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多産DVから逃れたい!支配欲の強いモラハラ夫と離婚し慰謝料を請求する方法

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「多産DV」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

多産とは、子どもがたくさん生まれることです。

DVとは、ドメスティックバイオレンスの略で、家庭内暴力のことです。

確かに、望まない妊娠・出産・中絶も存在します。

「多産DV」とは、夫が、妻に「望まない」妊娠・出産を繰り返させ(時に中絶することも伴います)、妊娠・出産に関する妻の意思決定権を侵害することをいいます。

産婦人科では、妻の様子を見て、あまりに多くの多産の場合や中絶を繰り返したことがある場合には、妻の望まない妊娠なのではないか?を疑う場合もあるそうです。

しかし、子どもが生まれることは、基本的には、夫婦円満で幸せな家庭の象徴であるとされます。

家庭の在り方が多様化している現代においても、少子高齢化が叫ばれる中、子どもが生まれることは喜ばしいことであることに変わりないでしょう。

そのため、「多産DV」であるという言葉を聞いて、直ちにそれが「DV」の一種であると考えることは危険です。

むしろ、「多産DV」という言葉は、使い方を誤ると、不用意に円満な夫婦の関係を壊してしまう可能性もあるような用語だと考えています。

ですから、「多産DV」の内容については、しっかりご理解を頂いたうえで、単に夫婦円満であるのか、本当にDVの要素があるのかどうかをご検討いただきたいと思います。

今回は、本当にDVの要素のある「多産DV」を理由に、夫と離婚し慰謝料請求する方法を解説します。

1 「多産DV」とは?

冒頭でも述べましたが、

「多産DV」とは、夫が、妻に「望まない」妊娠・出産を繰り返させ(時に中絶することも伴います)、妊娠・出産に関する妻の意思決定権を侵害することをいいます。性交渉を拒否すれば暴力まで振るわれてしまうような場合です。

(1)DVとは

そもそも、DVとは、ドメスティックバイオレンスの略で、和訳すると家庭内暴力に該当します。

しかし、法律上問題となるDVは、家庭内における暴力に限りません。

DVには、以下のような種類があります。

① 身体的DV・・・殴る、蹴る、といった暴行を加える

② 精神的DV・・・暴言を吐く、物を捨てる、といった精神的に追い詰める言動をとる

③ 経済的DV・・・金銭的な自由を奪い、経済的に追い詰める言動をとる

④ 性的DV・・・嫌がっているのに性行為を強要する、嫌がっているのに避妊に協力しないといった行動をとる

⑤ 社会的DV・・・親族や友人と会わせない、外出を禁止するといった言動をとる

⑥ 子どもを使ったDV・・・子どもの前で相手を非難するなど、子どもを利用して嫌がらせをする

(2)多産DVの特徴

多産DVは、性的DVと共通する点もあります。

夫が妻に暴力を用いて、性行為を強要します。

妻に妊娠・出産を繰り返させ、これ以上育てられないという場合には中絶せざるを得ないこともあります。

また、妻は妊娠・出産を繰り返すと、妻が働きたいと思っていてもそれが実現できなくなる可能性が高まりますし、また、夫だけの経済力で家庭を支えられないのであれば、多くの子供の子育てをしながら、働きに行かざるを得ないので、妻に過剰な負担がかかるということもあります。

もちろん、お子様が生まれることは、多くの夫婦や家庭にとって望ましいことです。

しかし、多産DVにおいては、夫婦で子供をどのように育てていくか、経済的に育てて行けるか、などの十分な協議がなく、かつ、妻側の意思に反して、避妊せずにどんどん妊娠させてしまい、ときに中絶も選択せざるを得なかったり、性交渉を拒否すれば暴力まで振るわれてしまうような場合です。

 

(3)多産DVの判断要素

一番の特徴は、妻側が、これ以上、妊娠、出産を望んでおらず、それを伝えているのに、避妊しない性交渉を執拗に求められること、かもしれません。

多産DVを疑うべき判断要素は、以下のような事実になります。

□ 夫が性行為を強要する

□ 夫が避妊に協力しない

□ 4人以上出産している

□ 出産してから次の妊娠までが早い

□ 中絶経験がある又は中絶をせざるを得ない経済状況にあるのに、夫が考慮してくれない

 

もし、ご自身で判断つかない場合には、家族や友人、カウンセラーや弁護士などの専門家や専門機関に相談してみましょう。

ご相談先については、後述する「5 多産DVを解決するための相談先」にて、詳しくご紹介します。

 

2 多産DVを理由に夫と離婚できる?

