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経済的DVを受けた時の慰謝料請求の方法が知りたい!

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経済的DVを受けた時の慰謝料請求の方法が知りたい!

「私は,夫と結婚してから10年間,専業主婦をしています。夫は自分の収入や貯金額を教えてくれず,渡してくれる生活費も十分とはいえません。そのため,以前から働きたいと夫に言っているのですが,働くことすら許してくれません。本当に生活が不自由で,精神的に辛く,離婚したいです。離婚は認められるでしょうか。また,認められるのであれば,慰謝料も請求したいです。」

DVとは,ドメスティックバイオレンスの略で,一般的に,パートナーによる暴力を意味します。

DVというと,殴る蹴るなどの身体的暴力をイメージするかと思いますが,精神的DVや性的DVなど,今日では様々な種類のDVが存在し,「経済的DV」という言葉も使用されるようになってきました。

本コラムでは,経済的DVとは何なのか,経済的DVが理由で離婚や慰謝料請求,婚姻費用の請求が認められるのかにつき解説します。

目次

1 経済的DVとは

経済的DVとは,一般的に,パートナーの金銭的な自由を奪い,経済的に追い詰める行為をいいます。

以下は,経済的DVの具体例になります。

(1)生活費を渡さない

(2)収入や貯金額を教えない

(3)働かせてくれない

(4)浪費のために借金をする

(5)働けるのに働かない

(6)自由に使えるお金を認めない

 

(1)生活費を渡さない

収入があり,生活費を渡すことができるにもかかわらず,生活費を渡さない・・・・場合には,経済的DVにあたる可能性があります。

一方で,収入がなく,生活費を渡せない場合には,経済的DVとはいえないでしょう。

また,夫婦共働きで,ご自身の収入によって生活に支障がない場合には,経済的DVといえない場合があります。

 

(2)収入や貯金額を教えない

収入が十分にあったり,貯金があったりして生活費を負担することができるにもかかわらず,収入や貯金額を一切教えずに,生活費を十分に渡さず倹約させる場合には,経済的DVにあたる可能性があります。

 

(3)働かせてくれない

働けるのに働かせてくれない場合や,仕事をしていたのに辞めさせられた場合には,経済的DVにあたると判断される可能性があります。

このような場合であっても,十分な生活費を渡しているような場合には,経済的DVとはいえないでしょう。

 

(4)浪費のために借金をする

ギャンブルや遊興費などの浪費によって借金し,生活費を負担しないような場合には,経済的DVにあたる可能性があります。

 

(5)働けるのに働かない

病気やケガなどの働くことができない事情がないにもかかわらず働かずに,生活費を負担しないような場合には,経済的DVにあたる可能性があります。

 

(6)自由に使えるお金を認めない

婚姻中に夫婦が協力して得た財産は,夫婦の共有財産となります。

専業主婦であっても,育児や家事などによって家庭を支えているわけですから,一方が働いて得た収入は,夫婦の共有財産といえます。

節約の必要性から,お互いが話し合いにより納得したうえで合意していれば,自由に使えるお金がない場合も仕方ないでしょう。

しかし,合意もないのに一方的に収入を管理し,他方が自由に使えるお金を認めないという場合には,経済的DVにあたる可能性があります。

 

2 経済的DVは離婚の理由になる?

経済的DVは離婚の理由になる?

協議や調停などの場合,当事者が合意にいたれば離婚が可能であるため,経済的DVは離婚の理由となります。

また,裁判上であっても,経済的DVは離婚の理由になる場合があります。

 

(1)法定離婚事由とは

裁判で離婚となると,法律で定められた離婚原因(法定離婚事由)が認められる必要があります。

法律で定められた離婚原因は,以下の通りです。

(裁判上の離婚)

第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。

二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

(略)

引用:民法|e-Gov 法令検索

 

(2)悪意の遺棄に該当する可能性がある

悪意の遺棄とは,正当な理由なく,夫婦の「同居義務」,「協力義務」,「扶助義務」のいずれかに反する行為をいいます。

(同居、協力及び扶助の義務)

第七百五十二条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

引用:民法 | e-Gov法令検索

 

 

収入があるのに生活費を渡さない,働けるのに働かないといった事実は,経済的DVの具体例でした。

夫婦間の生活水準に明らかな差があるにもかかわらず,生活費を渡さない場合には,夫婦の「扶助義務」に違反したとして,悪意の遺棄が認められる可能性があります。

また,健康であるのに一切働かず,経済的な支援をしないような場合には,夫婦の「協力義務」に違反したとして,悪意の遺棄が認められる可能性があります。

裁判において,このような悪意の遺棄が認められる場合には,離婚が認められる可能性があります。

参考記事:悪意の遺棄で離婚したい!慰謝料相場と増額させる方法を徹底解説

 

 

(3)その他婚姻を継続し難い重大な事由に該当する可能性がある

その他婚姻を継続し難い重大な事由とは,婚姻関係が破綻しており,回復の見込みがないことをいいます。

たとえば,パートナーからDVやモラハラを受けていたり,長期間におよぶ別居状態が認められたりする場合です。

経済的DVの内容や,その他の夫婦の事情から,婚姻関係が破綻しており,もはや回復の見込みがないと認められる場合があります。

そのような場合には,離婚が認められる可能性があります。

 

3 経済的DVを受けたら慰謝料や婚姻費用は請求できる?

経済的DVを受けたら慰謝料や婚姻費用は請求できる?

