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パパ活は不倫に当たる?慰謝料請求されるケースと対処法

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パパ活は不倫に当たる?慰謝料請求されるケースと対処法

パパ活とは,20代~30代の女性が「パパ」と呼ばれる中年男性と食事やデートあるいは体の関係を持ち,その見返りとして,金銭を受け取る活動のことです。

昔で言う援助交際に近いかもしれません。。

SNSや出会い系アプリなどで調べると「パパ活」といった言葉に限らず,「P活」や「パパ活女子」「pj」といった言葉がすぐに目につくでしょう。

当然のように,「今日パパからもらったプレゼント」と写真と一緒に載せていたり,今月の売上を自慢していたり,「パパ」に対する愚痴をこぼしたりしている投稿が散見されます。

そんなパパ活ですが,当然,トラブルも少なくありません。

今回は,パパ活は不倫にあたるのか,慰謝料請求された場合の対処法などについて解説します。

目次

1 パパ活は不倫に当たるのか?慰謝料を請求されるケースとは

パパ活は不倫に当たるのか?慰謝料を請求されるケースとは

結論から言うと,パパ活は,不貞行為(=体の関係)が認められれる場合には,,慰謝料を請求される可能性があります。

また,不貞行為が認められなくても,慰謝料を請求される場合があります。

以下で,詳しく解説します。

 

(1)不貞行為が認められる場合

慰謝料とは,不法行為によって受けた精神的苦痛を賠償するお金のことです。

故意または過失によって,婚姻生活の平穏を害する行為は,不法行為に該当します。

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

引用:民法|e-Gov 法令検索

 

婚姻生活の平穏を害する行為の典型例は,俗に浮気や不倫と呼ばれる「不貞行為」です。

不貞行為とは,既婚者である者が配偶者以外の者と肉体関係を持つこといいます。

パパ活においても,女性が既婚者である男性と体の関係を持てば,不貞行為に該当する可能性があります。

既婚者であることを知っていたという「故意」,あるいは,注意すれば知ることができたという「過失」が認められる場合,,男性の妻に対する不法行為に該当します。

既に婚姻関係が破綻しているなどの事情がない限り,婚姻生活の平穏が害されたとして,既婚者である男性の妻には精神的苦痛が認められるでしょう。

この場合,既婚者である男性の妻からの慰謝料請求が認められることになります。

裁判においては,証拠によって不貞行為の事実が認められれば,慰謝料を支払う義務が発生します。

不貞行為の事実は,肉体関係を持っている様子が直接分からなくても,ホテルに入っていく写真や動画,LINEなどのやり取りによって認められる場合があります。

また,直接に「結婚してるよ」とか「奥さんが…」といった話を聞いていなくても,日ごろから結婚指輪をしているなどといった事実から,注意すれば既婚者であることを知ることができたと認められる可能性があります。

なお,店舗で雇われた性的サービスの提供を前提とする風俗嬢の場合は,従業員と利用客との関係を超えていない限り,性交渉が直ちに利用客とその配偶者との婚姻生活の平和を害するものとはいえないとして,慰謝料請求が認められない場合があります。

しかし,パパ活の場合は,雇われた従業員ということはできない,業務範囲を超えているかどうかの判断が難しい,自由な意思で相手を選ぶことが出来るといった理由から,風俗嬢の場合と全く同様に考えることは難しいでしょう。

東京地裁令和3年1月18日

「本件性的サービスは,性的サービスの提供を業務とする店舗の従業員と利用客という関係に基づいてなされたものであり,その際になされた性交渉も,YとAの従業員と利用客という関係を超えてなされたものとは認められない。そして,風俗店の従業員と利用客との間で性交渉が行われることが,直ちに利用客とその配偶者との婚姻生活の平和を害するものとは解し難く,仮に,婚姻共同生活の平和を害することがあるとしても,その程度は客観的にみて軽微であるということができる。そうすると,仮に,被告とAとの間でなされた本件性的サービスの際の性交渉が,原告の婚姻共同生活の平和の維持を侵害し,不貞行為に当たり得る面があるとしても,それにより,原告に,金銭の支払によらなければ慰藉されないほどの精神的苦痛が生じたものと認めるに足りない。」

 

 

(2)その他,婚姻生活の平穏を害する場合

不貞行為は,婚姻生活の平穏を害するため慰謝料請求が認められます。

しかし,不貞行為でなくても,婚姻生活の平穏を害することは可能です。

たとえば,頻繁に連絡を取り合っていたような場合や,頻繁にデートを重ねていたような場合には,婚姻生活の平穏を害したと認められる可能性があります。

【東京地裁平成24年11月28日判決】

原告は,婚姻していた当時,被告が元夫と不貞関係にあり,そうでないとしても,被告が原告夫婦の婚姻関係の継続に支障を来すような行為を行い,これにより原告の婚姻関係が破壊されたなどと主張して,被告に対し,不法行為に基づき,慰謝料500万円の支払いを求めた事案です。