結論から言うと、多産DVを理由に夫と離婚できる可能性があります。

 

(1)離婚できる可能性がある

多産DVは、法律で定められた離婚原因である「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」(民法770条1項5号)に該当し、離婚できる可能性があります。

「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」とは、婚姻関係が破綻しており、回復の見込みがない場合をいいます。

DVやモラハラが認められると、婚姻関係の破綻が認められる場合があります。

多産DVは、暴力を用いる、暴言を浴びせる、性行為を強要する、お願いしても避妊してくれないなど、様々な態様がありこれらは、DVやモラハラにあたる可能性があります。

そのため、離婚が認められる可能性があるといえるでしょう。

 

(2)証拠を確保する

DVやモラハラが認められるには、証拠が必要です。

夫による暴力や暴言といった言動を録画した動画や音声記録、性行為を強要したり、避妊を拒否したりする内容のLINEやメールなど、DVを明らかにする証拠を集めましょう。

事案によりますが、暴力や暴言など、1回ではDVやモラハラであることが認められない場合があります。

日常的に複数回の被害を受けている場合には、複数の証拠を残すようにしましょう。

 

(3)離婚は最終手段

多産DVの場合、離婚するとシングルマザーとして、たくさんの子どもを育てていかなければなりません。

夫の経済力に依存している場合がほとんどですので、たくさんの子どもの面倒を見る中で、ご自身が働くことが可能なのかという問題が生じるでしょう。

そのため、相談できる人に相談してから、できるだけ慎重に判断しましょう。

 

3 多産DVの夫に慰謝料を請求する方法

多産DVによって離婚する場合、慰謝料請求できる可能性があります。

 

(1)慰謝料請求が認められる 

慰謝料とは、不法行為によって受けた精神的苦痛に対する賠償金のことです。

DVは、離婚事由に当たるのみならず、不法行為にも該当します。

また、DVによって精神的苦痛を受けたともいえるでしょう。

ただし、この場合も証拠が必要となってきますので、証拠を集めるようにしてください。

 

(2)慰謝料の相場 

事案によりますが、DVにより離婚した場合の慰謝料の相場は50万円~300万円です。

相場に幅がある理由は、DVに回数や期間、DVによる怪我や障害の程度、婚姻期間の長さなどによって損害が異なってくるからです。

関連記事:DVモラハラを原因とした離婚慰謝料請求〜相場や請求方法を解説〜

 

(3)慰謝料を請求する方法

ア.話し合う

相手との話し合いによって、慰謝料を取り決めて請求する方法です。

話し合いによって慰謝料を取り決めた場合には、必ず取り決めた内容を「示談書」や「合意書」といった書面で残すようにしてください。

支払われなかった場合に、「言った・言わない」のトラブルとなる可能性があるためです。

もっとも、相手からDVを受けている場合、直接話し合うことは難しいかもしれません。

そのような場合には、書面などで交渉する、弁護士に依頼して代理してもらうといった方法で、慰謝料を請求しましょう。

 

イ.内容証明郵便で請求する

内容証明郵便とは、書面の内容や発送日、相手が受け取った日付などを郵便局が証明する郵便サービスです。

弁護士が作成した内容証明郵便を送ることによって、相手に心理的なプレッシャーを与えることができます。

相手は事の重大さに気づき、慰謝料の支払いに応じる可能性があります。

参照:内容証明|郵便局

 

