パパ活は不倫に当たる?慰謝料請求されるケースと対処法
パパ活とは,20代~30代の女性が「パパ」と呼ばれる中年男性と食事やデートあるいは体の関係を持ち,その見返りとして,金銭を受け取る活動のことです。
昔で言う援助交際に近いかもしれません。。
SNSや出会い系アプリなどで調べると「パパ活」といった言葉に限らず,「P活」や「パパ活女子」「pj」といった言葉がすぐに目につくでしょう。
当然のように,「今日パパからもらったプレゼント」と写真と一緒に載せていたり,今月の売上を自慢していたり,「パパ」に対する愚痴をこぼしたりしている投稿が散見されます。
そんなパパ活ですが,当然,トラブルも少なくありません。
今回は,パパ活は不倫にあたるのか,慰謝料請求された場合の対処法などについて解説します。
目次
1 パパ活は不倫に当たるのか?慰謝料を請求されるケースとは
結論から言うと,パパ活は,不貞行為(=体の関係)が認められれる場合には,,慰謝料を請求される可能性があります。
また,不貞行為が認められなくても,慰謝料を請求される場合があります。
以下で,詳しく解説します。
(1)不貞行為が認められる場合
慰謝料とは,不法行為によって受けた精神的苦痛を賠償するお金のことです。
故意または過失によって,婚姻生活の平穏を害する行為は,不法行為に該当します。
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婚姻生活の平穏を害する行為の典型例は,俗に浮気や不倫と呼ばれる「不貞行為」です。
不貞行為とは,既婚者である者が配偶者以外の者と肉体関係を持つこといいます。
パパ活においても,女性が既婚者である男性と体の関係を持てば,不貞行為に該当する可能性があります。
既婚者であることを知っていたという「故意」,あるいは,注意すれば知ることができたという「過失」が認められる場合,,男性の妻に対する不法行為に該当します。
既に婚姻関係が破綻しているなどの事情がない限り,婚姻生活の平穏が害されたとして,既婚者である男性の妻には精神的苦痛が認められるでしょう。
この場合,既婚者である男性の妻からの慰謝料請求が認められることになります。
裁判においては,証拠によって不貞行為の事実が認められれば,慰謝料を支払う義務が発生します。
不貞行為の事実は,肉体関係を持っている様子が直接分からなくても,ホテルに入っていく写真や動画,LINEなどのやり取りによって認められる場合があります。
また,直接に「結婚してるよ」とか「奥さんが…」といった話を聞いていなくても,日ごろから結婚指輪をしているなどといった事実から,注意すれば既婚者であることを知ることができたと認められる可能性があります。
なお,店舗で雇われた性的サービスの提供を前提とする風俗嬢の場合は,従業員と利用客との関係を超えていない限り,性交渉が直ちに利用客とその配偶者との婚姻生活の平和を害するものとはいえないとして,慰謝料請求が認められない場合があります。
しかし,パパ活の場合は,雇われた従業員ということはできない,業務範囲を超えているかどうかの判断が難しい,自由な意思で相手を選ぶことが出来るといった理由から,風俗嬢の場合と全く同様に考えることは難しいでしょう。
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(2)その他,婚姻生活の平穏を害する場合
不貞行為は,婚姻生活の平穏を害するため慰謝料請求が認められます。
しかし,不貞行為でなくても,婚姻生活の平穏を害することは可能です。
たとえば,頻繁に連絡を取り合っていたような場合や,頻繁にデートを重ねていたような場合には,婚姻生活の平穏を害したと認められる可能性があります。
