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妻に無視されていてつらい…離婚と慰謝料請求できる?

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妻に無視されていてつらい…離婚と慰謝料請求できる?

夫婦でも当然喧嘩をすることはあると思います。

配偶者から一方的に無視されるということもあるでしょう。

しかし、数日間のことであればまだしも、長期間にわたって無視され続けているということになれば、一緒に生活していくことも難しくなってきてしまいます。

無視をされ続けることで夫婦関係に亀裂が入り、離婚まで考えるようになる方もいるのではないでしょうか。

本コラムでは、配偶者から無視されていることを理由に離婚することはできるのか、また離婚の際の慰謝料の相場等について、解説いたします。

目次

1 そもそもなぜ妻に無視されるのか、よくある理由

そもそもなぜ妻に無視されるのか、よくある理由

そもそもなぜ妻に無視されるのか、よくある理由そもそも、どうして配偶者から無視されてしまっているのでしょうか。

夫婦として一緒に生活しているのですから、何の理由もなく無視をしているとは考え難いところです。

原因は夫婦によってさまざまかと思いますが、よくある理由としては以下のようなものが考えられます。

 

(1)夫婦喧嘩の延長

夫婦喧嘩の延長

夫婦であってもそれぞれの性格や考え方がありますから、長く一緒に生活する中で、喧嘩をすることも当然あるかと思います。

しかし、その後にきちんと話し合って解決することなく、ずるずると喧嘩が長引いてしまい、仲直りできないまま無視されるようになったということが考えられます。

 

(2)日々の不満

日々の不満

なかには、夫婦喧嘩をした覚えもないのに、突然妻から無視されるようになったという方もいるかと思います。

しかし、理由もなく突然無視するようになるとは考え難いところです。

自分に自覚がないだけで、あなたの日々の行動や発言等に妻が不満や不信感を抱き、その結果無視に繋がっている可能性があります。

 

(3)妻の不倫

妻の不貞

妻が不倫をしているがために、配偶者であるあなたに対する対応が悪くなっているという可能性も考えられます。

不倫まではしていないとしても、他に好きな人でできてしまい、あなたとの離婚を考えているということもありうるところです。

 

2 妻に無視されていることを理由に離婚は可能?

それでは、配偶者から無視されている場合、それを理由に離婚することは可能なのでしょうか。

これについて、夫婦が話し合った結果合意の上で離婚するという場合にはその離婚理由に制限はありませんから、配偶者から無視されていることを理由に離婚することももちろん可能です。

しかし、そもそも配偶者から無視されている状況なのですから、離婚についての話し合いがちゃんとできるとも考え難いところです。

配偶者自身があなたと離婚したいと考えてあえて無視をしているのであればまだ可能性はあるかと思いますが、配偶者は離婚までは考えていないという場合には、話し合いの場を設けること自体が困難であるかもしれません。

どうしても離婚についてうまく話し合いができないという場合離婚調停を家庭裁判所に対して申し立てるという方法があります。

離婚調停では、調停委員が中立的な立場で間に入って話し合いを進行してくれることになるため、そもそも配偶者から無視されていて話し合い自体が困難な状況等の場合には、有効な手段であるといえるでしょう。

とはいえ、離婚調停もあくまで話し合いの場にすぎませんので、相手の同意がなければ、離婚を成立させることはできないことになります。

どうしても離婚について相手の同意が得られなければ、次は離婚裁判を提起することを検討することになります。

裁判離婚の場合、相手が離婚したくないと考えているところを強制的に離婚を成立させるということになるため、どのような理由であっても離婚が認められるというわけではありません。

裁判によって離婚をするという場合には、法律によって離婚が認められる事由が定められています。

民法第770条1項

夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。

二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

「配偶者から無視される」ということ自体は、法律で定められた離婚事由として直接は挙げられていません。

しかし、無視されている状況やその他の離婚理由が組み合わせられることによって「悪意で遺棄されたとき」(民法770条1項2号)もしくは「婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」(民法770条1項5号)にあたるとして、離婚が認められる可能性はあります。

 

(1)悪意の遺棄にあたる場合

夫婦は互いに、協力義務・扶助義務を負っており、助け合わなければならないことになっています。

民法第752条

夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

配偶者から継続的に無視され、生活費等すら支払ってもらえないような場合には、協力義務や扶助義務が果たされておらず「悪意の遺棄」にあたるとして、離婚が認められる可能性はあります。

もっとも、無視はされているものの生活費は支払ってくれている場合や、自分自身の得ている収入によって生活には支障がないような場合には、「悪意の遺棄」にはあたらないと判断される可能性が高くなります。

関連記事:悪意の遺棄で離婚したい!慰謝料相場と増額させる方法を徹底解説

 