ウ.裁判する

話し合いで合意にいたらなかった場合、裁判を起こすことになります。

裁判では、裁判所にDVを認めてもらうために、DVを明らかにする証拠が必要です。

証拠をできるだけ複数集めておきましょう。

また、裁判はどうしても時間や労力がかかってしまいますし、書面の作成や的確な主張を行うには、専門的な知識が必要となります。

そのため、裁判をする前には、一度弁護士に相談することをお勧めします。

 

4 多産DVの対処法

多産DVを受けていると、肉体的にも精神的にも夫に支配される状況に陥ってしまう場合があります。

妻には、時間的余裕や経済的余裕がない場合も多いでしょう。

では、どのようにして多産DVに対処すれば良いのでしょうか。

以下では、多産DVの対処法をご紹介します。

 

(1)夫と話し合う

夫に自身の考えや気持ちを伝えたことがない場合は、一度伝えてみましょう。

夫が、避妊しない性交渉や妊娠出産を妻が嫌がっていることに気付いていないといった場合もあります。

そのような場合には、自信の考えや気持ちを伝えることで、状況が改善される可能性があるでしょう。

もっとも、日常的に暴力や暴言を受けている場合、心理的なハードルが高く、夫と話すことに抵抗を感じる方もいると思います。

夫婦によっては、暴力や暴言がひどくなるという場合もあります。

まずは、家族や友人、専門家や専門機関などに相談してみることをお勧めします。

 

(2)自身で避妊する

夫に避妊をお願いしてもしてくれない場合は、自身で避妊するということも1つの手です。

妻自身による効果的な避妊としては、以下のような方法があります。

・ピル(経口避妊薬・OC)

・IUD(子宮内避妊具)

・IUS(子宮内黄体ホルモン放出システム)

・不妊手術

・緊急避妊薬(アフターモーニングピル)

 

それぞれの避妊方法には、副作用やメリット・デメリットが存在します。

そのため、一番は、夫側にコンドームなどの身体的に負担のかかりにくい方法で避妊していただくのがよいでしょう。

必ず、専門家である医師とご相談のうえ、ご自身で判断するようにしてください。

 

(3)第三者に相談する

配偶者から暴力を受けていても、誰にも相談しない女性は、約4割近くになります。

「相談するほどではないと思ったから」という理由が最も多いのですが、DVはどんどんエスカレートしていくかもしれません。

参考:DVの現状等について|内閣府男女共同参画局

 

お一人で悩んでいても、なかなか解決の糸口を見つけることは難しいでしょう。

一度、家族や友人、専門家や専門機関に相談してみましょう。

ご相談先については、後述する「5 多産DVを解決するための相談先」にて、詳しくご紹介します。

 

(4)別居する

夫の暴力や暴言、性行為の強要などがひどい場合には、別居を検討してみましょう。

家族や親せきに頼れるのであれば頼りましょう。

まず、ご自身と子どもの安全を確保することを優先してください。

「子どもが多いから別居は無理」と考えていらっしゃるかもしれませんが、自治体の相談先で一時的に保護を受けることもできますし、その後の対応についても相談可能です。

関連記事:家庭内別居は何年続と離婚できる?財産分与はどうなる?

 

(5)離婚する

夫との話し合いがうまくいかない、相談先からのアドバイスなどによって離婚後の目途がたったという場合には、離婚を検討しましょう。

離婚するには、証拠が重要となってきますので、証拠を集めておきましょう。

夫から暴力を受けている場合には、病院からの診断書や知人による証言なども証拠となります。

離婚を検討する場合には、まずは弁護士に相談することをお勧めします。

 

5 多産DVを解決するための相談先

以下は、多産DVを解決するための主な相談先となります。

 

(1)産婦人科

産婦人科では、多産である場合にDVを疑う場合もあるようで、専門的な知識を有しています。

自身で多産DVかどうか判断つかない場合には、産婦人科に相談するのが良いでしょう。

かかりつけの産婦人科医がいる場合、あなたの体のこともよく分かっているはずです。

多産DVの疑いがある場合には、適切なアドバイスが得られるでしょう。

 