裁判所は,証拠上,不貞関係を明確に認定することはできないとしましたが,「被告がメールを送付したことは原告らの婚姻生活の平穏を害するものとして社会的相当性を欠いた違法な行為であり、被告は、原告に対し不法行為責任を負うものというべき」と判断し,30万円の慰謝料の請求を認容しました。

 

2 パパ活で慰謝料請求された場合の相場

パパ活で慰謝料を請求された場合の相場

不貞行為が認められる場合,一般的な慰謝料の相場は以下の通りです。

金額に幅がある理由は,事案の内容によって異なってくるためです。

不貞行為が原因で離婚するに至った場合には,高額になる傾向があります。

状況相場
離婚がされない場合50万円~100万円
離婚がされる場合200万円~300万円

 

その他,増額要素としては,不貞行為の期間が長いこと,不貞行為の頻度が多いこと,婚姻期間が長いこと,未成熟の子が存在していることなどが挙げられます。

ただし,パパ活は,金銭を介在させて性交渉を行うことが多いため,風俗嬢によってサービスを受ける場合と全く同じとまでは言えないまでも,婚姻生活の平和を害したとしても,その程度は客観的に軽微であると考えられることもあり得ます。その場合には,上記の相場よりも下がる可能性はあります。

他方で,パパ活からの出会いだったとしても,途中から金銭を介在させることなく性交渉を行っているような場合には,出会いがパパ活であっただけで,通常の恋愛関係と何ら変わらないことから,一般的な慰謝料の相場通りになるということもあるでしょう。

よって,パパ活で慰謝料請求された場合の相場は,数十万円~300万円であると考えられます。

【東京地裁平成28年9月30日判決】

原告と原告の夫との婚姻関係は30年以上,不貞期間は約8年,いまだ離婚には至っていないという事案でした。

裁判所は,不貞行為期間につき,「約8年間という長期にわたる」と評価し,いまだ離婚には至っていないものの,婚姻関係が破綻するに至ったと認め,被告の責任が夫に比して低い点などを考慮しましたが,慰謝料として150万円の請求を認容しました。

【東京地裁平成30年2月20日判決】

原告と原告の夫との婚姻関係は約14年,不貞期間は約10ヶ月,離婚調停中という事案でした。

裁判所は,不貞期間は1年にも満たないものであり,期間として長いとはいえないとしつつも,「頻度の面では,平均して1,2週に1度程度に不貞行為を行っており,それ以外にも深夜に会うなどしている点を加えれば,かなりの頻度になるといえる。」と評価し,不貞行為の継続性や悪質性なども考慮して,220万円の慰謝料の請求を認めました。

 

関連記事:不倫(不貞行為)での慰謝料は減額・拒否できる?5つのポイントと相場判例

3 パパ活で慰謝料請求された場合の対処法

パパ活で慰謝料請求された場合の対処法

電話やメールなどで「慰謝料を払ってください。」と言われることもありますが,突然ある日,家に内容証明郵便が届き,慰謝料を請求されるといったケースも珍しくありません。

相手から慰謝料請求される場合,請求が認められるために,ある程度調査していたり,準備したりしていると考えた方が良いでしょう。

そこで,以下のような対処法が考えられます。

 

(1)相手が主張する事実関係を確認する

突然,慰謝料の請求をされた場合,面倒だと放置してしまう方もいると思います。

しかし,放置や無視は事態を悪化させてしまう可能性があるため,放置せずに,まずは事実関係を確認するようにしてください。

相手が事実を勘違いしていたり,請求する相手を間違っていたりする場合もあります。

相手の言い分を聞いて,いつ,どこで,どのような事実を指して不法行為があったと言っているのか確認して

ください。

この際,怖くなったり動揺したりするかもしれません。

しかし,とりあえず内容を確認するだけで,内容について細かくこちらから話したり,認めたりする必要はありません。

相手が主張する事実関係を確認し,心当たりがある場合には,次にどのような対応を取るか考えることになります。

 

(2)慰謝料を支払う義務があるか確認する

相手が主張する事実関係を確認した場合には,慰謝料を支払う義務があるのかどうか判断することが可能となります。

上でも述べましたが,慰謝料を支払う義務がある場合とは,以下のような条件が満たされる場合です。

・不貞行為(肉体関係)があった

・相手男性が既婚者であることを知っていた

・相手の婚姻関係が破綻していなかった

 

これらの事実は,客観的な証拠に基づく必要があります。

証拠がない場合には,裁判となっても慰謝料の請求は認められないでしょう。

上記のような事実とは逆に,相手が独身であると嘘をついていたような場合には,貞操権が侵害されたとして,相手男性に対する慰謝料請求が認められる可能性があります。

関連記事:独身だと騙されていた場合,妻からの不貞の慰謝料を払う必要はない?

