SNSは不倫の証拠になる?証拠になるものと保存方法を解説
「最近,夫が仕事から帰ってきても,私とほとんど会話をすることもなくずっとスマートフォンを操作しています。何の気なしに後ろを通ったりすると慌てて画面を隠す,今まで持って入ってなかったお風呂にスマートフォンを持ち込む等,不倫をしているのではないかと疑ってしまいます。
しかし,夫の鞄や財布を探ってみても不倫をしている証拠はありません。
不倫の証拠があるとしたら,夫のスマートフォンだと思うのですが,直接,夫のスマートフォンを捜査して,LINE等のSNSの履歴を確認して,不倫の証拠にすることはできるのでしょうか。」
配偶者の態度が冷たくなる一方で,スマートフォンの操作に熱中しているが,ゲームアプリを使っている様子ではない場合に,配偶者がLINEやTwitter等のSNSの連絡機能を通じて,不倫相手と連絡をしている事案は,不倫の中では非常に多く,典型的なパターンの1つになります。
配偶者が不倫相手とホテルに行っている写真等の直接的な証拠ではなくとも,SNSを通じた連絡によって不倫を立証することは可能な場合も少なくありません。
実際の事例でも,SNSでのやり取りや投稿をきっかけに不倫が発覚し,慰謝料を請求できる事例が少なくありません。
本コラムでは、SNSでのやり取りが証拠になるのか,どのような証拠を集めると不倫を証明するのに有利になるのかについて解説します。
目次
1 SNS(LINE、インスタグラム、Twitter、Facebook等)でのやり取りは不倫の証拠になるのか
(1)そもそもSNSは不倫の証拠になるのか
結論から言いますと,SNSのやり取りや投稿も不倫の証拠になります。
しかし,どういったやり取りでも証拠になるわけではありません。
単に他の異性と連絡を取っているだけの場合等は,「連絡を取っている=不倫をしている」とは必ずしもなりませんので,それだけでは不倫の証拠にはなりません。
不倫の証拠として使えるのは,肉体関係があったと推測できるやり取り,例えば,宿泊する約束をしていたり,肉体関係の感想を言い合っていたり,裸の写真を送り合う等肉体関係がなければ到底行わないようなやり取りが不倫の証拠になります。
その他にも,ツーショット写真をあげている投稿等,2人の関係が親密であることを伺わせる内容があり,およそ肉体関係がないとはいえないような関係性を推測できる場合にも不倫の証拠になります。
また、直接肉体関係を伺わせる内容でなくとも,他の人には使っていないハートマークを使っている,「好きだよ」「愛している」等の台詞を伝えている等,非常に親密であることが読み取れる内容が長期間行われているといったような場合にも、これらのやり取りが不倫の証拠として扱われることもあります。
ポイントとしては,肉体関係がなければ説明がつかない・肉体関係もなくこのようなやり取りを行うのは不自然であるという点が重要であり,その観点から弁護士は不倫の証拠となるのかを検討しています。
肉体関係があることが認められるだけのやり取りがあれば,ホテルに出入りする写真や不倫現場を押さえた探偵の報告書,性行為の場面を移した動画や写真といった直接的な証拠がなかったとしても,不倫の証拠として認められ,慰謝料の請求が認められている事例も多くありますので,SNSのやり取りだけだったとしても諦めずに不倫問題に強い弁護士にご相談ください。
(2)どういったSNSが不倫に使われるのか
最もよく使われているSNSはLINEです。無料で利用でき,スタンプ等の機能も充実していることから連絡ツールとして利用されています。
LINE以外にもダイレクトメッセージ機能が充実している,TwitterやFacebookも非常に利用されています。
TwitterやFacebook,Instagramは,配偶者に知られず,多くの人と交友関係を築くことができ,知り合ってからそのままこれらのSNSを利用できるため,不倫をするにも利用されることが多いSNSとなります。
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(3)SNSの中のどういった証拠がよいのか・証拠の保存方法
それでは,SNSの中でもどういった証拠を集めるとよいのでしょうか。また,どのように証拠を保存するのがいいのでしょうか。
既に説明している通り,1番のポイントは,肉体関係があったことを推測できるかどうかになります。そのため,以下のようなやり取りや投稿を収集するのがよいです。
また,不倫相手から「配偶者から独身であると聞かされていた」という反論をしてくる可能性がありますので,その反論をさせないように,既婚者であることを知っているやり取りも収集することができると非常に有利になります。
