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子どもの親権を取り戻したい!離婚後に親権を取り戻す方法

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子どもの親権を取り戻したい!離婚後に親権を取り戻す方法

「私は2年前に元妻と離婚し、話し合いの結果、2人の子どもの親権を元妻としました。子どもは、それぞれ中学1年生と小学5年生で、現在は月に1回、面会交流している状態です。先日、子ども達の様子がおかしかったため、話を聞くと、母親から暴力を受けているとのことでした。また、家に帰ってこない日もあるそうです。子どもたちは私と一緒に暮らしたいと言っているのですが、どうすれば良いでしょうか。」

離婚する場合、必ず親権者を決めなければなりません。

両親の話し合いによって決まらない場合には、審判や裁判によって裁判所が決めることになります。

関連記事:離婚時の親権はどうやって決まるの?具体的な決め方と流れ

 

では、一度決まった親権を変更することはできるのでしょうか。

今回は、親権を取り戻す方法について解説します。

目次

1 離婚後に親権を取り戻すことは可能?

結論から言うと、離婚後に親権を取り戻すことは可能です

調停や裁判で親権を取り決める際、「子の利益(子の福祉)」という観点が重要視されます。

母親か父親、いずれと共に暮らすことが「子の利益(子の福祉)」となるかが大切です。

離婚時に話し合って親権を決めた際も、子どものことを考えて決めたと思います。

裁判所の審判や裁判で決まった場合も、裁判所は、「子の利益(子の福祉)」に沿うかどうかによって判断したでしょう。

しかし、親権を決めた時から事情が変わり、離婚当時に決めた親権者がふさわしくないと判断される場合に、その者を親権者としておくことは、「子の利益(子の福祉)」のためになりません。

そこで、今の親権者が不適格であると判断される場合には、法律上定められた一定の手続きを経て、親権が変更されることになります。

 

2 離婚後に親権を取り戻す方法と流れ

離婚後に親権を取り戻す方法と流れ

(1)親権者を取り戻す方法

親権を取り戻す方法は、家庭裁判所に親権者変更の調停を申し立てて、裁判所の許可を得ることです

両親の話し合いのみで親権者を変更することはできません

親権者の変更は、子どもの生活環境に大きく影響し、子どもの利益を害してしまう可能性があります。

そのため、子どもの利益を害しないよう、裁判所の審査が必要となっているのです。

(離婚又は認知の場合の親権者)

第八百十九条 (略)

6 子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。

(略)

引用:民法|e-Gov 法令検索

 

なお、例外的に、認知した父親を親権者に指定する場合や、離婚後に生まれた子について、父を親権者に指定する場合には、家庭裁判所の許可を得ず、父母の合意に基づいて親権者変更の届出をすることが可能です。

 

(2)親権を取り戻す手続きの流れ

親権を取り戻す手続きの流れ

以下は、親権者を変更する手続きの大まかな流れになります。

①家庭裁判所に申し立てる

②調停期日において主張する

③調停案につき検討する

④調停が成立(不成立)となる

⑤不成立の場合は審判となる

⑥調停・審判の後、10日以内に役所へ届け出る

 

①家庭裁判所に申し立てる

「親権者変更調停」を相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所に申し立てます

一般的に申立人は父親または母親ですが、子どもの親族であれば申し立てることが可能です。

申立てに必要な費用は、子ども1人につき収入印紙1200円分と連絡用の郵便切手代になります。連絡用郵便切手代については、家庭裁判所によって異なりますので、申立てされる家庭裁判所に確認してください。

申立てに必要な書類は、申立書とその写し1通、申立人、相手方、未成年者それぞれの戸籍謄本(全部事項証明書)となります。その他、家庭裁判所により追加書類が求められる場合があります。

参照:親権者変更調停|裁判所

 

②調停期日において主張する

家庭裁判所によって申立てが受理された場合、家庭裁判所は調停期日を調整するため当事者双方に連絡します。

各当事者は、決められた調停期日に出頭することになります。

調停期日では、各当事者がそれぞれ個別に調停委員を通じて、自身の主張や資料の提出を行います。

一般的に、調停期日は、1カ月に1回程度、2時間ほど平日に行われることになります。

各当事者が出席することが原則ですが、実務上、弁護士による代理出席も広く認められているため、平日に裁判所へ出頭することが難しい場合には、弁護士に依頼することをお勧めします。

 

③調停案につき検討する

話し合いの内容を踏まえ、裁判官は調停案を提示します。

提示された調停案につき、各当事者は個別に検討し、同意するかしないかの返答をすることになります。

 

④調停が成立(不成立)となる

調停案について、双方が同意することによって合意に至り、最終的に家庭裁判所が親権者変更の審査を行ったうえで調停が成立することになります。

調停が成立すると、裁判所によって調停調書が作成されることになります。

一方、双方が合意にいたらない場合には、親権者変更調停は不成立となります。

 