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2 パパ活で慰謝料請求された場合の相場
不貞行為が認められる場合,一般的な慰謝料の相場は以下の通りです。
金額に幅がある理由は,事案の内容によって異なってくるためです。
不貞行為が原因で離婚するに至った場合には,高額になる傾向があります。
状況 | 相場 |
離婚がされない場合 | 50万円~100万円 |
離婚がされる場合 | 200万円~300万円 |
その他,増額要素としては,不貞行為の期間が長いこと,不貞行為の頻度が多いこと,婚姻期間が長いこと,未成熟の子が存在していることなどが挙げられます。
ただし,パパ活は,金銭を介在させて性交渉を行うことが多いため,風俗嬢によってサービスを受ける場合と全く同じとまでは言えないまでも,婚姻生活の平和を害したとしても,その程度は客観的に軽微であると考えられることもあり得ます。その場合には,上記の相場よりも下がる可能性はあります。
他方で,パパ活からの出会いだったとしても,途中から金銭を介在させることなく性交渉を行っているような場合には,出会いがパパ活であっただけで,通常の恋愛関係と何ら変わらないことから,一般的な慰謝料の相場通りになるということもあるでしょう。
よって,パパ活で慰謝料請求された場合の相場は,数十万円~300万円であると考えられます。
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関連記事:不倫(不貞行為)での慰謝料は減額・拒否できる?5つのポイントと相場判例
3 パパ活で慰謝料請求された場合の対処法
電話やメールなどで「慰謝料を払ってください。」と言われることもありますが,突然ある日,家に内容証明郵便が届き,慰謝料を請求されるといったケースも珍しくありません。
相手から慰謝料請求される場合,請求が認められるために,ある程度調査していたり,準備したりしていると考えた方が良いでしょう。
そこで,以下のような対処法が考えられます。
(1)相手が主張する事実関係を確認する
突然,慰謝料の請求をされた場合,面倒だと放置してしまう方もいると思います。
しかし,放置や無視は事態を悪化させてしまう可能性があるため,放置せずに,まずは事実関係を確認するようにしてください。
相手が事実を勘違いしていたり,請求する相手を間違っていたりする場合もあります。
相手の言い分を聞いて,いつ,どこで,どのような事実を指して不法行為があったと言っているのか確認して
ください。
この際,怖くなったり動揺したりするかもしれません。
しかし,とりあえず内容を確認するだけで,内容について細かくこちらから話したり,認めたりする必要はありません。
相手が主張する事実関係を確認し,心当たりがある場合には,次にどのような対応を取るか考えることになります。
(2)慰謝料を支払う義務があるか確認する
相手が主張する事実関係を確認した場合には,慰謝料を支払う義務があるのかどうか判断することが可能となります。
上でも述べましたが,慰謝料を支払う義務がある場合とは,以下のような条件が満たされる場合です。
・不貞行為(肉体関係)があった ・相手男性が既婚者であることを知っていた ・相手の婚姻関係が破綻していなかった |
これらの事実は,客観的な証拠に基づく必要があります。
証拠がない場合には,裁判となっても慰謝料の請求は認められないでしょう。
上記のような事実とは逆に,相手が独身であると嘘をついていたような場合には,貞操権が侵害されたとして,相手男性に対する慰謝料請求が認められる可能性があります。
関連記事:独身だと騙されていた場合,妻からの不貞の慰謝料を払う必要はない?
関連記事:彼氏が既婚者だった!貞操権侵害の慰謝料の相場は? 判例も紹介!