① 肉体関係が存在するとわかるやり取り
既に書いている通り,宿泊する約束をしていたり,肉体関係の感想を言い合っていたり,裸の写真を送り合う等のやり取りがある場合,肉体関係がなければこのようなやり取りを行っていれば,1番に収集しておきたい証拠になります。
また,慰謝料請求にあたっては不倫の回数や期間も金額算定に非常に重要な要素になります。そのため,いつから肉体関係があり,直近でいつ肉体関係を持ったのかまでわかるとより請求しやすくなります。
② 不倫相手が既婚者だと知っていることが分かるやり取り
既婚者だと知らずに交際したり肉体関係を持ったりする場合,故意がないとして慰謝料請求が認められない可能性があります。
そのため,不倫相手が配偶者と口裏を合わせて既婚者だと知っていることを隠蔽することを阻止するためにも,既婚者だと知っているやり取り,具体的には,配偶者や子どもについてのやり取りは見つけたら是非保存しておきたい証拠になります。
③ 不倫相手とのデートの投稿
配偶者と不倫相手が2人でデートしている投稿も不倫を立証する証拠になる可能性があります。
例えば,1回限りのデートではなく頻繁に2人きりでデートしているような投稿が見つかった場合には,社会通念上,単に仲が良いというだけでは説明がつかないと判断される可能性があります。
また,配偶者が出張と説明していた日に不倫相手とデートをしていた場合は,嘘をついてまでデートをするような関係にあるということになりますので,不倫を立証するための証拠として取り扱われやすいです。
④ スクリーンショット・動画として残す
以上のようなやり取りや投稿をどのように保存するかについてですが,基本的にはスクリーンショットで撮るのがおすすめです。
スクリーンショットで,「いつ・誰と・どのような内容の」やり取りをしているのかをしておけば,言い逃れすることはできなくなります。
また,やり取りそのものだけではなく,会話の流れがわかる用意直前直後のやり取りも併せて残しておくと,裁判所としても不倫の証拠として認めやすくなります。
膨大な量のやり取りがされている場合,1つ1つのやり取りをスクリーンショットで撮ると非常に手間がかかりますので,動画として残すということも有効な手段です。
⑤ LINEであればトーク履歴を残す
LINEでのやり取りの場合,「トーク履歴」をテキストファイルで保存することができます。
文字テキストだけしか保存できませんが,スクリーンショットや動画よりもやり取りの全体像を把握しやすくなります。
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2 SNSでの証拠収集でやってしまいがちなミス
(1)証拠がない段階で問い詰める
1番やってしまうのは,十分な証拠が集まっていないにもかかわらず,配偶者を問い詰めてしまうことです。
証拠が集まってない段階で問い詰めてしまうと,「そういうノリだったから送った」「本気じゃない」といったような言葉でやり過ごされ,その後,不倫相手と口裏を合わされたり,ほとぼりが冷めるまで連絡を控えられたりして,証拠収集ができなくなり,不倫を追及できなくなる可能性が出てきてしまいます。
不倫の追及をするには,証拠を収集してからでも遅くはありませんので,一旦冷静になり,他のやり取りを収集したり,ホテルに入っていく様子を撮影するといった他の証拠を集めましょう。
関連記事:不貞行為の証拠を出すタイミングは?夫または妻が不倫を認めない場合の対処法
(2)見つけたSNSのやり取りを消してしまう
配偶者の疑わしい態度を見て、いざスマホをチェックすると,本当に裏切られていることが分かり,そのSNSのやり取りを丸ごと消し去ってしまいたいと思う方も少なくないと思います。
しかし,不倫の証拠を消してしまうと不利になってしまいますし,やり取りが消えてしまっているとスマートフォンを操作したことが発覚してしまいます。
(3)不貞相手に連絡する
配偶者だけでなく不倫相手にも問い詰めたくなるかと思います。
しかし,不貞相手にもいきなり連絡をするのは避けた方がよいでしょう。
人によっては,こちらからの連絡に対して逃げるために,意図的にSNSのアカウントを削除され、連絡が取れなくなってしまう可能性があります。
慰謝料請求をする目的があったとしても,電話番号等の連絡先がわからなければ,住所等を突き止めることができなくなるため,請求することができなくなります。
関連記事:浮気相手の名前しかわからない場合でも慰謝料の請求はできる?
