離婚調停で聞かれること7選!事前準備すべき3つのポイント
離婚調停は,家庭裁判所にて,調停委員の仲介のもとで,離婚の話し合いが行われます。
調停委員や裁判官と,月に1回程度,約2時間,離婚について話し合うことになりますが,慣れてない場所であること,うまく自分の主張を伝えることができるか分からないことなどから,どうしても不安になってしまうと思います。
調停において,受け答えがスムーズでなかったり,長々と一貫しない内容を話したりしていると,印象が悪くなり,思うような結果とならない可能性も生じるため注意しなければいけません。
しかし,あらかじめ何が聞かれるか分かっていると,準備して臨むことが可能となり,あなたの言いたいことが調停委員や裁判官に伝わりやすくなるでしょう。
特に,初回の調停では,似たような質問をされることが多いこと,良い印象を与えることができることから,準備しておくことは十分価値があると思います。
そこで,今回は,調停ではどのようなことが聞かれるのか,どのような準備をすべきかについてお伝えします。
目次
1 離婚調停で聞かれることとは?
離婚調停で聞かれる内容は,申立人か相手方かによって少し異なります。
(1)申立人が聞かれること
初回の調停では,以下のような質問がよく聞かれます。
① 結婚した経緯について ② 離婚を決意した理由 ③ 現在の夫婦生活の状況 ④ 子どもに関すること ⑤ 夫婦関係を修復できる可能性 ⑥ 離婚条件について ⑦ 離婚後の生活について |
① 結婚した経緯について
どのように出会い,結婚し,離婚を考えるに至ったのかにつき質問されます。
楽しかった思い出話などを語る必要はなく,端的にこれまでの経緯を説明しましょう。
関係のないことを長々としゃべることは,ご自身の印象を悪くしかねないため注意してください。
② 離婚を決意した理由
今後の話し合いにおいて,とても重要な質問となります。
たとえば,単に「一緒にいるのが辛くなった」といった抽象的な受け答えでは足りません。
なぜ一緒にいるのが辛くなったのか,それはいつ頃からなのか,自身で状況を改善しようと努力したのかといった点を具体的に分かりやすく話すことが重要です。
まずは,ご自身でこれまでの経緯を思い返し,言葉でうまく伝えることができるかどうかイメージしてみると良いでしょう。
③ 現在の夫婦生活の状況
調停委員は,現在の問題点を整理するために,同居しているのか、生活費はどうしているのかなどを質問します。
現時点での夫婦生活の状況をありのまま伝えましょう。
④ 子どもに関すること
夫婦に子どもがいる場合は,子どもに関する質問がされます。
現在,子どもはどのように暮らしているのか,離婚を認識しているのか,別居している親と会っているのかなどといった事項につき,正直に答えましょう。
⑤ 夫婦関係を修復できる可能性
調停委員は,離婚することを目指している訳ではなく,紛争の解決を目指しています。
夫婦関係が修復可能で,話し合いの結果,婚姻生活を継続することができるのであれば,調停不成立という形で調停が終結することもあります。
ご自身が離婚を申し立てている側で,離婚する意思が固まっているのであれば,修復できることを匂わせるような曖昧な回答はせず,はっきりと修復できないと伝えましょう。
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⑥ 離婚条件について
離婚する場合には,財産分与や慰謝料,年金分割といったお金に関することや,親権や養育費,面会交流といった子どもに関することなどの離婚条件を取り決める必要があります。
調停委員は,申立人と相手方の双方から聴き取りを行い,解決案を提示してくれます。
まずは,ご自身がどのような離婚条件を希望するのか,調停委員に伝えましょう。
⑦ 離婚後の生活について
離婚が成立した場合,夫婦は基本的に別々に生活することになります。
別々に生活するにいたった場合に,どこで生活するのか,どのように生計を立てていくのかなどが聞かれます。
(2)相手方が聞かれること
調停委員は,申立人から聴き取った内容を踏まえて,相手方に質問します。
基本的な質問事項は申立人と共通しますが,特に相手方には,以下のような質問がされます。
① 離婚する意思の有無について ② 申立人の主張する離婚の理由について ③ 離婚する意思がある場合の離婚条件について |
① 離婚する意思の有無について
離婚する気はあるのか,離婚に応じる気はあるのかについて確認されます。
離婚する気がない場合は,なぜ離婚する気がないのか伝える必要があります。
調停委員が聴き取りをし,解決案を示したにもかかわらず,離婚に応じない場合には,調停が不成立となるでしょう。
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② 申立人の主張する離婚の理由について
申立人が主張する離婚理由につき,内容の確認や,自身の有責性について質問されます。
③ 離婚する意思がある場合の離婚条件について
申立人と同様に財産分与や親権,面会交流などについて,希望する条件を聞かれることになります。
2 2回目以降の離婚調停で聞かれることとは?
