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嫁姑問題で離婚したい!離婚の条件と慰謝料を請求する方法

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嫁姑問題で離婚したい!離婚の条件と慰謝料を請求する方法

結婚して新しい家庭を築くことになる以上、もうそれぞれの実家は関係ない!と言えればよいですが、なかなかそういうわけにはいきません。

むしろ結婚したからこそ、相手の家族と関わらなければならない機会は増えることが多いですし、しかも相手の家族を無下に扱うこともできず、悩んでいる方も多くおられるかと思います。

「嫁姑問題」を理由として、離婚まで考えるようになる方も決して少なくはありません。

本コラムでは、「嫁姑問題」を理由に離婚することはできるのか、夫や姑に慰謝料を請求することができるのかについて、解説いたします。

1 嫁姑問題を理由に離婚できる?離婚するための条件

家庭のことで姑から過度に干渉されたり、姑から嫌がらせや暴言を吐かれたり等、「嫁姑問題」によって深刻なストレスを抱える方は少なくありません。

夫がきちんと味方になってくれて、姑との間に入って仲裁してくれるのであればまだよいですが、夫が姑側について妻側に寄り添ってくれないようであれば、当然夫婦関係にも亀裂が入ってしまうことになります。

では、そのような場合、「嫁姑問題」を理由に離婚をすることはできるのでしょうか。

 

まず、離婚には、

①協議離婚

②調停離婚

③裁判離婚

 

の3つの方法があります。

 

①協議離婚

協議離婚は、いわゆる話し合いによる離婚です。

離婚理由が「嫁姑問題」であっても、夫婦が互いに合意しているのであれば、当然離婚することは可能です。

 

②調停離婚

話し合いでは離婚について合意を得られなかった場合、②調停離婚を検討することになります。

調停も基本的にはあくまで当事者間の話し合いになるため、これによって必ず離婚が成立するわけではありません。

双方が離婚に合意していることが必要です。

しかし、調停の場合、調停委員が中立的な立場で間に入ったうえで協議を行うことになりますので、双方が感情的になってしまってそもそも話し合いをするのが困難だというような場合には、有効な手段となります。

 

③裁判離婚

調停でも離婚について話がまとまらないという場合には、裁判をすることになります。

裁判となればどうしても手間や時間がかかりますが、協議や調停とは違い、離婚できるかどうかについて判決によってはっきりと決着をつけることができます。

もっとも、裁判離婚の場合、どのような場合に離婚が認められるのかは法律によって決められています。

民法770条1項

夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。

二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

 

このように、「嫁姑問題」は、法律上の離婚事由として定められていません。

そのため、嫁姑問題を理由に裁判離婚をしたいという場合、嫁姑問題に対して夫がきちんと対応してくれず、これが「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるといえる必要があります。

そして、嫁姑問題が「婚姻を継続し難い重大な事由」があたるといえるためには、単に姑との相性が悪い、姑から過干渉や嫌がらせを受けている、というだけではたりません。

夫婦関係という点でみると姑はあくまで第三者になりますので、ただ姑から嫌がらせや暴言を受けているというだけでは、離婚が認められるのは難しくなります。

妻が姑から嫌がらせや暴言等の嫁いびりを受け、それを夫に相談して姑との仲を仲裁してくれるよう求めているにもかかわらず、夫が姑の味方をしてむしろ姑の言動を助長し、これによって妻の精神的苦痛がさらに深刻なものになったといえるような場合には、「婚姻を継続し難い重大な事由がある」と認められる可能性は上がっていきます。

 

2 嫁姑問題で離婚した場合、夫に慰謝料を請求することはできる?

離婚をすれば必ず慰謝料を請求できる、というわけではありません。

慰謝料は、相手に非のある不法行為によって被った精神的苦痛に対する損害賠償として請求することができるものです。

姑がどんなに妻に対して嫌がらせや暴言を繰り返し、それによって妻が甚大な精神的苦痛を被ったとしても、それはあくまで姑による行為であって、夫が行ったものではありません。

したがって、姑からの嫌がらせの嫁姑問題が原因で離婚するに至ったとしても、それだけでは夫に慰謝料を請求することは困難です。

もっとも、夫が姑の肩を持ち、姑と一緒になって妻に対して嫌がらせや暴言、侮辱的な発言等を繰り返し、夫自身がいわゆるⅮVやモラハラに加担しているというような場合には、夫自身の行為が「不法行為」にあたるとして、夫に対して慰謝料を請求することができる可能性は高くなります。

関連記事:精神的苦痛(不倫・DV・モラハラなど)による慰謝料請求をするには?