(3)慰謝料の請求額か適正か確認する
相手が主張する事実が正しく,慰謝料を支払う義務があると判断した場合であっても,請求している慰謝料の金額が適正であるとは限りません。
不貞行為が認められる場合,慰謝料を請求する側は,高めの金額設定をしていることは珍しくありません。
話し合いによってお互いが合意すれば,基本的に相場と比べて高額であっても,合意で定めた金額が慰謝料として認められます。
そのため,極端に法外な金額でない限り,高額な慰謝料の金額設定も可能です。
しかし,話し合いで合意にいたらなかった場合には,裁判によって認められた金額が慰謝料となります。
ここで重要となるのが,さきほど上で述べた相場になります。
相場は,裁判で慰謝料が認められた場合の金額から算出されています。
そのため,慰謝料の請求額が相場からかけ離れている場合には,支払う必要はありません。
もっとも,なるべく早く穏便に事態を収束させたいと考える場合には,ある程度納得できる額の慰謝料を支払うことで合意することも1つの手です。
そのような場合には,必ず示談書や合意書,領収書など,慰謝料を支払ったことを示す証拠を残すようにしましょう。
(4)交渉する
相手の主張する事実が正しかったり,証拠を突き付けられて認めざるを得ないといった場合には,金額や支払方法などについて相手と交渉してみましょう。
また,相手男性がすでに慰謝料を支払っている場合もあるため,確認すると良いでしょう。
不貞行為は既婚者である男性との共同不法行為となるため,相手男性が全額支払っている場合には,相手男性の妻に対して慰謝料を支払う必要はありません。
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(5)弁護士に相談する
相手から事実関係を確認したとしても,放置しているとまずいのか,本当に慰謝料を支払う義務があるのか,相手の証拠は認められるのか,金額が高すぎるのではないかと様々な不安や疑問が生じると思います。
また,交渉しようにも,どういう風に交渉すれば良いのか,今後どのように慰謝料請求の手続きが進んでいくのか,いきなり財産を差し押さえられないか,家族に知られたりしないかなど,気になりだすとキリがないかもしれません。
そのため,慰謝料請求されたら,なるべく早い段階で弁護士に相談することも1つの手です。
仮に,不貞行為が認められるにしても,弁護士は法律のプロであると同時に,交渉のプロでもあります。
依頼した場合には,適正な金額で和解に持ち込める可能性は高く,心労面での負担が軽減されることでしょう。
4 慰謝料を支払わない場合のリスク
「相手と慰謝料について合意した」,あるいは「裁判で慰謝料の請求が認められてしまった」にもかかわらず慰謝料を支払わないでいると,強制執行されるというリスクが生じます。
たとえば,あなたが普段会社で働いており,小遣い稼ぎでパパ活をしていた場合には,銀行の預金や給料が差し押さえられる可能性があり,会社にパパ活がバレてしまうリスクがあります。
そうなると,会社に居づらくなってしまい,退職せざるを得なくなるかもしれません。
そうならないためにも,慰謝料について相手と合意したり,裁判で慰謝料が認められてしまった場合には,きちんと慰謝料を支払うようにしましょう。
支払わない場合には,財産が差し押さえられたり,周りにパパ活が知られてしまうかもしれないというリスクを覚悟してください。
5 まとめ
パパ活をしたからといって,常に慰謝料請求が認められるわけではありません。
しかし,パパ活の内容次第では,慰謝料を請求される可能性があります。
もし,パパ活によって慰謝料請求されてしまったら,放置せずに,相手が主張する事実関係を確認しましょう。
事実関係を確認すれば,慰謝料を支払わなければいけないのか判断できるようになります。
仮に,慰謝料を支払う義務が認められるとしても,請求されている金額が適正であるとは限りません。
相場を参考に,慰謝料の金額が適正かどうか判断しましょう。
もっとも,慰謝料の相場は,具体的な事案によって異なってきます。
ご自身で判断できない場合には,なるべく早く弁護士に相談するようにしてください。
弁護士であれば,今後の対処や裁判となった場合についても相談が可能です。
もし,ご不安な様でしたら,お一人でお悩みにならず,一度弁護士に相談することをお勧めします。
このコラムの監修者
田中 今日太弁護士(大阪弁護士会所属)弁護士ドットコム登録
弁護士法人 法律事務所 ロイヤーズ・ハイの代表弁護士を務める。 大手法律事務所で管理職を経験し、また100人以上の方の浮気、不貞、男女問題に関する事件を解決。 お客様を精一杯サポートさせていただくことをモットーとし、 豊富な経験と実績で、最善策の見通しを即座に迅速かつ適切な弁護活動を行う。