関連記事:彼氏が既婚者だった!貞操権侵害の慰謝料の相場は? 判例も紹介!

 

(3)慰謝料の請求額か適正か確認する

相手が主張する事実が正しく,慰謝料を支払う義務があると判断した場合であっても,請求している慰謝料の金額が適正であるとは限りません。

不貞行為が認められる場合,慰謝料を請求する側は,高めの金額設定をしていることは珍しくありません。

話し合いによってお互いが合意すれば,基本的に相場と比べて高額であっても,合意で定めた金額が慰謝料として認められます。

そのため,極端に法外な金額でない限り,高額な慰謝料の金額設定も可能です。

しかし,話し合いで合意にいたらなかった場合には,裁判によって認められた金額が慰謝料となります。

ここで重要となるのが,さきほど上で述べた相場になります。

相場は,裁判で慰謝料が認められた場合の金額から算出されています。

そのため,慰謝料の請求額が相場からかけ離れている場合には,支払う必要はありません。

もっとも,なるべく早く穏便に事態を収束させたいと考える場合には,ある程度納得できる額の慰謝料を支払うことで合意することも1つの手です。

そのような場合には,必ず示談書や合意書,領収書など,慰謝料を支払ったことを示す証拠を残すようにしましょう。

関連記事:不当に高額な慰謝料からの防御方法

(4)交渉する 

相手の主張する事実が正しかったり,証拠を突き付けられて認めざるを得ないといった場合には,金額や支払方法などについて相手と交渉してみましょう。

また,相手男性がすでに慰謝料を支払っている場合もあるため,確認すると良いでしょう。

不貞行為は既婚者である男性との共同不法行為となるため,相手男性が全額支払っている場合には,相手男性の妻に対して慰謝料を支払う必要はありません。

(共同不法行為者の責任)

第七百十九条 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。

(略)

民法|e-Gov 法令検索

 

 

(5)弁護士に相談する

相手から事実関係を確認したとしても,放置しているとまずいのか,本当に慰謝料を支払う義務があるのか,相手の証拠は認められるのか,金額が高すぎるのではないかと様々な不安や疑問が生じると思います。

また,交渉しようにも,どういう風に交渉すれば良いのか,今後どのように慰謝料請求の手続きが進んでいくのか,いきなり財産を差し押さえられないか,家族に知られたりしないかなど,気になりだすとキリがないかもしれません。

そのため,慰謝料請求されたら,なるべく早い段階で弁護士に相談することも1つの手です。

仮に,不貞行為が認められるにしても,弁護士は法律のプロであると同時に,交渉のプロでもあります。

依頼した場合には,適正な金額で和解に持ち込める可能性は高く,心労面での負担が軽減されることでしょう。

関連記事:弁護士に依頼してまでも減額すべき慰謝料請求

関連記事:弁護士により慰謝料の額は変わる!?

 

4 慰謝料を支払わない場合のリスク

慰謝料を支払わない場合のリスク

「相手と慰謝料について合意した」,あるいは「裁判で慰謝料の請求が認められてしまった」にもかかわらず慰謝料を支払わないでいると,強制執行されるというリスクが生じます。

たとえば,あなたが普段会社で働いており,小遣い稼ぎでパパ活をしていた場合には,銀行の預金や給料が差し押さえられる可能性があり,会社にパパ活がバレてしまうリスクがあります。

そうなると,会社に居づらくなってしまい,退職せざるを得なくなるかもしれません。

そうならないためにも,慰謝料について相手と合意したり,裁判で慰謝料が認められてしまった場合には,きちんと慰謝料を支払うようにしましょう。

支払わない場合には,財産が差し押さえられたり,周りにパパ活が知られてしまうかもしれないというリスクを覚悟してください。

 

5 まとめ

パパ活をしたからといって,常に慰謝料請求が認められるわけではありません。

しかし,パパ活の内容次第では,慰謝料を請求される可能性があります。

もし,パパ活によって慰謝料請求されてしまったら,放置せずに,相手が主張する事実関係を確認しましょう。

事実関係を確認すれば,慰謝料を支払わなければいけないのか判断できるようになります。

仮に,慰謝料を支払う義務が認められるとしても,請求されている金額が適正であるとは限りません。

相場を参考に,慰謝料の金額が適正かどうか判断しましょう。

もっとも,慰謝料の相場は,具体的な事案によって異なってきます。

ご自身で判断できない場合には,なるべく早く弁護士に相談するようにしてください。

弁護士であれば,今後の対処や裁判となった場合についても相談が可能です。

もし,ご不安な様でしたら,お一人でお悩みにならず,一度弁護士に相談することをお勧めします。

このコラムの監修者

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