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離婚調停が不成立になった後、再度調停をすることは可能?

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離婚調停が不成立になった後、再度調停をすることは可能?

「離婚調停をしたのですが、話し合いがまとまらず不成立に終わってしまいました。」

離婚調停をしても、不成立となることは珍しくありません。

裁判所が公表している司法統計(令和3年度)によれば、裁判所に申し立てられた婚姻関係事件のうち、調停成立件数が3万1,930件に対し、調停不成立件数は1万1,739件でした。

参照:令和3年 司法統計年報(家事編)|裁判所

 

離婚調停が不成立となった後、

「再度調停をすることはできるのか」

「どのように手続を進めればよいのか」

今回は、そんなお悩みについて解説します。

目次

1 離婚調停の不成立とは

離婚調停の不成立とは

離婚調停の不成立とは、離婚について夫婦間で合意ができなかったことを意味します。

合意にいたらなかったことを意味するだけで、もう離婚ができないというわけではありません。

離婚調停が不成立となる理由は、ご夫婦によって様々です。

離婚調停が不成立となる主な理由は、次の6つです。

①相手が離婚を拒否する

②不貞行為やDVモラハラなどの離婚原因を認めない

③親権を争っている

④財産分与や養育費などの離婚条件につきお互いが譲らない

⑤相手が話し合いに応じようとしない

⑥相手が調停を欠席し続ける

 

最終的に、当事者の意向や裁判所の判断によって、調停は不成立となります。

なお、調停の終了事由としては、不成立の他に、申立人による取下げ、当事者の死亡による当然終了などがあります。

 

2 離婚調停が不成立になった後、再度調停をすることはできる?

離婚調停が不成立になった後、再度調停をすることはできる?

離婚調停が不成立になった場合、不服申立てはできませんが、再度調停を申し立てることは可能です

調停の申立てに回数制限はなく、何度でも申し立てることができます。

しかし、不成立となった直後に申し立てても、結論が変わる可能性は低いでしょう。調停にかけた時間や労力が無駄になりかねません。

合意にいたるには、お互い離婚について改めて考える時間を確保することや状況の変化が必要であるといえます。

また、離婚するための方法は、離婚調停だけではありません。異なるアプローチも検討してみましょう。

詳しくは、下記「3 離婚調停が不成立になった後の手続の流れ」にて解説します。

 

3 離婚調停が不成立になった後の手続きの流れ

離婚調停が不成立になった後の手続きの流れ

離婚調停が不成立となった場合、自動的に審判や裁判となることはありません。

考えられる手続きの流れは、以下の通りです。

 

(1)もう1度協議し直す

離婚調停にいたる前に、一度協議を行った、あるいは行おうとしたと思います。

調停が不成立となってから少し時間を置いたら、もう一度話合いを持ちかけてみるのも1つの手段です。

調停が不成立となった後で、お互いが離婚条件などについて考え直し、合意にいたるということも少なくありません。

「もう一度時間をかけるぐらいだったら・・」とか「あの時は聞く耳を持てなかったけど、冷静になって考えてみたら・・」といった感じに、お互いが妥協し合って意見がまとまるかもしれません。

調停が不成立となってから少し時間を置き、もう1度協議し直すことは、離婚するための1つのアプローチといえます。

 

(2)再度調停を申し立てる

上記「2 離婚調停が不成立になった後、再度調停をすることはできる?」でも述べましたが、離婚調停に回数制限はありません。

離婚調停が不成立になった場合、再度調停を申し立てることも可能です。

お互いが離婚について改めて考える時間を確保することや状況の変化があれば、再度調停を申し立てることを検討してみましょう。

 

(3)離婚の裁判をする

離婚調停が不成立となった場合、一般的に、離婚の裁判をすることになります。

離婚の裁判をいきなりすることはできませんが、調停不成立後には可能です(調停前置主義)。

(調停前置主義)

第二百五十七条 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない。

(略)

(調停事項等)

第二百四十四条 家庭裁判所は、人事に関する訴訟事件その他家庭に関する事件(別表第一に掲げる事項についての事件を除く。)について調停を行うほか、この編の定めるところにより審判をする。

引用:家事事件手続法|e-Gov 法令検索

 

裁判においては、当事者が法律で定められた離婚原因(民法770条1項各号)につき主張・立証し、これに基づいて裁判所が一方的に離婚するか否かの判決を下します。

離婚するか否かのみならず、親権や財産分与、養育費などの離婚条件についてもあわせて判断されることになります。

裁判所は、当事者が提出した証拠に基づいて離婚原因の有無を判断するため、証拠がない場合には離婚が認められません。

そのため、法律上認められる離婚原因もしくはその証拠がない場合には、協議や調停による方が良いでしょう。

裁判は専門的な知識を必要とする上、どうしても時間や労力がかかってしまいます。

もし、離婚裁判を検討するという場合には、一度弁護士に相談することをお勧めします。

関連記事:法律的に認められる離婚理由とは

 

(4)調停に代わる審判を求める

離婚調停が不成立となった場合、引き続き裁判所による審判を求めることも可能です。

離婚が成立するケースとしては稀ですが、「調停が不成立となったが、離婚を成立させた方がいい」と裁判所が判断する場合には、審判をして離婚が成立することになります。

審判離婚が利用されるのは、離婚することに争いはないが、離婚条件についてわずかな食い違いがあるといった場合です。

当事者からの異議なく審判が確定すれば、裁判によって確定した判決と同じ効力を有するになりますが、夫婦のどちらか一方でも異議申立てをした場合には審判が無効となってしまいます。