(2)DV相談ナビ、DV相談+

各自治体によるDV相談窓口です。

電話でDVについての相談をしたいという方向けです。

DV相談+では、メール(24時間受付可)やチャットにて相談することも可能です。

DV相談ナビ:#8008

DV相談+:0120-279-889

参考: DV相談について|内閣府男女共同参画局

 

(3)配偶者暴力相談支援センター

都道府県が設置する婦人相談所または都道府県・市町村が設置する適切な施設において、配偶者からの暴力の防止および被害者の保護を図るための相談窓口になります。

主な業務内容は、以下の通りです。

・相談や相談機関の紹介

・カウンセリング

・被害者及び同伴者の緊急時における安全の確保及び一時保護

・自立して生活することを促進するための情報提供その他の援助

・被害者を居住させ保護する施設の利用についての情報提供その他の援助

・保護命令制度の利用についての情報提供その他の援助

 

現在、DVから逃れて保護を受けたいという場合や自立しようと考えている場合には、一度相談してみてください。

参考:配偶者暴力相談支援センター|内閣府男女共同参画局

 

(4)警察

夫の暴力がひどく、身の危険を感じる場合には、警察に相談しましょう。

夫に「誰にも言うな」などと脅迫を受けている場合も同様です。

夫による妻への暴行は「家庭内の問題」として見過ごされてきた過去がありますが、現在はたとえ被害届が出されなくても状況次第では事件として取り扱う場合があります。

緊急性がある場合には、必ず110番をしてください。

参考:配偶者からの暴力|警察庁

 

(5)弁護士

離婚を検討している場合には、弁護士に相談しましょう。

上でも述べましたが、DVが理由で離婚する場合には、慰謝料を請求することも可能です。

離婚手続きや保護命令の申立て、離婚後の見通しなども含めた適切なアドバイスが得られる可能性があります。

参考:保護命令手続きについて|裁判所

 

6 多産DVの問題を弁護士に相談・依頼するメリット

(1)現時点における適切なアドバイスを受けられる

DVといっても事案によって適切な対応が異なります。

また、ご自身や子どもの身に危険がある場合には、保護命令の申立て手続を行うことも可能です。

弁護士に相談した場合、相談時点においての適切なアドバイスを受けることができます。

 

(2)離婚するための適切なアドバイスを受けられる

弁護士は法律の専門家です。

離婚するためにはどうすれば良いのか、適切なアドバイスを受けられるでしょう。

離婚するにあたっては、財産分与や慰謝料、養育費などの離婚条件などについても取り決める必要があります。

どうすれば良いのか分からない場合には、一度弁護士に相談しましょう。

 

(3)離婚手続きを任せられる

離婚には、大きく分けて協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3種類があります。

協議(話し合い)しようにも、夫と直接話すことは心理的負担が大きく難しいかもしれません。

調停や裁判となると、事案に応じた専門的な知識がなかったり、慰謝料の相場を知らなかったりすると、有利に話を進めることが難しいでしょう。

また、書面の作成、裁判所へ赴くといった時間や手間がどうしてもかかります。

弁護士であれば、依頼者に代わって離婚の手続きを行うことが可能です。

 

7 まとめ

今回は、「多産DV」を理由に、夫と離婚し慰謝料請求する方法を解説しました。

「多産DV」とは、夫が、妻に「望まない」妊娠・出産を繰り返させ(時に中絶することも伴います)、妊娠・出産に関する妻の意思決定権を侵害することをいいます。性交渉を拒否すれば暴力まで振るわれてしまうような場合です。

多産DVを理由に、離婚や慰謝料請求ができる場合がありますので、できる限り複数の証拠をおさえておきましょう。

多産DVは、ご自身だけでなく子どもにも辛い想いをさせるかもしれません。

そのため、早めの対応が重要といえるでしょう。

もし、ご不安な様でしたら、お一人でお悩みにならず、一度弁護士に相談することをお勧めします。

このコラムの監修者

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