離婚相談が無料の法テラスを利用するメリット・デメリット|法律事務所との違いとは?
離婚を考え、いざ弁護士選び!
調べてみると無料で弁護士に法律相談できる「法テラス」というものがあるらしい!
でもこれって普通に法律事務所に相談に行くのと何が違うのだろう?その利用のメリット・デメリットは何だろう?
そういった疑問をお持ちの方も多いと思います。
この記事は、これから離婚の法律相談を考えている方、法テラスのメリット・デメリットを知りたい方にお勧めです。
1 法テラスとは?
「法テラス」とは正式名称は「日本司法支援センター」といいます。平成16年6月2日に公布された総合法律支援法に基づき設立されました。「法テラス」とは通称であり、法律によってトラブル解決へと進む道を指し示すことで、相談する方々のもやもやとした心に光を「照らす」場という意味が込められているそうです。
「法テラス」の細かい歴史・沿革や事業の解説は今回は抜きにして、皆さんに関係があるところでいいますと、無料での法律相談や弁護士報酬の援助事業を行っており、経済的な面で一般市民の方に弁護士や法的サービスの利用を援助する活動を行っている組織となります。
要するに、法テラスでは、無料での法律相談を受けたり、経済的に弁護士費用を支払うことが難しい方が援助を受けたりすることができるということです。
例えば、大阪府であれば、法テラス大阪(大阪市北区西天満所在)と法テラス堺(堺市堺区南花田口町所在)があります。後述しますが、法テラスを利用するのに、必ずしも法テラスまで行く必要がない場合があります。
2 離婚相談が無料の法テラスを利用するメリットとは?
法テラスでは、同じ法律相談について、3回まで無料で弁護士の相談を受けられるという法律相談の援助事業を行っています。
法テラスに電話して、無料での法律相談を受けたいと連絡すれば、法律相談の受け方を案内してもらえます。
ただし、以下の3のデメリットの部分でご案内するように法テラスには利用の条件(資力基準)というものがあります。
法テラスを利用する場合の、メリットは大きく四つあるといえます。
(1)3回まで無料の法律相談ができる
一つ目が、無料で3回まで法律相談を受けられるので、弁護士を入れるかどうか費用の負担を抑えたうえで検討できるということになります。
(2)全国一律の弁護士報酬体系になっている
二つ目が、法テラスを通じて弁護士を依頼した場合に、法テラスの基準の弁護士報酬で依頼ができるということが挙げられます。一般の法律事務所の報酬設定は各事務所ごとにバラバラですが、法テラスでは全国一律の基準での報酬体系となっています。一概には言えませんが、法テラスの理念からいって、報酬体系も一般の法律事務所よりお安くなっていることが多いです。
(3)弁護士費用を長期分割で支払える
三つ目が、法テラスを通じて弁護士を依頼した場合に、一般の法律事務所では難しい長期の分割で報酬が支払えるということが挙げられます。これは法テラスの行う民事法律扶助という事業であり、弁護士への依頼時に掛かる着手金について、法テラスが援助を受ける方に替わって弁護士に立て替えで支払いをしてくれます。もちろん、最終的には依頼をした方本人が費用負担するわけなのですが、月額5000円~10000円を法テラスに対して分割返済していけばいいということになります(この返済のことを、法テラスでは「償還」と呼んでいるようです)。
弁護士報酬は数十万円になるときがあり、一般の法律事務所でも分割での支払いに応じることはありますが、法テラスを利用した場合のように支払いまで年単位でかかる分割に応じる事務所はほとんどないと言えます。
(4)弁護士費用が免除される場合もある
四つ目が、これは皆さんが必ず受けられるメリットというわけではないのですが、三つ目のメリットとしてお伝えした分割での弁護士費用の支払いについて法テラスへの返済が免除してもらえる場合があります。
こちらは経済的に苦しくて少額での分割返済も難しくなった場合に、法テラスに免除を申し込むことによって、免除を受けられることがあります。
以上に解説させていただいたように、法テラスを利用することによって、経済的な負担を抑え、経済的に弁護士に依頼することが難しい人でも、弁護士の法的サービスを気軽に受けることができる可能性があります。
また、法テラスについては、必ずしも法テラスに行って法律相談する必要はなく、法テラスの支援事業を利用して法律相談や依頼ができる法律事務所であれば、その事務所に行って相談をすることができます。
3 離婚相談が無料の法テラスを利用するデメリットとは?
