合、感情的に不安定になり、極端な行動に移ってしまう場合もしばしば見受けられます。
しかし、以下のような行動は、被害者自らにとって不利益となりますので、行わない様にしましょう。
(1)感情に任せて配偶者を問い詰める
その場の感情に任せて配偶者を問い詰めても、不貞行為をした配偶者が素直に不貞行為を認めないこともあります。
むしろ、その後は証拠を隠滅した上で、細心の注意を払って不貞行為を継続する可能性もあります。
そのため、感情に任せて配偶者を問い詰めることは極力避けましょう。
(2)不倫相手に直接メッセージを送る
配偶者に対しては愛情から許すことができても、不貞行為の相手方に対しては、家庭を壊したことの怒りから直接過激なメッセージを送ってしまうことが散見されます。
ですが、不貞相手にメッセージを送っても、証拠隠滅のきっかけとなるだけで、隠れて不貞行為を継続する危険性があります。
(3)証拠の改竄・捏造行為
証拠が見つからない場合でも、捏造したり改竄してはいけません。不正が発覚して慰謝料請求ができなくなるだけに留まらず、犯罪となる危険性があります。
(4)違法な証拠収集行為
不貞行為の証拠を収集するために、違法な証拠収集をしてはいけません。
例えばですが,不貞相手の家に侵入して盗聴器を仕掛ける等、違法な盗聴や住居侵入をしてはいけません。
5 LINE(ライン)の個人情報だけで不倫・浮気相手に慰謝料請求できるか
配偶者が不貞行為をしている場合、不貞相手の名前を偽名にしている場合があり、ラインのトーク履歴のみでは不貞相手の個人情報が一切分からない場合もあります。
それでは、個人情報が不明な場合に、慰謝料請求は認められるのでしょうか。
(1)訴状に記載する必要のある当事者の情報
民事訴訟法133条1項および2項により、民事訴訟を提起する場合には、当事者を特定する必要があります。
そして、当事者の特定は、氏名、住所の記載によりなされます。そのため、不貞行為による慰謝料請求をする場合にも、原告が、被告の氏名及び住所を訴状に記載する必要があります。
それでは、不貞相手の氏名も住所も分からない場合、不貞相手に慰謝料請求をすることが認められないのでしょうか。
(2)「弁護士照会制度」の活用
弁護士は、弁護士会照会制度(弁護士法23条の2)を利用することで、各種の団体に対し必要な情報を照会し、報告を求めることができます。
例えば、不貞相手の電話番号やメールアドレスがわかる場合には、携帯電話会社に対し契約者情報を照会することで、氏名や住所を照会することできる場合があります。
そのため、不貞相手の個人情報が不明な場合には、弁護士照会制度を利用するための情報がトーク履歴に載っていないかを調べることで、訴訟提起につながることとなります。
関連記事:電話番号しかわからない場合も個人情報特定できますか?
6 LINE(ライン)の証拠を押さえてから不倫相手に慰謝料を請求するまでの流れ
(1)示談交渉の開始
依頼者から不貞相手に対する慰謝料請求の相談がされた場合、証拠を集めた後は、不貞相手に受任通知を送付した上で、示談交渉が開始します。
(2)訴訟の提起
示談交渉で解決ができない場合、裁判所に対して訴状を提出し、慰謝料請求訴訟を提起します。また、調停手続を申し立てることも可能です。
訴訟を提起すると、その後は、不貞相手による反論がなされ、依頼者による再反論、不貞相手による再々反論、、、という流れで進行します。
(3)裁判上の和解
訴訟手続の進行中でも、裁判所から和解を打診されることが多く、当事者間で折り合いがつけば、裁判上の和解という形で終了することができます。
(4)確定判決による訴訟の終了
裁判上の和解がなされなかった場合には、不貞行為の有無、慰謝料の金額等について裁判所が判断して上で、判決が出されることになります。
そして、判決が下されてから2週間以内に当事者が不服を申し立てなければ、判決が確定し、訴訟が終了します。
(5)強制執行
示談調書や和解調書、確定判決が出されたにもかかわらず、相手方が賠償金を支払わない場合には、各調書や確定判決を債務名義として、強制執行の申立てが認められます。
7 終わりに
以上の様にして、ラインの証拠から,不貞行為を理由に慰謝料請求をすることとなります。
ですが、法律知識のない一般の方が、証拠収集から示談交渉、裁判手続にいたるまでを、日常生活を過ごしながら適切に行うことは難しいです。
当事務所にご相談いただいた際には、男女問題に関する慰謝料請求に関する豊富な経験と知識を有する弁護士が多く所属していますので、問題を適切に処理し、解決することができます。また、弁護士が窓口として全ての対応を行いますので、相手方からの理不尽な対応に悩まされることもありません。
また、弁護士費用に関してもご安心下さい。当事務所は、神戸、難波、堺を中心に、地元に密着し、依頼者に寄り添う法律事務所として、良心的な費用を設定しています。また、初回法律相談は無料となっております。
配偶者の不貞行為にお悩みの方は、お一人でお悩みになるのではなく、一度、当事務所にご相談下さい。誠心誠意ご対応させていただきます。
このコラムの監修者
田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録
弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、また100人以上の方の浮気、不貞、男女問題に関する事件を解決。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、 豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。