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過去の浮気で慰謝料請求したい!時効と立証の問題を徹底解説

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過去の浮気で慰謝料請求したい!時効と立証の問題を徹底解説

何年も前に夫(妻)が浮気をしていたことを知ることは珍しくありません。

そんな時、「もう過去のことだから。」と離婚や慰謝料の請求を諦めるかたもいると思います。

しかし、過去の浮気であっても離婚や慰謝料を求めることができる可能性はあります。

今回は、過去の浮気で慰謝料請求する場合の時効や立証について解説します。

なお、本コラムは、令和2年4月1日から施行されている民法改正に対応しています。

目次

 

1 過去の浮気が発覚した場合にすべき対応

過去の浮気が発覚した場合にすべき対応

過去の浮気が発覚し、慰謝料を求める場合、注意しなければならないことは時効です

時効が成立してしまうと、慰謝料を求めることは非常に困難となります。

そして、時効を止めるためには、後述するようにできるだけ早く請求をする必要があります。

できるだけ早く請求をするためには、浮気の証拠を用意する必要があります。

そのため、過去の浮気が発覚した場合は、まず、浮気の証拠を集める必要があります

例えば、夫(妻)が認めている場合には、ボイスレコーダーなどに音声を録音しておきましょう。

関連記事:【完全版】旦那の浮気の証拠がつかめない?不倫の証拠14選を紹介

 

2 過去の浮気に対する慰謝料請求の時効はいつ?

過去の浮気に対する慰謝料請求の時効はいつ?

(1)損害及び加害者を知った時から三年間

過去の浮気に対する慰謝料請求は、不法行為に基づく損害賠償請求の一種です。

そのため、浮気を理由とする慰謝料請求は、損害及び加害者を知った時から3年間行使されなかった場合に、時効によって消滅します。

(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)

第七百二十四条 不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。

二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。

引用:民法 | e-Gov法令検索

(2)損害を知った時

「損害…を知った時」とは、被害者が損害の発生を現実に認識した時をいいます(最判平成14年1月29日判決)。

そのため、浮気を理由とする慰謝料請求の場合には、具体的な不貞行為があったということを認識した時です。

 

(3)加害者を知った時

「加害者を知った時」とは、加害者の氏名、住所を認識した時をいいます(最判昭和48年11月16日判決)。

そのため、浮気を理由とする慰謝料請求の場合には、浮気相手の氏名、住所を認識した時です。

相手の顔や性別、職業については知っていたものの、氏名、住所については認識していなかった場合、時効は進行していません。

人伝えやSNSなどによって過去の浮気の事実を知ったとしても、相手の氏名や住所まで分かっていない場合には、いまだ時効は進行しておらず、慰謝料を請求することは可能だということになります。

なお、浮気相手の住所が分からない場合には下記コラムをご参照ください。

参照記事:浮気相手の名前しかわからない場合でも慰謝料の請求はできる?

 

(4)浮気から20年が経っている場合

いまだ、浮気相手の氏名や住所が分からずとも、過去における最後の浮気から20年間経過している場合は、慰謝料の請求ができなくなるので注意が必要です。

 

3 慰謝料請求の時効を止める方法はあるのか

慰謝料請求の時効を止める方法はあるのか

上記の通り、過去の浮気で慰謝料を請求する権利は、時効によって消滅します。

一度時効によって消滅した権利を行使することは、非常に困難です。

しかし、これは何もせずに時効が進行してしまった場合です。

時効の進行を止める方法は存在します

そこで、慰謝料請求の時効を阻止する方法を詳しく解説します。

 

(1)時効の更新と完成猶予について

慰謝料請求の時効は、時効の更新をしたり完成猶予させたりすることが可能です。

 

①時効の更新

時効の更新とは、一定の事由の存在によって、新たな時効の進行が開始することをいいます。

つまり、ある事由が発生することによって経過した時効期間がリセットされるのです。

更新後の時効期間の長さは、原則として更新前の時効期間と同じです。

ただし、裁判所の判決などによって確定した権利の消滅時効期間は、民法169条により10年となります。

 

時効の完成猶予

時効の完成猶予とは、一定の事由が発生した場合に、その事由の継続中およびその事由の終了時から一定期間が経過する時までの間は時効が完成しないこといいます。

つまり、ある事由をきっかけに進行していた時効がストップし、ある事由が消滅したあとに続きから時効が進行することになります。

 

(2)慰謝料請求の時効を阻止する具体的な方法

①催告する

催告とは、裁判外で、債権者が債務者に対して、債務の履行のために一定の行為を要求することをいいます。

たとえば、浮気相手に対して、「浮気の慰謝料を支払ってほしい。支払ってもらえないなら訴える。」と伝えることです。

催告をすると、その時から6ヵ月を経過するまでの間は、時効の完成がストップされます(時効の完成猶予)。

ただし、時効がストップしている間に再び催告を行っても、さらに時効の完成猶予がなされるわけではないので注意してください。

証拠を残すためにも、催告は内容証明郵便によって行うことが一般的です。

内容証明郵便による催告によって、浮気相手に対して慰謝料の支払いを心理的に促すことが可能であり、時効の完成を猶予する以外の効果も期待できます。

(催告による時効の完成猶予)

第百五十条 催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

2 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。

引用:民法 | e-Gov法令検索

②裁判を提起する

裁判によって浮気の慰謝料を請求した場合、裁判中は時効にかかりません。

裁判によって権利が確定しなかった場合、裁判終了の時から6ヵ月を経過するまでの間は時効の完成猶予がなされます。

裁判によって権利が確定した場合、時効の更新が認められ、リセットされた時効が新たにスタートすることになります。

(裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新)