 

3 姑に慰謝料を請求することはできる?

姑からの度重なる嫁いびりによって離婚にまで至ってしまったとしたら、自分がこれまで苦しめられてきた分、せめて姑に対して慰謝料を請求できないかと考える方も少なからずおられるかと思います。

では、姑に対して慰謝料を請求することはできるのでしょうか。

先程説明したとおり、離婚は夫婦の問題であり、夫婦関係という点でみると姑はあくまで第三者です。

そのため、離婚についての裁判のなかで、姑に対する慰謝料請求をすることはできません。

しかし、 姑からの嫌がらせや暴言等が極めて悪質で、「不法行為」にあたるといえる場合には、それによって被った精神的苦痛に対する損害賠償として、姑に慰謝料を請求することができる可能性があります。

もっとも、そもそも「嫁姑問題」に発展してしまうような相手ですから、交渉によってすんなり慰謝料を支払ってくれるとは考えがたいところです。

そうなると、離婚についてとは別に、姑に対して損害賠償請求訴訟を提起するほかありません。

ところで、判例でも、姑のような第三者に慰謝料の請求を認めた判例もあります。

【名古屋地裁一宮支部昭和53年5月26日判決】

姑が妻に対し、「茶碗は割るし、地味な女で新婚らしくない、相返答も出来ない、何一つとして取柄のない出来の悪い嫁だ、何をやらせても遅い」などと再三に渡って罵倒や干渉を繰り返し、夫もこれを抑制するどころか姑に同調し、夫と姑がそろって妻を一方的に非難する状況に至っていた事案において、「婚姻破綻の原因とこれに対する夫と姑の加功の態様に鑑みると両名は夫婦共同生活を破壊に導いたものとして不法行為の責任を免れない」として、夫と姑両名の妻に対する迫害の状況とその被った精神的苦痛を勘案し、慰謝料として200万円を支払う義務があると認めました。

 

【東京高裁昭和35年8月23日判決】

舅の妻に対する継続的な冷淡な態度、虐待及び侮辱と、その事実を熟知しながら傍観し何らの策も講じず、離婚もやむなき旨言明する等の態度にでた夫の愛情ないしは婚姻継続に関する熱意の欠如によって、夫婦の子人関係を継続し難い状況に至ったものと判断し、夫と舅両名による共同不法行為に基づく損害賠償として、慰謝料15万円の支払い義務を認めました。

 

4 嫁姑問題で離婚し慰謝料を請求する際に気をつけること

嫁姑問題が「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるとして離婚をするにしても、夫や姑に対して慰謝料を請求するにしても、こちらの主張の根拠となる証拠がなければ、裁判所には離婚も慰謝料請求も認めてもらえません。

嫁姑問題で離婚を考えるぐらいですから、裁判でも夫は姑の肩を持ち、夫と姑は互いに有利な証言をするであろうことが予想されるところです。

そのため、証拠をきちんと集めておくことは必要不可欠となります。

具体的には、姑からの暴言や嫌味の録音をとっておいたり、姑から行なわれた嫌がらせ等の詳細なメモをとっておくことが考えられます。

また、その際の夫の対応がどんなものであったのか等についてもきちんと記録を残しておいた方がよいでしょう。

もし姑から暴力を振るわれて怪我をしたり、そのストレスから病院に通ったりした場合には、診断書をとっておくことをおすすめします。

 

5 まとめ

嫁姑問題は姑という第三者の言動が根源となっている問題であるため、これを理由として離婚をすることができるか、また姑ないし夫に対して慰謝料を請求することができるかを判断するにあたっては、姑からされた行為の内容やそれまでの詳しい経緯、証拠の有無等、様々な点を総合的にみたうえで検討することが不可欠になります。

嫁姑問題に悩み、離婚を考えておられる方は、一度弁護士にご相談ください。

このコラムの監修者

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