離婚調停の期間が長期化する3つのケースとは?短期間で終わらせる4つのポイント
「早く離婚したいのに,なかなか離婚できない‥。」
「すぐに離婚できると思っていたのに,もう離婚を切り出してから1年が過ぎた‥。」
そんなお悩みを抱えている方は少なくありません。
夫婦で話し合い,合意にいたれば,すぐに離婚することは可能です。
しかし,相手が離婚に応じなかったり,離婚条件について争ったりする場合には,すぐに合意にいたることは難しいでしょう。
では,調停委員を介して話し合いを行う離婚調停であれば,すぐに解決に至るのでしょうか。
離婚調停であっても,実際は,なかなか解決に至らないということも多いです。
本コラムでは,離婚調停の期間が長期化するケースや離婚調停を短期間で終わらせるポイントなどについて解説します。
関連記事:離婚手続きはどうすればいい?基本的な離婚の流れと注意点について解説
目次
1 離婚調停の流れ
基本的に,離婚調停は以下のような流れで進みます。
(1)家庭裁判所に申し立てる (2)調停の期日が決まる (3)調停が開催される (4)調停が成立あるいは不成立となる |
(1)家庭裁判所に申し立てる
まずは,離婚調停を申し立てます。
申立先は,相手の住所地を管轄する家庭裁判所または当事者が合意で定める家庭裁判所です。
(2)調停の期日が決まる
調停を申し立てると,1~2週間ほどで調停の期日が決まります。
指定される日は,申し立てから1~2ヶ月ほど先の平日です。
(3)調停が開催される
指定された日に,調停が開催されます。
調停は,裁判官1名と調停委員2名のもとで開催されますが,実際の調停の進行は調停委員に任せられており,夫婦が交互に呼ばれて調停室に入り,離婚についての話し合いを行います。
1回の調停にかかる時間は2時間ほどで,状況によりもっと長引く場合もあります。
(4)調停が成立あるいは不成立となる
話し合いで合意にいたれば調停が成立し,合意にいたらない場合には不成立となります。
なお,調停の終了としては,調停成立・不成立の他に,調停の取下げや調停をしない措置,当事者死亡による終了などがあります。
関連記事:離婚調停が不成立になった後、再度調停をすることは可能?
2 離婚調停の期間は平均でどのくらい?
離婚調停の期間は,平均すると,およそ7ヶ月です。
以下の表は,裁判所が公表している令和4年度の司法統計に基づき作成したもので,離婚調停を含む婚姻関係事件の審理にかかった期間と件数,その割合を表しています。
審理期間 | 件数 | 割合 |
1ヶ月以内 | 3,107 | 5.4% |
3ヶ月以内 | 12,289 | 21.5% |
6ヶ月以内 | 17,774 | 31.2% |
1年以内 | 16,639 | 29.2% |
2年以内 | 6,520 | 11.4% |
2年を超える | 733 | 1.3% |
参考:令和4年 司法統計年報(家事編)第 16 表 |裁判所
統計によれば,割合的に「6ヶ月以内」が一番多く,次いで「1年以内」が多くなっています。
実際のところ,期間としては半年ほど,2~4回の実施回数を経て,調停終了となるケースが多い印象です。
しかし,中には1年を超えるケースもあり,2年を超えるといった長期化するケースがあることも事実です。
3 離婚調停の期間が長期化するケース3つ
長期化するケースとしては,以下のような点が挙げられます。
(1)日程調整の都合がつかない (2)争点が多い (3)お互いが譲らない |
(1)日程調整の都合がつかない
日程調整を行う主体は,夫婦に限らず,調停委員や裁判官,弁護士などがいます。
他の仕事や期日のため調停期日を入れられない,急用のために出席できなくなるなど,日程の都合がつかず,調停が進行しない場合には,長期化することがあります。
(2)争点が多い
相手が離婚に応じず,離婚すること自体を争っている場合には,長期化する傾向があります。
また,離婚すること自体に争いがなくても,財産分与や慰謝料,親権,養育費など,夫婦が話し合って決めなければならない点が多いほど,長期化します。
(3)お互いが譲らない
調停は,夫婦が調停委員を介して話し合いを行う場です。
合意にいたれば調停は終了となりますが,お互いが譲り合わず,合意にいたらない場合には,長期化します。
特に,子どもがいる場合,親権についてお互い譲らないケースが多く,長期化する傾向にあります。
