ドライブレコーダーが不倫・浮気の証拠になる?記録の残し方と消された場合の対処法
「夫が急に仕事で外泊すると言ったので不審に思い、車のドライブレコーダーを確認したら、旅行相手は見知らぬ女でした。このドライブレコーダーの記録を使って浮気相手に慰謝料請求ができるのでしょうか。」
ドライブレコーダーとは、自動車に取り付けて映像や音声を記録する車載装置のことをいい、主に交通事故における事故状況を記録するために利用されています。
そして、ドライブレコーダーは、浮気・不倫の証拠として、当人たちも見落としがちであって消し忘れていることがあります。
また、逆に、その日、車で出かけたにも関わらず、その履歴やドライブレコーダーの映像が消されているのであれば、それは何かやましいことに車が用いられたことを示すものでもあります。
ですから、ドライブレコーダーについても必ず忘れずにチェックするようにしましょう。
では、ドライブレコーダーに不倫の映像や音声が記録されていた場合に、慰謝料請求の証拠として利用することができるのでしょうか。
目次
1 ドライブレコーダーが不倫・浮気の証拠になるのか
「配偶者が異性と腕を組んで歩いていた」
「配偶者が異性と抱き合っていた」
「配偶者が異性とキスしていた」
ドライブレコーダーにこれらの映像が記録されていた場合、配偶者と浮気相手に怒りを覚える気持ちは理解できます。ですが、慰謝料請求が認められるかどうかは別の問題です。
それでは、ドライブレコーダーどのような様子が記録されていれば、慰謝料請求が認められるでしょうか。
(1)「不貞行為」(肉体関係)を立証する必要がある
不倫を理由に慰謝料請求をする場合、「不貞行為」、すなわち肉体関係の存在を立証しなければなりません。もっとも、肉体関係の存在までは認められなくても、不貞類似行為、例えば、キス、性交渉の前戯、抱き合っている、という状況があれば、不貞類似行為として慰謝料請求が認められる可能性もあります。
あるいは、二人で性交渉についての会話をしているなどの場合には、夫婦の婚姻関係を破綻させるような社会的に不相当な行為として、慰謝料請求が認められる可能性もあります。
したがって、ドライブレコーダーで、こうした内容が認められるかを検討する必要があります。
(2)ドライブレコーダーによる不倫・浮気の立証方法
まず、ドライブレコーダーに、カーセックスの現場が撮影されていれば、肉体関係の存在は認められるでしょう。ただし、画像が荒くて、不倫相手が誰なのか分からないということはありますので、不倫相手の誰であるのかの特定が別途必要である可能性はあります。
もっとも配偶者が不貞行為をしていたことはまず間違いなく立証できるでしょう。
また、車でラブホテルに行っているような場合にも肉体関係の存在が推認される可能性があるでしょう。この場合には、ラブホテルに行っているので、ラブホテルに行ったという事実自体で、不貞行為が認定される可能性が高いです。
他方で、抱き合っているとか、キスをしているだけの場合には、ドライブレコーダーだけで不貞行為とまでは認められません。
しかし、その行為は、不貞行為ではないにしても、社会的に不相当な行為であることは明らかですので、不貞類似行為として損害賠償請求できたり、あるいは社会的に不相当な行為として不法行為に基づき損害賠償請求できる可能性があります。
また、車内での会話の中に、過去に性交渉に及んだことが分かるような会話をしていれば、不貞行為の証拠となる可能性があります。
逆に、例えば、単に会話をしているだけであれば、その会話が「友人」同士でもありうる内容であれば、不貞行為の立証にまではならないでしょう。
しかし、この場合であっても、向かった目的地が、いわゆるデートスポットに行っているような場合には、親密な交際関係であると推認され、夫婦の婚姻関係を破綻させるような社会的に不相当な行為として慰謝料請求が認められるケースもあります。
また、他の証拠、例えばラインのやりとりで性交渉があったことを思わせる内容や交際していることを伺わせるメッセージがあったりすると、状況証拠(関節証拠)を積み重ねることで、不貞行為を立証できることもありますし、そこまでいかなくとも不貞類似行為、社会的に不相当な行為として慰謝料請求が認められる可能性があります。
不貞行為が立証できるかどうかは事案により異なりますので、慰謝料請求のためにどのような証拠を集めればよいか不安に思われた場合には、一度弁護士に相談されることをお勧めします。
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2 ドライブレコーダーの記録の残し方