(2)婚姻を継続し難い重大な事由がある場合

「悪意の遺棄」にはあたらないとしても、「婚姻を継続し難い重大な事由」があるとして離婚が認められる可能性はあります。

もっともこの場合であっても、短期間の無視があるのみでは、「婚姻を継続し難い重要な事由」があるとはなかなか認められません。

ある程度の期間無視される状況が継続していたり、無視だけでなく暴言や暴力もあるというような場合には、モラハラやDV(ドメスティックバイオレンス)にあたるとして離婚が認められる可能性は高くなるでしょう。

裁判所にモラハラやDVの存在を認めてもらうためには、証拠が必要になります。

暴言や暴力がある場合には、録音やLINEのやりとり等をきちんと残しておくことをおすすめします。

配偶者から無視されることを理由とする離婚についての裁判例として、以下のようなものがあります。

【東京地裁平成18年1月31日】

・事案

平成7年頃から夫婦が互いに口をきかない状態になり、被告(妻)は原告(夫)に伝言がある場合には、書き置きをして伝えるようになった。

また、被告(妻)婚姻当初は原告(夫)の食事を用意していたが、平成8年頃には全く用意しないようになり、平成14年3月頃には原告(夫)が洗濯物を出さなくなったことから被告(妻)は原告(夫)の物を洗濯しなくなった。

 

(3)裁判所の判断が出た場合

「原告(夫)と被告(妻)は現在まで本件建物に居住しているが、遅くとも被告が原告の物を洗濯しなくなった平成14年3月ころには、原告と被告の共同生活の実態は完全に失われ、その婚姻関係は修復不可能な程度にまで破綻していたものと認めることができ」、「原告と被告との間の婚姻関係には婚姻を継続し難い重大な事由があると認めることができる」としました。

なお、「原告と被告との間の婚姻関係の破綻の原因は、結局、双方の性格や生活習慣の不一致によるものであって、原告、被告双方がその関係を修復するため努力したことはないことが認められるのであるから、婚姻関係が破綻した原因は、双方にあり、いずれか一方に責任があるという性質のものではない」判断されています。

もっとも、上記裁判例は、夫婦の双方が離婚を望んでいた事案です。

 

3 妻に無視されていることを理由に慰謝料の請求は可能?

それでは、配偶者から無視されていることが原因で離婚する場合、相手に慰謝料を請求することは可能なのでしょうか。

これについて、離婚する以上、配偶者に慰謝料を請求できるのだと勘違いしてしまっている方もいますが、そういうわけではありません。

慰謝料はあくまで、相手に非のある行為によって被った、精神的苦痛に対する損害賠償として支払われるものです。

そのため、配偶者によってなされた無視が「悪意の遺棄」や「婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたるような態様のものであり、これによって精神的苦痛を受けたものと認められれば、相手に慰謝料を請求することができる可能性はありますが、そのように認められなければ、無視されていることを理由として離婚したとしても、相手に慰謝料を請求することは難しくなります。

 

4 離婚慰謝料の相場と請求方法

離婚慰謝料の相場としては、50万円~300万円程度が一般的です。

配偶者から無視される等のモラハラを理由に離婚する場合、慰謝料の金額はモラハラがされていた期間の長さやその悪質さ、それによって受けた被害の大きさ等によって、増減することになります。

また、モラハラだけではなく、不貞やDV等もあわせて行われていたという場合には、より高額な慰謝料を請求することができる可能性があるでしょう。

慰謝料の請求方法についても、離婚の方法として先程説明したのと同様に、まずは話し合いで相手に慰謝料の支払いを求めることが考えられます。

そもそも相手から無視されているということであれば、話し合いで慰謝料の支払いについて協議することも困難だとは思いますが、もし協議が成立したら、後々トラブルとなってしまうことを防ぐためにも、きちんと公正証書や合意書を作成しておくことをおすすめします。

相手との話し合いがうまくいかない場合には、調停ないし裁判を申し立てることになります。

裁判で慰謝料を請求する場合には、その根拠となる証拠がなければ裁判所はきちんとその根拠となる証拠がなければ認めてくれません。

そのため、LINEやメールのやりとりや会話の録音、モラハラにより精神科に通院した等の事情がある場合には医師の診断書等、証拠をきちんと集めておくことが必要不可欠です。

関連記事:離婚慰謝料の相場は200万円?不倫・浮気・DVなど離婚の原因別に見る支払い条件と交渉方法

5 まとめ

配偶者から無視をされているということのみでは、裁判で離婚が認められるのは困難であると言わざるをえません。

離婚できるのか、また慰謝料を請求することができるのかを判断するにあたっては、それぞれの夫婦の状況や事情、無視されていること以外に夫婦間にどのような問題があるか等、さまざまな事情を考慮して判断することが必要です。

配偶者から無視され、離婚を考えておられる方は、まずは一度弁護士にご相談ください。

このコラムの監修者

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