4 離婚調停を短期間で終わらせる4つのポイント
できるだけ短期間で離婚調停を終わらせるポイントは,以下の通りです。
(1)伝える内容をまとめておく (2)離婚条件に優先順位をつける (3)必要となる資料を用意しておく (4)離婚調停を弁護士に依頼する |
(1)伝える内容をまとめておく
ご自身が調停で伝えたい内容をあらかじめ整理しておくことは,離婚調停を短期間で終わらせるポイントになります。
2回目に伝えた内容が1回目と異なっていたり,主張する内容が曖昧であったりすると,調停委員としても解決案を示すことが難しく,印象も良くありません。
離婚調停で聞かれる質問や相手方からの反論は,ある程度予想することが可能です。
離婚調停をスムーズに進めるのみならず,交渉を有利に進めるためにも,ご自身が調停で伝えたい内容をあらかじめ整理し,しっかりと準備して調停に臨むことをお勧めします。
関連記事:離婚調停で聞かれること7選!事前準備すべき3つのポイント
(2)離婚条件に優先順位をつける
離婚条件に優先順位をつけておくと,離婚調停の長期化を防ぐことができます。
離婚協議や離婚調停では,お互いが譲り合わなければ,なかなか合意にいたりません。
譲れない点,譲れる点を明確にし,順位をつけておくと,調停委員としても解決案を提示しやすく,短期間で合意にいたる可能性が高くなるでしょう。
(3)必要となる資料を用意しておく
調停で話し合いをする場合,必要な資料を裁判所から求められることがあります。
必要となる資料については,あらかじめ予想し,用意しておくことが可能なものもあります。
あらかじめ必要となる資料を用意しておくことは,離婚調停を短期間で終わらせることに繋がるでしょう。
例えば,財産分与を取り決める場合には,ご自身の預金口座の残高証明を取り寄せたり,不動産の簡易査定をとっておくことなどが挙げられます。
また,可能な範囲で相手方の財産について,項目や価額などの一覧表を作成しておくことも重要です。
(4)離婚調停を弁護士に依頼する
離婚調停を弁護士に依頼すると,ご自身で行う場合と比較して,短期間で終わる可能性があります。
弁護士は,法律のプロであり,主張すべき内容や必要な資料,慰謝料や養育費などの相場,離婚条件の落としどころなどについて熟知しています。
そのため,調停委員や相手方に伝えるべき内容を簡潔にまとめて伝えることで,交渉がスムーズとなります。
また,交渉がスムーズとなるだけでなく,不利な内容の離婚条件となることを回避し,有利に交渉を進めることができるようになるでしょう。
関連記事:離婚調停は自分でできる?弁護士に依頼しないメリット・デメリット
5 まとめ
今回は,離婚調停の期間が長期化するケースや離婚調停を短期間で終わらせるポイントなどについて解説しました。
夫婦で話し合うことができない,合意にいたらないといった場合には,離婚調停を申し立てることになります。
離婚調停の期間は,平均すると,およそ7ヶ月ですが,中には1~2年以上かかるケースもあります。
「早く離婚したいのに,なかなか離婚できない。」といった場合には,本コラムで述べたポイントを参考に,調停に臨んでください。
調停はご自身で行うことも可能ですが,弁護士に依頼すれば,話し合いがスムーズになったり争点をしっかり特定したうえで,調停に臨むことができるので,ご自身で行う場合よりも短期間で終わる可能性があります。
また,弁護士に依頼した場合には,書面の作成や資料の準備,平日の月に1回程度の裁判所への出頭など,すべて弁護士に任せることができ,ご自身の負担が軽減されるでしょう。
もし,ご自身でどうしたら良いか分からない場合には,一度弁護士に相談することをお勧めします。
このコラムの監修者
田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録
弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、また100人以上の方の浮気、不貞、男女問題に関する事件を解決。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、 豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。