それでは、浮気調査のためにドライブレコーダーを設置する場合、どのような点に注意する必要があるでしょうか。
(1)録画方式について
ドライブレコーダーには、「常時録画」と「イベント記録」の二通りの録画方式があります。
「常時録画」は、エンジンがかかっている運転中のみ録画する方式です。
「イベント記録」は、交通事故などの衝撃が加えられた場合に録画される方式です。
「イベント記録」は主に交通事故の際に証拠として利用されるもので、不貞行為の調査の際には、「常時録画」により記録された映像を利用することとなります。
(2)記録時間を把握する
ドライブレコーダーをフルHD(解像度1920×1080)で常時録画する場合、記録時間は8GBにつき約1時間程度となり、保存容量を超えた場合には古いデータから上書きされてしまいます。
浮気現場を記録するためには長時間の録画が必要となりますので、どの程度の容量が必要かを計算した上で購入するようにしましょう。
(3)GPS機能がついているものを選ぶべき
GPS機能が付いているドライブレコーダーなら、地図アプリと連携することにより、不貞行為の日時と場所を詳細に分析することができます。
あるいは、カーナビで走行履歴を見るということも考えられます。
不貞行為を立証する際には、撮影日時や撮影場所が不明確であれば言い逃れができてしまうことがありますが、GPSからの位置情報を分析することで、不貞相手と会っていた時間と場所を明らかにすることができます。
このように、音声や映像記録に加え、詳細な時間と位置情報を加えることで、不貞行為を証明する状況証拠とすることができ、証拠集めに役立てることができます。
3 ドライブレコーダーの記録を消された場合の対処法
ドライブレコーダーで記録された不貞行為の証拠データは、機器の操作により容易に削除が可能です。また、SDカードに記録された映像や音声は、その都度回収しなければ上書き保存されてしまいます。
それでは、ドライブレコーダーの記録が配偶者に消去されたり、回収する前に上書き保存されてしまった場合、不貞行為を立証することはできないのでしょうか。
(1)専門家にフォレンジック調査を依頼する
「フォレンジック」 (forensic) とは、訴訟において、電磁的記録を証拠化するための情報解析の技術をいいます。 そして、パソコン等の電子機器に記録されたデジタルデータを証拠化する技術を「デジタルフォレンジック」といいます。
パソコンや携帯電話等の電子機器に保存されたデータは、簡単に消去することが可能ですが、専門家によるデジタルフォレンジックにより、消去されたデータを復元することも可能です。
専門家に復元を依頼する場合は当然料金がかかってしまいますが、データを消去されたからといって諦める必要はありません。データの復元が可能かどうか、専門家に相談してみましょう。
4 おわりに
以上に説明した様に、ドライブレコーダーに記録されたデータは、不倫の慰謝料請求において、不貞行為を証明する証拠として活用することができます。
もし、ドライブレコーダーの利用方法がわからなかったり、データが消去されてしまった場合には、一度弁護士に法律相談をすることをお勧めします。証拠の収集に限らず、相手方との交渉から裁判手続に至るまで、弁護士が適切にアドバイスすることで、ご依頼主の負担を大きく緩和することができます。
弁護士法人法律事務所ロイヤーズハイには、男女問題に関する慰謝料請求に関する豊富な経験と知識を有する弁護士が多く所属しています。また、弁護士費用に関してもご安心下さい。当事務所は、地元に密着し、依頼者に寄り添う法律事務所として、良心的な費用を設定しております。
初回法律相談は無料となっておりますので、配偶者の不貞行為にお悩みの方は、お一人でお悩みになるのではなく、一度、当事務所にご相談下さい。誠心誠意ご対応させていただきます。
このコラムの監修者
田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録
弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、また100人以上の方の浮気、不貞、男女問題に関する事件を解決。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、 豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。