慰謝料請求に役立つ証拠の取り方
目次
1 はじめに
不倫慰謝料を請求する場合,慰謝料を請求する側が,不貞行為の存在を証明しなければなりません。
では,どのようにして証拠を集めればいいのでしょうか?
以下では,慰謝料請求に役立つ証拠は何か,証拠の取り方について解説していきます。
2 慰謝料請求に役立つ証拠
不貞行為を証明する証拠として次の証拠が役に立ちます。
⑴配偶者と不倫相手が写っている写真・動画⑵不倫を自白した音声データ⑶配偶者と不倫相手のメール,SNSでのやりとり⑷配偶者と不倫相手の電話の通話記録,通話履歴⑸肉体関係を推測される内容が記載された領収書⑹肉体関係を推測させる内容が記載されたクレジットカードの使用履歴⑺興信所や調査会社の報告書⑻配偶者のGPSの移動記録 |
このように,不貞行為を証明する証拠として様々な物がありますが,内容によってそれ単体ではあまり役に立たない物もあります。もっとも,あまり証明に役に立たない物であっても,それらを積み重ねることによって,また,他の証拠と組み合わせることによって不貞行為にあたる事実を証明することができます。
そのため,複数の証拠を組み合わせることで,不貞行為の事実を証明するのがいいでしょう。
では,どのようにしこれらの証拠を収集すればいいのでしょうか?
3 証拠の取り方
証拠の取り方としては,自分で集める方法と探偵に依頼して集める方法があります。
4 自分で集める方法
自分で証拠を集める方法として,配偶者の所有物を調べるという方法,配偶者に不貞行為の有無を問い詰めるという方法があります。
⑴配偶者の所有物を調べる場合
自分で集める方法として,配偶者の所有物を調べる方法は,手軽に行え,費用もかからないというメリットがあります。しかしながら,以下の点に注意する必要があります。
配偶者が部屋に置いているDVDを再生して見たり,写真が落ちていた場合にはそれを拾って確認することは,配偶者の所有権を侵害しない方法であるので問題にはならないと考えられます。一方で,施錠された引出しを無理やり開けて中身を見る方法は,配偶者の所有権やプライバシーを侵害するものであり,後に問題となる可能性があります。
配偶者と不倫相手のメールやSNSのやり取りは,不貞行為を証明するうえで有効な証拠ですが,これらを収集する方法として配偶者の携帯電話やパソコンを操作することになります。この方法は,不正アクセス禁止法に違反する行為にあたる可能性があるので注意が必要です。なお,このような方法により収集した証拠は配偶者のプライバシーを必然的に侵害することになりますが,裁判でこれらの証拠が提出されたとしても,証拠能力を有しないと判断されることはあまりありません。
配偶者の所有物を調べる場合,配偶者に気付かれないように行うことになりますが,もし,配偶者に証拠を集めているのを気付かれた場合に問題となります。このような場合,配偶者は証拠を破棄したり,隠したりするおそれがあります。また,配偶者は今後,不貞行為がばれないように巧妙な方法で不貞行為をする可能性も考えられます。
自分で証拠を集める場合,不貞行為を証明するうえであまり役立たない証拠ばかりを集めてしまう可能性もあるので注意する必要があります。
⑵配偶者に不貞行為の有無を問い詰める場合
配偶者に直接聞くことになるので精神的な負担は大きいですが,費用は掛からない容易な手段であるといえます。
配偶者が不倫を認める発言した場合,それを録音したデータが不貞行為の証明に有力な証拠となります。もっとも,感情的なやり取りや強引な方法により不倫を認めさせ,不倫を認めた部分のみを抜き出して証拠として提出する場合,不貞行為の証明力は低くなるので注意が必要です。そこで,当事者双方が冷静に話し合い,やり取り全体を録音する必要があります。
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⑶探偵に依頼して集める方法
手元に不貞行為の証拠がない場合や,配偶者が不倫の痕跡を残していない場合には探偵に依頼して証拠を集める方法が有効です。
もっとも,探偵に依頼すると調査費用が高額になる可能性があるというデメリットがあります。
また,探偵はプライベートな空間には立ち入れることができず,誰でも立ち入れる場所の証拠しか取ることができません。そのため,多額の調査費用をかけたのに不貞行為を十分に証明する証拠が得られないという可能性もあるため,探偵に依頼する場合には本当に探偵に依頼するのが適当であるのかを検討する必要があります。
このように,証拠の集め方としては,自分で集める方法と探偵に依頼して集める方法がありますが,それぞれメリットとデメリットがあるので,証拠は慎重に集める必要があります。
どのようにして証拠を集めていいか本人ではわからない場合もあるので,一度弁護士に相談することをお勧めします。
5 おわりに
不倫慰謝料を請求するには,不貞行為にあたる事実を証拠により証明しなければなりません。慰謝料請求に役立つ証拠には様々な物があり,これらの証拠の収集方法は,自分で集める方法と探偵に依頼して集める方法があります。証拠の集め方についてアドバイスを得たい場合には,弁護士に相談することをお勧めします。
法律事務所ロイヤーズ・ハイでは,不倫慰謝料請求に関し経験豊富な弁護士が在籍しております。不倫相手や不倫をした配偶者に対し不倫慰謝料請求を検討されている方は,当事務所の弁護士にご相談いただくことをお勧めします。
このコラムの監修者
田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録
弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、また100人以上の方の浮気、不貞、男女問題に関する事件を解決。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、 豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。