円満に離婚するための5つのポイントとは?円満に離婚できない場合の対処法も解説
「離婚したいのですが,揉めるのが嫌で,どのように切り出せばいいのか分かりません。円満に離婚する方法を教えて下さい。」
このように円満な離婚を望む方は少なくありません。
揉めると時間もとられ,精神的なストレスも生じますので,揉めたくないという気持ちは当然だと思います。
しかし,離婚すること自体や離婚条件について折り合いが合わず,揉めてしまい,結果として離婚問題が長期化するケースは少なくありません。
実際,知り合いから「なかなか離婚できなかった」などと聞かれた方もいらっしゃるかと思います。
では,円満に離婚することは,本当に難しいのでしょうか。
この記事では,円満に離婚するためのポイントなどを詳しく解説していきます。
目次
1 円満に離婚するための準備
「円満離婚」とは,揉めることなくスムーズに離婚することをいいます。
しっかりと準備して,注意すべきポイントを押さえれば,円満離婚の可能性は高くなるでしょう。
以下の点を事前に準備しておきましょう。
(1)離婚の理由を用意する (2)離婚の条件を決めておく (3)離婚後の生活を考える |
(1)離婚の理由を用意する
まずは,離婚の理由を用意しましょう。
円満に離婚するためには,あなた自身の考えや気持ちを配偶者に理解・納得してもらうことが必要です。
理由もなく,単に「離婚して欲しい」と伝えても配偶者は納得しないでしょう。
そのため,配偶者が納得できる理由を用意することが必要となります。
(2)離婚の条件を決めておく
離婚するにあたっては,様々な離婚条件を決める必要があります。
内容によっては離婚後に決めることも可能ですが,後々揉めてしまっては,円満離婚とは言えません。
あらかじめ,ご自身が納得できる離婚条件を決めておきましょう。
また,離婚条件に優先順位を付けておけば,話し合いがスムーズに進む可能性が高くなります。
以下は,円満に離婚するために決めておくべき主な離婚条件です。
・財産分与 ・年金分割 ・慰謝料 ・親権 ・養育費 ・面会交流 |
関連記事:離婚時の親権はどうやって決まるの?具体的な決め方と流れ
(3)離婚後の生活を考える
仮に,円満に離婚できたとしても,離婚後の生活の準備ができていないと,生活に困ることになります。
一般的に,離婚するために必要な貯蓄は100万円程度と言われています。
しかし,離婚後も引き続き同じ家に居住するケースや実家で暮らすことができるといったように,必要のない場合もあるでしょう。
離婚後に安定した生活を送るためにも,住居や生活費,離婚後の仕事など,離婚後の生活についてよく考えましょう。
2 円満に離婚するための5つのポイント
以下は,円満に離婚するためのポイントになります。
ポイントをよく押さえた上で,離婚を切り出しましょう。
(1)冷静に話を切り出す (2)配偶者の話にも耳を傾ける (3)譲れる点は譲る (4)離婚を急がない (5)決めた内容を書面に残しておく |
(1)冷静に話を切り出す
円満に離婚するためのスタートとして,離婚の切り出し方はとても重要です。
感情的になってしまうと,スムーズな話し合うことができず,円満に離婚することが難しくなるでしょう。
まずは,冷静に離婚を切り出すことを心がけましょう。
また,離婚を切り出すタイミングも重要です。
相手と話し合う環境が整っている,相手が不貞行為などの離婚原因を作っているといった場合には,話し合いがスムーズに進む可能性があります。
(2)配偶者の話にも耳を傾ける
離婚を切り出したとしても,相手が合意するとは限りません。
相手が合意しない場合には,なぜ離婚したくないのか,なぜ離婚条件に納得できないのか,きちんと話を聞くことが大切です。
相手の話に耳を傾ければ,離婚の話し合いがスムーズに進んだり,より良い解決策が見つかったりするかもしれません。
一方的にご自身の考えを主張しても,揉めてしまう可能性が高く,スムーズな話し合いは難しくなるでしょう。
円満に離婚するためには,相手の話にも耳を傾けましょう。
(3)譲れる点は譲る
先に離婚条件を決め,優先順位を付ける準備をしておくことをお勧めしました。
話し合いの中で,優先順位に基づき,譲れる点は譲るようにすると,話し合いがスムーズに進む可能性が高くなります。
ただし,離婚を急ぐがあまり,ご自身が納得していない点について譲ってしまうと,後々揉めてしまったり,後悔してしまったりするかもしれません。
しっかりとご自身が納得したうえで譲るようにしましょう。
(4)離婚を焦らない
円満に離婚するためには,離婚することを焦らないということも重要です。
円満に離婚するということは,必ずしもできるだけ早く離婚するということではありません。
また,離婚条件などについて話し合うことは,決して揉めていることとイコールではありません。
十分な話し合いを行ったうえで,お互いが納得し,結果として,揉めることなくスムーズに離婚できることを目指しましょう。
