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生活保護受給者が浮気相手だった!慰謝料の請求方法と回収できない場合の最善策

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生活保護受給者が浮気相手だった!慰謝料の請求方法と回収できない場合の最善策

結婚してからパートナーの浮気が発覚することは珍しくありません。

実際、離婚したい理由の統計を見てみると、夫から妻への申立て、妻から夫への申立て共に「異性関係」がTOP5に入っています。

参照:第19表 婚姻関係事件数-申立ての動機別申立人別|裁判所

 

そんなパートナーの浮気相手が生活保護受給者であった場合、慰謝料請求はできるのでしょうか。

生活保護制度でもらえる受給金額は、憲法25条の理念に基づいて定められた最低生活費が基準になります。

第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

(略)

引用:日本国憲法|e-Gov 法令検索

参照:生活保護制度 |厚生労働省 (mhlw.go.jp)

 

最低生活費は住んでいる地域や世帯人数などによって異なりますが、最低生活費しか持たない生活保護受給者に対して慰謝料請求が認められる場合、生活保護受給者が生活できなくなるおそれがあります。

今回は、そんな生活保護受給者に対して慰謝料請求ができるのか、慰謝料請求できるにしても回収することが可能なのかにつき解説します。

目次

1 生活保護受給者が浮気相手だった場合、慰謝料を請求できるのか?

生活保護受給者が浮気相手だった場合、慰謝料を請求できるのか?

結論からいいますと、生活保護受給者が浮気相手だった場合であっても、慰謝料を請求することはできます。

 

(1)慰謝料請求が認められる条件

慰謝料とは、受けた精神的苦痛に対する賠償金のことです。

浮気の慰謝料請求は、民法709条が定める不法行為にもとづく損害賠償請求の一種であり、以下の条件を満たせば請求が認められます。

①不貞行為があったこと

②相手が既婚者であることを知っていたこと、または、不注意で知らなかったこと

 

①不貞行為があったこと

不貞行為とは、肉体関係を持つことであり、肉体関係があったことを証拠によって明らかにする必要があります。

たとえば、肉体関係を持っている現場の動画や写真、ホテルから2人で出てくる現場の動画や写真、LINEのやり取りなどの証拠があげられます。

 

②相手が既婚者であることを知っていた、または、不注意で知らなかったこと

たとえば。パートナーが自分は既婚者であると言っているLINEなどのやり取りが証拠としてあげられます。

また、パートナーが普段から結婚指輪をしており、浮気相手と会っている時も結婚指輪をしていたことを示す動画や写真などがあれば、相手が既婚者であることを不注意で知らなかったと明らかにすることができるかもしれません。

 

(2)慰謝料請求できるか

上で述べた条件を満たせば、たとえ浮気相手が生活保護受給者であったとしても、浮気の慰謝料を請求することはできます。

生活保護受給者を相手に慰謝料請求することは認めないと規定する法律は存在しません。

しかし、後で述べる注意点をよく考える必要があります。

 

2 生活保護受給者の浮気相手に慰謝料を請求する方法

生活保護受給者の浮気相手に慰謝料を請求する方法

慰謝料を請求する相手が生活保護受給者であるからといって、請求する方法が一般的に慰謝料請求する場合と変わることはありません。

しかし、相手が生活保護受給者であるために注意しなければならない点があります。

 

(1)生活保護受給者の浮気相手に慰謝料を請求する方法

浮気相手に慰謝料を請求するには、以下のような方法があります。

①交渉する

②裁判する

 

浮気相手と交渉する場合、慰謝料の支払いにつき合意にいたれば、慰謝料請求が認められることになります。

また、裁判となる場合には、上で述べた慰謝料請求の条件を証拠によって明らかにすれば、慰謝料請求が認められることになります。

いずれにせよ、時間や労力がかかってくるでしょう。

裁判となれば、弁護士に依頼するなどの費用がかかる場合もあるでしょう。

 

(2)生活保護受給者の浮気相手に慰謝料を請求する際の注意点

慰謝料を請求する相手が生活保護受給者である場合、請求にかかった時間や労力、費用が無駄になる可能性があります。

交渉して示談にいたった場合に限らず、裁判によって認められた場合も同様です。

理由は、生活保護費に対する差押えが認められず、慰謝料を回収することができない可能性があるためです。

差し押さえることが禁止されている理由は、受給者の生活保障などの社会政策的配慮にあります。

(差押禁止)

第五十八条 被保護者は、既に給与を受けた保護金品及び進学準備給付金又はこれらを受ける権利を差し押さえられることがない。

引用:生活保護法|e-Gov 法令検索

 