第百四十七条 次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。

一 裁判上の請求

(略)

引用:民法 | e-Gov法令検索

③話し合うことを合意する(協議を行う旨の合意)

令和2年4月1日の民法改正によって、協議を行う旨の合意による時効の完成猶予が新設されました。

この規定によって、時効にかかってしまいそうな債権がある場合、書面で合意を取り交わして一時的に時効を完成猶予させることが可能となります。

この場合に時効の完成をストップさせられるのは、次のうちで最も早く到来する時点までです。

・合意のときから1年が経過したとき

・合意において当事者が1年未満の協議期間を定めていたときには、その期間が経過したとき

・当事者の一方が相手方に対して協議の続行の拒絶を書面で通知したときから6ヶ月が経過したとき

話し合うことの合意は、メールやLINEなどによる場合でもかまいません。

たとえば、メールで「浮気の慰謝料を支払ってほしい。」と浮気相手に伝え、相手から「その件で話し合いたい」などとの返信がきた場合、浮気の慰謝料請求については時効の完成がストップします。

上記の例で注意しなければならないのは、催告ではなく催促であることです。

単に浮気の慰謝料を求める内容である場合は催促となり、裁判の提起などの法的措置を取ることを視野にいれているといった内容である場合は催告となります。

催告によって時効の完成が猶予されている間に、話し合う旨の合意があったとしても、時効の完成猶予は認められないため注意してください。

(協議を行う旨の合意による時効の完成猶予)

第百五十一条 権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、次に掲げる時のいずれか早い時までの間は、時効は、完成しない。

一 その合意があった時から一年を経過した時

二 その合意において当事者が協議を行う期間(一年に満たないものに限る。)を定めたときは、その期間を経過した時

三 当事者の一方から相手方に対して協議の続行を拒絶する旨の通知が書面でされたときは、その通知の時から六箇月を経過した時

2 前項の規定により時効の完成が猶予されている間にされた再度の同項の合意は、同項の規定による時効の完成猶予の効力を有する。ただし、その効力は、時効の完成が猶予されなかったとすれば時効が完成すべき時から通じて五年を超えることができない。

3 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた第一項の合意は、同項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。同項の規定により時効の完成が猶予されている間にされた催告についても、同様とする。

4 第一項の合意がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)によってされたときは、その合意は、書面によってされたものとみなして、前三項の規定を適用する。

5 前項の規定は、第一項第三号の通知について準用する。

引用:民法 | e-Gov法令検索

④債務の承認

債務の承認があった場合、時効がリセットされ新たに時効がスタートします。

たとえば、浮気相手が「浮気があったのは事実です。慰謝料を支払います。」と言う場合です。

後日、「浮気があったというのは嘘です。やっぱり支払いません。」と言われないよう、口頭の場合は必ずボイスレコーダーなどによって証拠を残すようにしましょう

(承認による時効の更新)

第百五十二条 時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める。

(略)

引用:民法 | e-Gov法令検索

(3)時効期間が経過している場合

時効期間が過ぎてしまっても、自動的に相手の支払義務が消滅するわけではありません。

時効によって確定的に慰謝料の支払い義務が消滅するためには、相手の「時効の援用」が必要です。

「時効の援用」とは、当事者が時効の利益を受ける意思を表明することをいいます。

つまり、慰謝料を支払う義務がある相手が「浮気による慰謝料の支払い義務は、時効によって消滅しているため、私は支払いません。」と主張することです。

時効が過ぎても支払いたいと思う人はいるでしょうし、そのような人の意思を尊重するために時効の援用という制度が認められているのです。

また、時効期間が経過した後、時効の援用をする前に相手が債務の承認にあたる行為をした場合、その後に時効の援用が認められなくなる可能性があります。

例えば、時効期間が経過しているにもかかわらず、相手が「もう少しだけ待ってほしい。払うから。」と言った場合です。

そのため、相手が時効の援用をする前に、相手に債務の承認をさせることで、慰謝料の支払いを求めることができるようになります。

 

4 過去の浮気を立証する方法とは

過去の浮気を立証する方法とは

慰謝料を請求するといっても、過去の浮気を証明しなくてはなりません。

過去の浮気を立証するには、過去に浮気があったことを証明する証拠が必要となります。

浮気を証明する証拠については、別のコラムにおいて詳述していますので、そちらをご確認ください。

参照記事:【完全版】旦那の浮気の証拠がつかめない?不倫の証拠14選を紹介

 

5 過去の浮気に対する慰謝料請求をされた場合は弁護士にご相談を!

今回は、過去の浮気に対する慰謝料請求したい場合について解説しました。

過去の浮気に対する慰謝料請求で気を付けなければならないことは、時効です。

時効を完成させないためにも、できるだけ早く証拠を集めて慰謝料を請求することが重要です。

もし、どうすればいいか分からず不安な様でしたら、一度弁護士に法律相談をすることをお勧めします。弁護士に依頼した場合、慰謝料請求のみならず、離婚や親権、養育費などについても相談が可能です。また、証拠収集から示談交渉、裁判手続に至るまでを弁護士が代わって処理することで、ご依頼主の心理面、労力面での負担が大きく緩和されます。

弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイには、男女問題に関する慰謝料請求に関する豊富な経験と知識を有する弁護士が多く所属しています。また、弁護士費用に関してもご安心下さい。当事務所は、地元に密着し、依頼者に寄り添う法律事務所として、良心的な費用を設定しております。

また、初回法律相談は無料となっておりますので、配偶者の浮気・不倫にお悩みの方は、お一人でお悩みになるのではなく、一度、当事務所にご相談下さい。誠心誠意ご対応させていただきます。

このコラムの監修者

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