⑤不成立の場合は審判となる

調停が不成立となった場合、家庭裁判所が親権者変更をするかしないかの審判を行うことになります。

審判手続きでは、裁判官が当事者の主張や提出された資料などを総合的に考慮し、あらゆる状況を調査して

最終的な判断を下すことになります。

 

⑥調停・審判の後、10日以内に役所へ届け出る

調停成立や審判によって親権者の変更が確定した場合、10日以内に役所へ届け出なければなりません

届出には、調停調書謄本(審判の場合は、審判書謄本と確定証明書)のほか、戸籍謄本などの提出が求められることがあります。

詳しくは、届け出る役所へお問い合わせください。

 

3 親権者の変更が認められる条件とは

親権者の変更が認められる条件とは

親権者変更の調停を申し立てても、必ず親権者が変更されるわけではありません。

法律上、「子の利益のため必要があると認めるとき」との条件が要求されています。

そのため、子どもの利益のために親権者を変更する必要性がある場合に初めて、親権者の変更が認められます。

親権者変更の必要性についての判断については、下記の裁判例が参考になります。

【千葉家裁平成30年1月31日決定】

「親権者変更の必要性は,親権者を指定した経緯,その後の事情の変更の有無程度と共に,当事者双方の監護能力,監護の安定性,未成年者の状況及びその他諸般の事情を具体的に考慮して,最終的には,未成年者の利益及び福祉の観点から決せられるべきである。」

4 親権者の変更が認められた事例の紹介

親権者の変更が認められた事例をご紹介します。

(1)監護状況が変化し、子どもが親権者変更を望んでいる

監護状況の変化や子どもの意思は、親権者変更の必要性の判断要素となります。

 

【東京家裁平成26年2月12日決定】

離婚後、母親が親権者となり、子ども(当時10歳)と実家で暮らしていましたが、母親の監護がおろそかになっていき、母親の姉らが監護するようになりました。

このような事情から、母親が転居した際、子どもは転居を拒否し実家にとどまり、母親との交流はほぼ途絶えた一方、父親と月1回の面会交流は続いており、子どもの意思は、父親との生活を希望しているという事案でした。

家庭裁判所は、父親への親権変更を認める決定を出しました。

 

(2)監護状況の変化の改善が見込まれていたが、監護意思ないし監護適格が認められない

離婚後、監護状況が変化した場合には、子どもの利益のために、親権者の変更の必要性が認められる場合があります。

たとえ監護状況を改善しようとしていたとしても、これまでの経緯から監護意思ないし監護適格に疑いが残る場合には、親権者の変更が認められます。

【福岡高裁平成27年1月30日判決】

離婚後、親権者は母親とされていましたが、2人の子ども達(当時5歳、4歳)は、父に養育され安定した生活を送っており、母親は夜間のアルバイトをしていたため、子どもらの入浴や就寝は父親が行っていました。

母親は、子どもらの幼稚園の行事も欠席し(父親が出席)、経済状況も不安定で保育料の支払いも行っておらず、監護してくれる補助者もいない状況で、父親が親権者の変更を申し立てた事案です。

裁判所は、母親が再就職し、一定の収入が見込まれていたにもかかわらず、いまだ監護意思ないし監護適格を疑わせるとして、親権者の変更を認めました。

 

(3)面会交流を実現させる義務を履行しない

子どもにとって、双方の親と愛着を形成することは、子の健全な発達にとって重要です。

面会交流を拒否・制限できるのは、面会交流の実施自体が子の利益(子の福祉)を害するといえる「面会交流を禁止、制限すべき特段の事情」がある場合に限られます。

【福岡家裁平成26年12月4日】

親権者を母親とする調停離婚を行っていたところ、母親は調停条項により定めた父との面会交流を実現させず、むしろ、子どもが父親を強く拒絶するような要因を作る言動をとっていました。

裁判所は、面会交流の確保を前提に離婚の合意をしたにもかかわらず面会交流が実施されないこと、親権者変更を求める以外に、面会交流が実現しない現状を改善する手段が見あたらないことから、親権者の変更を認めました。

もっとも、子どもの引渡しが実現しない可能性が高く、子どもの精神的負担を軽減する必要があることなどから、親権と監護権とを分属させることが子の福祉にかなうといえる特段の事情が認められるとして、監護権に関しては母親のもとにとどめておく判断をしました。

 

5 まとめ

離婚後に親権を取り戻すことは可能です。

親権を取り戻したい場合は、家庭裁判所に親権者変更の調停を申し立てて、裁判所の許可を得ましょう。

ただし、親権者変更の調停を申し立てても、必ず親権者の変更が認められるわけではありません。

子どもの利益のために親権者を変更する必要性がある場合に限って、裁判所によって親権者の変更が認められることになります。

そのため、親権者変更調停を家庭裁判所に申し立てる際には、子どもの利益のために親権者を変更する必要性があることを主張し、主張が認められるための資料を提出しましょう。

どのような主張をすべきか、どのような資料を提出すべきかについては、具体的な事案によって様々です。

もし、ご不安な様でしたら、お一人でお悩みにならず、一度弁護士に相談することをお勧めします。

このコラムの監修者

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