2回目以降の離婚調停では,初回に双方から聴き取った内容を踏まえた上で,それぞれに立ち入った質問がされることになります。
初回の調停中にメモを取っておき,話し合った内容を整理しておきましょう。
特に,離婚理由や離婚条件などについて,申立人の主張と食い違う点があった場合については,その点が重点的に質問されるでしょう。
発言内容に矛盾がないよう,メモを参考に,ある程度質問を予想して調停に臨んでください。
3 離婚調停の前に準備すべき3つのポイント
(1)裁判所までのアクセスを確認する
時間的に余裕を持って裁判所に到着できるよう,裁判所までのアクセスを確認しておきましょう。
時間的に余裕があると,裁判所の雰囲気に慣れることもできますし,落ち着いて調停に臨むことができるでしょう。
時間がぎりぎりになってしまうと,焦ってしまい,調停の場においてうまく話すことができないかもしれません。
裁判所へのアクセスはスマホなどでも確認できますが,事前に一度裁判所へ行ってみると,実際どれぐらいの時間がかかるのか,着いてからまずどこへ行けばいいのかが分かるでしょう。
可能であれば,一度事前に裁判所へ足を運んでみてください。
(2)あらかじめ聞かれる質問を予想し,伝える内容をまとめておく
調停は,調停委員による仲介のもとで話し合いを行う場です。
ご自身の主張を調停委員に理解してもらうには,うまく伝える必要があります。
何も準備をせず調停に臨めば,限られた時間の中でご自身の主張をうまく伝えることが困難となるでしょう。
上でお伝えした質問事項を確認し,具体的にどのような質問がされるか予想したうえで,伝える内容をまとめておくようにして下さい。
自身の主張をうまく伝えることができると,有利に交渉を進めることができるようになるかもしれません。
また,あらかじめ受け答えの準備をしていると,子どものことや今後の生活について,これまで気付かなかったことに気付くことがあるかもしれません。
(3)相手の主張を予想する
相手がどのような主張をするか,いくつかの予想を立て,対処法を考えておきましょう。
相手の主張を予想して対処法を考えていると,有利に交渉を進めることができるようになるでしょう。
どのような主張をしてくるか,ご自身で予想がつかない場合には,弁護士に相談することも1つの手です。
関連記事:離婚調停は自分でできる?弁護士に依頼しないメリット・デメリット
4 まとめ
今回は,調停でどのようなことが聞かれるのか,どのような準備をすべきかについてお伝えしました。
調停は,調停委員による仲介のもとで話し合いを行う場です。
ご自身の主張を調停委員に理解してもらうには,ご自身の主張をうまく伝える必要があります。
聞かれる質問が事前にある程度分かっていると,あらかじめ伝える内容を準備して調停に臨むことができ,ご自身の主張をうまく伝えることができるでしょう。
上で述べた質問事項に対する受け答えをあらかじめ考えておきましょう。
また,調停を有利に進めるには,あらかじめ質問事項に対する受け答えを準備するだけでなく,相手の主張を予想し,対処法を考えておくことも重要となります。
ご自身で予想がつかない,どうすれば良いか分からないといった場合には,一度弁護士に相談することをお勧めします。
このコラムの監修者
田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録
弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、また100人以上の方の浮気、不貞、男女問題に関する事件を解決。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、 豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。