離婚が成立するケースとして稀であるのは、このような効力の弱さが一因といえるでしょう。

 

(5)離婚することを考え直し、関係を修復する

協議や調停を通して、お互いの意見をぶつけ合ってきたご夫婦もあると思います。

意見をぶつけ合っているうちに、お互いが歩み寄る術に気づくかもしれません。

特に子どもがいる場合には、子どものことを考えて関係を修復しようと考える方も少なくありません。

婚姻継続という形で調停が成立することもあり、調停不成立後であっても関係修復に遅くない場合があります。

離婚調停が不成立であっても、離婚にこだわらず夫婦関係を修復するということも1つの流れです。

 

4 離婚調停が不成立になったら婚姻費用の請求は可能?

離婚調停は不成立になったら婚姻費用の請求は可能?

離婚調停が不成立となった場合であっても、婚姻費用の請求をすることは可能です

夫婦は別居している場合であっても、婚姻してから離婚するまでは、婚姻生活に必要な生活費を分担して助け合わせなければなりません。

(婚姻費用の分担)

第七百六十条 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。

引用:民法|e-Gov 法令検索

 

調停が不成立となった場合、どうしても離婚までに時間がかかってしまいます。

離婚を前提に別居している場合、生活費や子どもの養育費に困る方も多いです。

その場合には、相手方に婚姻費用の分担を請求しましょう。

相手方が任意の支払いに応じない場合には、家庭裁判所に婚姻費用の分担請求調停を申し立てましょう。

調停における話し合いで合意にいたらない場合には、裁判所による審判で決まることになります。

申立てに必要な費用としては、収入印紙1200円分と各裁判所が定める連絡用の郵便切手代です。

郵便切手代については、申立てされる家庭裁判所へ確認するか、各裁判所のウェブサイトをご確認ください。

参考:婚姻費用の分担請求調停|裁判所

 

5 離婚調停の不成立を防ぐポイント

離婚調停の不成立を防ぐポイント

離婚調停が不成立となると、一般的に、もう一度協議をするか、調停を申し立てるか、あるいは裁判するかを考えなければいけません。

一度調停にかけた時間や労力は戻ってきません。

そこで、離婚調停を成立させるために、以下のポイントをお伝えします。

(1)調停の準備を万全にしておく

(2)自らの主張を無理に通そうとしない

(3)離婚問題に強い弁護士に依頼する

 

(1)調停の準備を万全にしておく

調停の準備といっても書面の作成や証拠の収集など様々です。

離婚調停を成立させるために、特に注意するポイントをご紹介します。

 

①主張を明確にしておく

一方の主張がよく分からなければ、調停委員としても解決案を示すことが難しかったり、納得できなかったりするかもしれません。

離婚調停の前に、必ず自らの主張を明確にし、調停委員や相手方に分かってもらうようにしておきましょう。

主張が明確であれば、調停がスムーズに進み、合意にいたるかもしれません。

 

②証拠を集めておく

離婚調停において、ご自身の主張が認められるには、証拠が必要です。

不貞行為やDV、性格の不一致など、離婚の原因につき調停委員を納得させる証拠があれば、有利に話し合いを進めることができるでしょう。

有利な証拠に基づく調停委員からの助言や解決案によって、相手方も納得する可能性があります。

証拠はできるだけ複数用意しましょう。

 

③相手の財産を確認しておく

離婚調停では、離婚自体は合意しているものの、離婚条件がまとまらずに合意にいたらないというケースがあります。

離婚条件の中には、財産分与や慰謝料、養育費などの金銭的な問題が含まれます。

相手の財産を確認しておくと、金銭的な問題を内容とする離婚条件につき、スムーズな解決が期待できます。

 

(2)自らの主張を無理に通そうとしない

調停は、調停委員を介して話し合いを行う場です。

一方的に自らの主張を通すのではなく、相手方の言い分を聞き、譲歩できるところは譲歩しましょう。

譲歩するかしないかについては、自らの離婚条件に優先順位を付けておくと判断しやすいでしょう。

 

(3)離婚問題に強い弁護士に依頼する

調停は、家庭裁判所を通じて、調停委員の仲介のもとで離婚について交渉する場です。

調停委員を納得させるためには、的確な主張や有力な証拠が必要ですし、慰謝料の相場なども含めた専門的な知識があると話合いもスムーズに進めることが可能です。

この点、離婚問題に強い弁護士に依頼すれば、ご自身で調停を行う場合よりも合意にいたる可能性が高くなるでしょう。

また、書面作成の手間や、平日に月に一回程度ご自身で裁判所にいく手間もかかりません。

離婚調停を申し立てる際には、一度弁護士に相談することをお勧めします。

関連記事:【大阪】離婚に強い弁護士を探すコツと無料相談のメリット

 

6 まとめ

今回は、離婚調停が不成立になった後、再度調停ができるのか、手続きの流れはどうなるのかについて解説しました。

離婚調停が不成立となった後でも、再度調停することが可能です。

しかし、離婚するためのアプローチは、再度調停することに限りません。

取りうる選択肢から、状況に応じたベストな選択をしましょう。

調停を行う際には、お伝えした不成立を防ぐポイントを参考にしてみてください。

弁護士に依頼することも1つの手です。

もしお悩みであれば、一度弁護士に相談することをお勧めします。

このコラムの監修者

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