結論から言うと,経済的DVを受けた場合,相手に慰謝料を請求できる可能性があります。

また,婚姻費用の請求も認められる可能性があります。

 

(1)慰謝料請求が認められる場合がある

慰謝料とは,受けた精神的苦痛に対する賠償金のことです。

相手の経済的DVによって離婚せざるを得なくなり,精神的苦痛を受けたと認められる場合には,慰謝料を請求することができます。

裁判において,慰謝料請求が認められるには,経済的DVの内容や程度を明らかにするための証拠が必要となります。

必ず経済的DVの内容や程度を明らかにするための証拠を集めるようにしましょう。

関連記事:精神的苦痛(不倫・DV・モラハラなど)による慰謝料請求をするには?

 

 

(2)婚姻費用の請求が認められる場合がある

婚姻費用とは,夫婦が婚姻生活を維持するために必要な費用のことです。

たとえば,衣食住の費用のほか,出産費,医療費,未成熟子の養育費,教育費,相当の交際費などが挙げられます。

夫婦は,お互いの収入に応じて相手の生活を扶助する義務(扶助義務)があります。

そのため,相手に十分な収入があるにもかかわらず十分な生活費を渡してもらえない場合には,相手方に対する婚姻費用の請求が認められます。

婚姻費用の請求は,裁判所に婚姻費用の分担請求調停を申し立てることによって可能です。

同居しているか,別居しているかにかかわらず申し立てることができますが,基本的に,請求時よりも過去の婚姻費用については請求できません。

婚姻費用の分担請求を考えている場合には,なるべく早く弁護士などに相談することをお勧めします。

調停において合意にいたらず調停不成立となった場合には,引き続き審判手続で必要な審理が行われた上,審判によって結論が示されることになります。

参照:婚姻費用の分担請求調停|裁判所

 

 

4 経済的DVの証拠はどうやって集めればいい?

経済的DVの証拠はどうやって集めればいい?

経済的DVの内容によって,必要な証拠は異なってきます。

たとえば,収入があるのに相手が生活費を渡さないといった場合には,相手が生活費の支払いを拒んだ発言などが含まれた音声記録が証拠となります。

また,生活費が足りていないことを示す証拠として,家計簿や預貯金通帳などが挙げられるでしょう。

以下は,経済的DVを明らかにする証拠の具体例になります。

・生活費の支払いを拒んだ発言・暴言が含まれた音声記録やLINEのやり取り

・生活費が足りていないことを示す家計簿

・生活費が振り込まれなくなったことを示す預貯金通帳

・働かせてくれないことが分かる音声記録やLINEのやり取り

・相手が浪費していることが分かるクレジットカードの利用明細 など

 

 

日頃から家計簿をつけたり,お金に関する話をする場合にはボイスレコーダーなどに会話を記録するなどしたりするようにしましょう。

証拠は1つではなく,複数集めるようにしてください。

 

5 経済的DVから逃れるためにできること

経済的DVから逃れるためにできること

(1)話し合う

まずは,夫婦で話し合ってみましょう。

一方が,月にどれぐらい生活費がかかるのか理解できていないケースもあります。

また,家計簿などにより現状を示すことによって,浪費をやめるきっかけになるかもしれません。

他方で,相手が経済的DVを自覚している場合には,そもそも話し合いに応じなかったり暴言を吐いてきたりと,そもそも話し合うこと自体が難しいかもしれません。

その場合であっても,必ず会話を録音したり,LINEのやり取りを残すようにしておいてください。

経済的DVやモラハラなどの証拠となる可能性があります。

 

(2)相談する

第三者に相談することによって,経済的DVから逃れるための策が見つかるかもしれません。

① 両親や友人

両親や友人といった身近な方に対しては,気兼ねなく話すことができ,客観的なアドバイスを得ることができるでしょう。

可能である場合には,一度両親や信頼できる友人に相談してみましょう。

 

② 公的機関

逆に,お金に関することを親や親友といった身近な方に相談することは気が引ける,という方もいらっしゃるかと思います。

そのような場合には,公的機関に相談することもできます。

たとえば,男女共同参画局のDV相談ナビです。

参照: DV相談について|内閣府男女共同参画局

 

また,都道府県や市町村等が自主的に設置している女性センターもあります。

女性センターでは,女性が抱える問題全般の情報提供や相談を受けることができます。

参照:女性センター|内閣府男女共同参画局

 

③ 弁護士

離婚や慰謝料請求,婚姻費用の分担請求を検討している場合には,弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士に相談することで,現在の状況に応じた適切なアドバイスを得ることが可能です。

また,弁護士に依頼した場合には,弁護士があなたに代わって書類の作成や手続などを行うため,心身共に負担が軽減されるでしょう。

 

(3)経済的に自立する

話し合いによって経済的DVが解決されないという場合には,離婚する・しないにかかわらず経済的に自立することによって,経済的DVから逃れることが可能です。

就職活動を行って仕事始めたり,自治体の就職支援を利用したりして,経済的に自立するための準備をしましょう。

 

6 まとめ

経済的DVとは,一般的に,パートナーの金銭的な自由を奪い,経済的に追い詰める行為をいいます。

経済的DVを受けている場合,離婚や慰謝料請求,婚姻費用の分担請求が認められる可能性があります。

離婚や慰謝料請求を検討するのであれば,必ず複数の証拠を集めておきましょう。

経済的DVから逃れるために,まずは,夫婦で話し合い,話し合いがまとまらず,どのように解決してよいのか分からない場合には,第三者に相談することで解決策が見つかるかもしれません。

もし,ご自身でどうしたら良いか分からないという場合には,お一人でお悩みならず,一度弁護士に相談することをお勧めします。

このコラムの監修者

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