次には法テラスを利用するデメリットになりうる点を五つご案内したいと思います。
(1)法テラスの定める3つの条件を満たす必要がある
まずは、法テラスで上記2のような経済的な援助を受けようという際には、法テラスの定める条件を満たす必要があります。
法テラスで無料の法律相談を受けるには以下の①③の条件を、法テラスを通じて弁護士に依頼するには以下の①②③の条件をすべて満たす必要があります。
① 収入等が一定額以下であること詳細は法テラスHPの資力基準をご覧ください。 ② 勝訴の見込みがないとは言えないこと和解、調停、示談等により紛争解決の見込みがあるもの、自己破産の免責見込みのあるものは、②に含みます。 ③ 民事法律扶助の趣旨に適すること報復的感情を満たすだけや宣伝のためといった場合、または権利濫用的な訴訟の場合などは援助できません。 |
この条件の中で大きく問題になるのが①の資力基準でしょう。
資力=経済的能力が一定以上ある方については、法テラスの理念から、経済的な支援の対象外となっています。
資力基準については世帯やお住まいの地域等の条件によっても異なるのですが、収入と資産について次のような条件を満たす必要があります。
(夫と別居し、大阪で賃料月額5万3000円の賃貸住宅にお一人で居住している場合)
⇒この場合の、収入基準は月額「25万3200円」以下であることが条件になります。
離婚の案件で相手方が配偶者である場合は、相手方の収入は含みませんのでご安心を。
また、資産基準としては、現金預貯金不動産等の資産が180万円以下であることが基準となります。
(2)法テラスで法律相談を受けられる対象者が限られている
次のデメリットとして、法テラスで法律相談を受けられない方がいます。日本に住所を有しない方や、適法な在留資格のない外国人や、法人・組合等の団体は対象者に含まれないということです。
また、大きなデメリットとしては次の2点があります。
(3)法テラスで法律相談ができる場所が限られている
法テラスの相談では、相談できる場所が限られているので、お住まいの地域によっては必ずしも便利な場所で相談に乗ってもらえないということがあります。
(4)離婚に詳しくない弁護士が担当になる可能性がある
そして、いざ弁護士と無料相談できるとしても、男女問題や離婚問題に特化していない弁護士に当たる可能性があります。
(5)1回あたり30分の時間制限があり、毎回違う弁護士が担当することもある
3回の無料相談も1回あたり30分の時間制限があり、毎回同じ弁護士に相談できるとは限らないということがあります。相性のいい弁護士に当たるまで何回かトライするという割り切った利用をするのも一つですが、毎回同じ話をし直さないといけないことや、依頼を急ぎたいときには遠回りになることがデメリットになります。
法テラスの援助を用いて、一般の法律事務所で相談ができる場合もありますが、法テラスを通した場合には弁護士報酬が低額になることもあって、法テラスを利用することができない法律事務所もあります。相談したい離婚問題に特化した事務所、便利な立地の事務所では法テラスが使えないということがあります。
4 法テラスと法律事務所の違いとは?
(1)法律事務所は弁護士や立地などを自由に選ぶことができる
法テラスでは、経済的に大きなメリットがあるものの、ご自身で好きに弁護士を選べるわけではないことが挙げられます。
一般の法律事務所では、離婚問題が得意な事務所や便利な立地の事務所をご自身で自由に選ぶことができます。
(2)法テラスの資力基準が法律事務所にはなく、相談時間も長く取れる傾向
一般の法律事務所では、法テラスにあるような資力基準もありませんし、相談時間についても30分までということは少ないです。
弊所では、離婚問題に経験豊富な弁護士が多数所属しておりますし、法律相談も1時間程度は時間を確保しています。また、無料での法律相談も実施しておりますので、相談時の経済的負担も含めて、法テラスよりも充実したサービスを提供していると自負しております。
よりよい解決のために特定の法律問題に特化した法律事務所・弁護士に依頼したい場合や、依頼後に継続して打合せすることを考えた時には、一般の法律事務所への依頼を考えた方がお客様にとってより良い解決になることがあります。
関連記事:【大阪】離婚に強い弁護士を探すコツと無料相談のメリット
5 まとめ
法テラスは広く、一般市民の方に法律相談を受けられるような支援が充実していますが、専門的な分野に特化し利便性を追求しているという意味では、一般の法律事務所の方がサービスが充実しているといえます。
安かろう悪かろうというわけではないですが、ご自身が求める支援・サービスによって法テラスと法律事務所は使い分けていただくことがよろしいかと思います。
男女問題や離婚問題を専門的に扱う弊所でも、無料での法律相談を行っていますので、離婚の問題についてはぜひ一度ご相談いただければと思います。
このコラムの監修者
田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録
弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、また100人以上の方の浮気、不貞、男女問題に関する事件を解決。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、 豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。