不倫慰謝料請求の訴訟を起こされた!裁判の流れと対処法
裁判所から書類が届いたけれど、何の書面かわからない。書面を読んでも、意味が全くわからない。どう対応したら良いのだろう。
そんな経験をお持ちの方はおられませんか。
当事務所は、不倫慰謝料請求に関するご相談を多く取り扱ってきました。慰謝料請求を受けている側のご相談も多く受けてきました。突然、裁判所から書類が届き、驚かれて、事務所まで相談に来られる方もいます。
裁判所から書類が届き、どう対応したら良いか、戸惑われることもあろうかと思います。
この記事では、不貞慰謝料請求の訴訟を起こされた場合の対処法を紹介いたします。
このコラムを読むことによって、訴訟を起こされた場合の対方法が理解でき、無事に裁判を解決まで導くために役立ちます。
目次
1 不倫慰謝料請求の訴訟を起こされた場合の裁判の流れ
(1)裁判は突然に
争いが起こった場合には、話し合いで解決を図っていくのが通常です。話し合いで争いが解決しない場合には、裁判所に訴訟を起こします。
しかし、当事者がいきなり裁判を起こすことがあります。
裁判は、いつでも起こすことができるのです。相手方との話し合いの最中や、話し合いを全くしていない場合でも、裁判を起こすことができます。
(2)裁判とは
裁判とは、裁判官が具体的な争いごとについて判断を下す公的手続きです。
訴訟という言葉も裁判と同じような意味です。
(3)裁判の流れ
裁判の流れは、以下の通りです。
① 訴状の提出
② 答弁書の提出
③ 口頭弁論期日
④ 和解期日
⑤ 尋問期日
⑥ 判決
① 訴状の提出
裁判は、相手方が裁判所に訴状という書面を提出することから始まります。訴状には、相手方が求める請求、請求の理由が記載されています。訴状と一緒に、請求を裏付ける証拠などを提出することもあります。
なお、裁判を起こした方を原告、裁判を起こされた方を被告といいます。
訴状、証拠などは、裁判所から訴えを起こされた被告に送られます。
② 答弁書の提出
訴えを起こされた場合には、被告は、訴状に対する反論をしていく必要があります。
訴状に対する反論の意見やその理由を書いた書面のことを答弁書といいます。
被告は、答弁書を裁判所、原告に提出することになります。
証拠がある場合には、一緒に証拠も提出します。
③ 口頭弁論期日
訴状の提出後に、裁判所で審理が行われる日時が指定されます。
指定された日時に、裁判所において、裁判官の前で、実際に審理が行われます。
この裁判所での審理のことを口頭弁論期日といいます。
口頭弁論期日では、原告が訴状、被告が答弁書の内容を述べることになります。
証拠も提出されたことになります。
裁判は、公開されていますので、誰でも見ることができます。
口頭弁論期日は、1回では終了しないことが通常です。
通常は、口頭弁論期日は、複数回、実施されます。
当事者の主張や証拠を整理する必要がある場合には、2回目以降に、弁論準備手続などが行われます。
弁論準備手続は、口頭弁論期日とは異なり、非公開です。
口頭弁論期日や弁論準備手続を繰り返し、裁判所がお互いの言い分や証拠を整理していきます。
期日間において、原告や被告は、主張を書いた準備書面を提出し、証拠を出すことを繰り返していきます。
遠方の裁判所の場合には、電話やWEBで裁判に参加することができることもあります。
④ 和解期日
裁判を行っていても、和解の話し合いをすることがあります。これを和解期日といいます。
和解の話し合いをする時期は、特に決まっていません。
不倫慰謝料請求の場合には、お互いの言い分がある程度、整理された段階で、裁判官から和解の話をしないかと持ち掛かけられるのが通常です。不倫慰謝料請求の場合には、尋問期日や判決までいかず、和解で終わることが多いです。
和解を希望される場合には、自分から和解したい旨を述べれば、和解の協議を始めることも可能です。
⑤ 尋問期日
お互いの言い分が整理され、証拠も出尽くした場合に、尋問期日を行います。
尋問期日では、原告・被告などの当事者や関係者など証人の話を聞きます。
当事者の話を聞くことを当事者尋問、証人の話を聞くことを証人尋問といいます。
実際に、裁判官の前で、相手方、裁判官の質問に答えていくことになります。
裁判官は、尋問の内容を踏まえて、どちらの言い分が正しいのかを判断していきます。
⑥ 判決
判決は、裁判官の最終的な判断のことを言います。
判決には、原告が訴状に書いた請求を認めるか、認めないかという結論が書かれています。理由も書かれています。
判決に納得した場合には、判決に書かれた金額を支払うことになります。
判決に納得いかない場合には、高等裁判所などに控訴をしていくことになります。
2 不倫慰謝料請求の訴訟を起こされた場合の対処法
不貞慰謝料請求の訴訟を起こされた場合には、以下の作業が必要になります。
(1)書面を提出すること
(2)裁判に出席すること
(1)書面を提出すること
裁判では、たくさんの書面を出していくことが必要になります。
まずは、訴訟を起こされた場合には、裁判所に答弁書を出すことになります。