(4)誹謗中傷・外部に公開する
思いのほか多いのが,不倫の事実をSNSに投稿してしまうことです。
非常に腹立たしい気持ちになってしまいますが,SNSに「○○さんがうちの夫(嫁)と不倫している。」といったことを投稿したり,誹謗中傷を行ってしまうと,名誉棄損になってしまう可能性があります。
また,公の場にそのような投稿をすることで,配偶者や不倫相手に,自分が不貞に気付いていることに気づかれてしまいます。
3 SNSで不倫の証拠をつかんだらどうすればいい?
(1)まずは冷静になる
SNSに限らず,配偶者が不貞していることを知った時には,強い怒りを覚える等,感情的になってしまうことが非常に多いです。生涯を誓った相手が裏切っていたのですから,そのショックから感情的になってしまうことは仕方がないことではあります。
しかし,不倫の責任を追及するという観点からは,感情的に行動してしまうことでよくない結果を引き起こしてしまいます。
特に,不倫に気づいてすぐの証拠がそろっていない段階で,配偶者を問い詰めたり不倫相手に直接連絡し,不倫に気づいたことに気づかれてしまうと,やり取りを止めたり,他の連絡方法を選ぶ等の対策を取られ,慰謝料を請求するための証拠収集が難しくなってしまう可能性もあります。
(2)作戦を立てる
SNSのやり取り・投稿で不倫に気づき,一旦,冷静になったら次は作戦を立てましょう。
作戦を立てるために自分が発見したSNSのやり取り・投稿が肉体関係を裏付けられるのかを検討します。
もし,発見した証拠だけでは,肉体関係が認められないことになれば,さらに証拠を集めなければなりません。
それらの証拠を取るために,あえて配偶者を泳がし,配偶者が不倫相手と会う日を特定したうえで,探偵に依頼する,後を付けてホテルに入る様子を写真に残す等の作戦を立てたりできます。
(3)不倫問題に強い弁護士に相談する
冷静になってやり取りを見直しても,どういったやり取りから肉体関係が認められるのかという判断を自分で行うというのは,思いのほか難しく,専門家でなければ判断できない場合も多いです。
また,一人で抱えているよりも他人に話した方が冷静になれることも往々にしてありますので,自身の気持ちを整理するためにも,弁護士に相談し,専門家からの客観的な考えを聞くということも有効な手立てになります。
4 まとめ
配偶者が家に帰ってきても,会話が少なくなる等やり取りが減る一方で,スマートフォンばかり操作しており,それが原因で不倫を疑った場合,冷静に作戦を立てて行動をしましょう。
1人で抱え込むことが苦しい場合,お悩みになられずに弁護士に相談することも解決への第一歩になります。
配偶者の方がSNSを利用して不倫していることに気づき,どうすればいいのか悩んでいらっしゃったら、慰謝料請求に積極的に取り組んでいる弁護士に相談してみてください。
このコラムの監修者
田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録
弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、また100人以上の方の浮気、不貞、男女問題に関する事件を解決。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、 豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。