差押えを含む強制執行が認められるには、裁判所に強制執行を申し立てる資格を示す文書が必要となります。

この裁判所に強制執行を申し立てる資格を示す文書のことを「債務名義」といいます。

「債務名義」の中には、裁判で慰謝料請求が認められた場合に得られる「確定判決」を含みます。

しかし、いくら「債務名義」があって差し押さえをしようにも、差し押さえることができなければ無駄に終わってしまいます。

なお、銀行口座は差し押さえることができます。生活保護費が口座に振り込まれた後は、差押禁止の財産でなくなるからです。

この場合、生活保護受給者の銀行に対する預金返還請求権を差し押さえることになります。

しかし、この場合であっても、預金のうち66万円までは差し押さえることができず、生活保護受給者は通常66万円以上の預金を持っていることはありません。

結局のところ、差押えは無駄になってしまいます。

(差押禁止動産)

第百三十一条 次に掲げる動産は、差し押さえてはならない。

(略)

三 標準的な世帯の二月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭

(略)

民事執行法|e-Gov 法令検索

3 浮気相手が慰謝料を支払えない場合の最善策

浮気相手が慰謝料を支払えない場合の最善策

生活保護受給者が一括でなくても、少しずつ慰謝料を支払ってくれれば問題ありません。

しかし、支払わない、あるいは、支払えない場合がほとんどで、生活保護受給者から慰謝料を回収することは困難な場合が多いです。

ただ、まったく慰謝料を回収することができないかというと、そうではありません。

以下で、浮気による慰謝料を回収する方法をご紹介します。

 

(1)パートナーと離婚する場合

浮気相手のみならず、パートナーに対しても慰謝料請求すれば、慰謝料を回収することが可能となるかもしれません。

浮気による慰謝料は、浮気相手のみならず、パートナーに対しても請求することは可能です。

パートナーと浮気相手による「不貞行為」は、共同不法行為となって、各自が連帯して損害を賠償する責任を負うこととなります。

少し難しい言葉が続きましたが、要するに、浮気相手とパートナーに対するそれぞれの慰謝料につき、その全額をパートナーに対してのみ請求することが可能ということです。

たとえば、夫に対して150万円、浮気相手に対して150万円の慰謝料が認められる場合、夫に対して300万円の支払いを求めることも可能ということになります。

(共同不法行為者の責任)

第七百十九条 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。

(略)

引用:民法|e-Gov 法令検索

 

より詳しくは、以下の記事をご参照ください。

関連記事:不倫慰謝料は、不倫した配偶者も連帯責任がある

 

(2)パートナーと離婚しない場合

離婚しない場合には、財布が同じパートナーに対し慰謝料請求しないのが一般的です。

そこで、浮気相手に対する分については、浮気相手側から支払ってもらうことになります。

 

①長期分割払いで支払ってもらう

慰謝料は、原則的に一括払いです。

しかし、話し合いによって合意にいたれば分割払いとすることも可能です。

ただ、相当長期になることを覚悟しなければならず、最終的に完済してもらう保証もありません。

生活保護受給者は、通常、最低生活費によって生活していますから、どうしても月々の支払いは5千円~1、2万円程度になるかもしれません。

支払いが負担となって、生活保護受給者が自己破産となれば元も子もありません。

もし、話し合いによって分割払いの合意にいたった場合には、後々のトラブルを防ぐため、必ず合意書(示談書)を作成するようにしましょう。

 

②連帯保証人をつける

分割払いの合意にいたった場合であっても、途中で支払いがされなくなる可能性があります。

特に長期になればなるほど、そのリスクは高まるでしょう。

そこで、できれば連帯保証人をつけることを求めてみましょう。

生活保護受給者である浮気相手が分割金を支払わなくても、連帯保証人に支払いを求めることができるからです。

一般に、連帯保証人を引き受けてくれる人は、両親や兄弟姉妹しかおらず、これらの人から合意をもらい、書面を作成する必要があります。

関連記事:不倫慰謝料の示談書の書き方と弁護士の役割

 

4 まとめ

今回は、生活保護受給者が浮気相手だった場合の慰謝料の請求方法と回収できない場合の最善策について解説しました。

パートナーの浮気相手が生活保護受給者であっても、慰謝料を請求すること自体は可能です。

もっとも、請求が認められるにしても、慰謝料を回収できなければ意味がありません。

結局、慰謝料を回収できなければ、請求が認められるにいたるまでの時間や労力、費用が無駄になりかねません。

そのため、まずは回収することが可能かどうか検討しましょう。

パートナーと離婚する場合には、回収できる可能性が高くなる場合があります。

また、慰謝料の支払いについて連帯保証人をつけることができる場合にも、回収できる可能性が高くなるといえるでしょう。

そのような場合には、必ず合意書(示談書)を作成するようにしてください。

もし、不安な様でしたら、一度弁護士に相談することをお勧めします。

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このコラムの監修者

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