この答弁書は、1回目の口頭弁論期日までに必ず提出してください。
答弁書には、相手方の主張に対する反論を記載します。反論を裏付ける証拠がある場合には、証拠も提出します。
その後は、お互いの言い分が出てくるたびに、準備書面という名前を付けて、反論の書面を出します。その書面に関連する証拠も提出していきます。
裁判では、このような書面の提出を繰り返していきます。
書面を書くことが難しいこともありますので、訴訟を起こされた場合には、まずは、弁護士にご相談することをおすすめします。弁護士であれば、弁護士が代わりに書面を作成していくことになります。書面の提出期限が決まっていますので、お早めに弁護士にご相談される方が良い結果につながります。
(2)裁判に出席すること
裁判は、期日に出席することも必要になります。
期日は、何度も開催されるため、何度も裁判所に足を運ぶことになります。
裁判は、平日の午前10時~午後5時の時間帯にしか開催されません。
期日に予定があり、都合が悪い場合には、裁判所に相談をすれば、期日を変更してもらえることがあります。
仕事をお持ちの方は、仕事を休んで、裁判に出席することも難しいかと思います。
裁判に欠席をすると、不利に扱われてしますこともあります。
裁判に出席することが難しい場合にも、弁護士にご相談されることをおすすめします。弁護士に依頼された場合には、弁護士が代わりに裁判に出席することになります。
3 不倫慰謝料請求の訴訟を起こされた場合の注意点
(1)反論の書面を提出しないことは厳禁
訴訟を起こされた場合に最もまずい対処法は、何もしないことです。
裁判所から送られてきた訴状を受け取っても、放置しておられる方がいます。
しかし、訴状を受け取って、反論の書面を提出せずに、そのまま放置することは、厳禁です。
反論の書面を提出しないと、相手方の言い分を認めたことになるからである。
法律では、反論の書面を提出せず、裁判所にも出頭しない場合には、訴状に記載された相手方の言い分を認めたことになります。これを擬制自白といいます。
そのため、何も書面を提出せず、裁判にも欠席した場合には、相手方の請求をすべて認めた判決が下されることになります。
(2)裁判に欠席した場合は不利益になる可能性
裁判に出席しない方もおられます。
しかし、裁判に欠席することは、おすすめしません。
なぜなら、裁判が不利にすすむ可能性があるからです。
1回目の口頭弁論期日であれば、欠席したとしても、答弁書を提出していれば、答弁書の内容を述べた扱いにしてくれます。これを擬制陳述(ぎせいちんじゅつ)といいます。
2回目以降は、擬制陳述の制度がありません。
書面や証拠を提出していたとしても、出席していなければ、その内容を述べたことにはなりません。何も反論をしていないのと同じことになるため、裁判が不利になる可能性があります。
(3)訴状を受け取らなくても不利益がある
なお、訴状を受け取らなかったら大丈夫と思われるかもしれません。
しかし、裁判所から送られた訴状を受け取らなかったとしても、問題があります。
裁判所は、何度も、訴状を送ってきます。
自宅に訴状が届かなかった場合には、職場に訴状を送られることがあります。
職場に裁判を知られたくない場合には、必ず訴状を受け取っておく必要があります。
裁判所が訴状を何度送っても、当事者が受け取らない場合には、公示送達が行われます。
公示送達は、当事者に訴状を送ることが不可能な場合に、裁判所にある掲示板などに一定の期間、裁判所まで訴状を取りに来るように掲示します。期間が経過すれば、ご本人が実際に訴状を受け取っていなくても、訴状を受け取ったことにされていまいます。
知らないままに裁判が進んで、知らない間に負けてしまうことになります。
4 まとめ
今回のコラムでは、不倫慰謝料請求の訴訟を起こされた場合の対処法などを紹介しました。
突然、裁判所から訴状が届いたら、驚かれるかもしれません。何もしたくない気持ちもわかります。
でも、そのまま訴状を放置していたのでは、最悪の結果が待っています。
まずは、弁護士事務所に相談するなどの一歩を踏み出してくことが、最悪の結果を避けるためには大事です。
このコラムが訴訟を無事に解決することに役立てば幸いです。
訴訟は、裁判所に行ったり、書面を書いたりと、面倒な作業がたくさんあります。突然、裁判所から訴状が届いて、お悩みの場合には、経験豊富な当事務所までご相談ください。
このコラムの監修者
田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録
弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、また100人以上の方の浮気、不貞、男女問題に関する事件を解決。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、 豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。