離婚までの期間は,円満離婚であっても一定期間かかる可能性があります。
(5)決めた内容を書面に残しておく
夫婦間の話し合いによって決めた内容は,必ず「離婚協議書」として書面に残しておきましょう。
書面に残しておくことによって,後々「言った言わない」のトラブルを防ぐことが可能となります。
また,慰謝料や養育費といったお金に関する取り決めを行った場合には,書面を「公正証書」とすることをお勧めします。
公正証書とは、公証役場において、公証人が,当事者が取り決めた内容を聴き取り、これを書面にした公文書のことです。
公証人は、元々裁判官や検察官などの経験を積んだ法律の専門家であり、公平・中立な立場から法的に有効な書面を作成してくれます。
作成された公正証書は、公証役場に保管されるため偽造されるおそれがなく、紛失する心配もありません。
詳しくは、以下のサイトをご覧ください。
関連記事:離婚協議書か公正証書どちらを選ぶべき?書き方完全ガイド
3 円満に離婚できない場合の対処法
円満離婚を目指したものの,事案によっては話し合いがスムーズに進まず,揉めてしまうケースも少なくありません。
そんな時は,以下のような対処法をお勧めします。
(1)離婚調停を申し立てる (2)離婚裁判を提起する (3)弁護士に相談・依頼する |
(1)離婚調停を申し立てる
夫婦間で話し合がスムーズに進まない,そもそも相手が話し合いに応じないといった場合には,家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。
離婚調停では,調停委員の仲介の下で,離婚や離婚条件についての話し合いが行われます。
調停委員が夫婦それぞれの意見を聴き取り,解決案を示してくれるため,夫婦間で話し合いがまとまらない場合であっても,合意にいたる可能性があります。
関連記事:協議離婚と調停離婚の違いって何?メリット・デメリットと選ぶポイント
(2)離婚裁判を提起する
調停でも合意にいたらない場合には,裁判を起こすことになります。
裁判においては,法律が定める離婚原因(法定離婚事由)が認められなければ,離婚できません。
法律が定める離婚原因については,証拠によって明らかにする必要があるため,証拠を集めるようにしましょう。
(裁判上の離婚) 第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。 一 配偶者に不貞な行為があったとき。 二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。 三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。 四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。 五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。 (略) |
(3)弁護士に相談・依頼する
話し合いの段階で,弁護士に相談・依頼することで,スムーズな話し合いが可能となり,合意にいたるかもしれません。
弁護士であれば,離婚や離婚条件についてのアドバイスやご自身に代わって交渉を行うことも可能です。
また,調停や裁判においても,法律知識に基づいて,的確な主張と証拠の提出が可能であり,ご自身の負担が軽減されることでしょう。
もし,話し合いがうまくいかない,調停や裁判を検討しているといった場合には,一度,弁護士に相談することをお勧めします。
4 まとめ
今回は,円満に離婚するためのポイントなどを詳しく解説しました。
円満離婚は,しっかりと準備し,注意すべきポイントを押さえれば,決して難しいことではありません。
本コラムで挙げた5つのポイントをしっかり押さえ,円満離婚を目指しましょう。
ただし,事案によっては,どうしても話し合いがスムーズに進まず,揉めてしまうケースもあります。
夫婦間の話し合いがうまくいかない場合には,調停や裁判も検討しましょう。
弁護士であれば,交渉の段階から調停,裁判にいたるまで,あなたに代わって行うことが可能です。
もし,ご自身でどうしていいか分からない場合には,一度,弁護士に相談することをお勧めします。
このコラムの監修者
田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録
弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、また100人以上の方の浮気、不貞、男女問題に関する事件を解決。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、 豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。